ヤンデレ後輩に頼るしかない話
「功、今日もあの日だろ?もう時間じゃないか?」
「あぁ、そうか。ニコちゃーん!行ってくるね!」
何処かに行くらしい功が二子川に最後にと抱き、キスを落とすと部屋を出て行った。
「じゃ、俺らも行こっか♡」
「……うん…。」
静流も柚木の腰に手を添え、二階へ消えていく。
あっという間にリビングには二子川だけになった。
(静流の野郎…俺が人間だとバレたら柚木を良い様に出来ないからって、相談する気ないだろ!)
腹が立つ。
果たして静流は本当に、自分の味方なのかどうなのか。
やはりそれはかなり際どい。
(しかし犬だって、功の部屋を漁る事位は出来る!)
二子川は釈然としないものを抱えつつも、功の部屋へ向かった。
カチャ…
都合よく功の部屋のドアは少しだけ空いていたので、体で強引に開けて入る。
とりあえず…パソコンだな。
(…く、前足が使いにくい…。)
キーボード1つ押すのに一苦労だ。
おまけにキャスター付きの椅子が不安定で、全てがやりにくい。
何とかフォルダの一覧を表示させて、中身を確認して行く。
(…めっちゃ俺の隠し撮りあるな…。)
高校時代の姿は当たり前に、何故か社会人時代の物まである。
(やっぱり、功はずっと俺を見ていたのか?でも何故…それなら直ぐに接触してこなかったんだ?何故、今頃になって…)
功の行動の意図が見えない。
人を雇って写真を撮らせていたにしても、自分の居場所はずっと把握していたようなのに。
何故接触してこなかったんだ?
不可解だ。その不可解さが、功への不信感を深める。
(まさか…本当に功が俺を?)
つい考え混んでしまっていた時だった。
「ニコちゃーん、只今ー」
「‼︎」
(…え⁈こ、功⁈早っ!)
玄関を開ける音と、功の声が聞こえた。
(まずい!普通の犬がこんな事するはずない…っ!)
慌てて開けていたフォルダを閉じるが、焦りと犬の前足では中々スムーズに事が運ばない。
(第一、この部屋で会うのはまずい!)
功が二子川に何かするのは大体この部屋だ。
功の部屋には、何故か繋ぐフックも色々な所に完備されている。
こんな所でエンカウントしたら、またぶっかけられる。最悪だ!
「ニコちゃーん?日にち間違っちゃったー。ニコちゃ〜ん。」
先程よりも声が近い。
(っ、あと、少し…っつ!)
「にーこーちゃーんー!」
(よしっ!…どぁっ!)
「ニコちゃん?」
気を抜いた瞬間に、椅子のキャスタが動き机の下に落ちる。
同時に、ぶちりといくつかのコードを抜いてしまった。
(!)
ぎぃ…
そんなこんなとあたふたしている間に、功が部屋に入ってきた。
二子川はとっさに机の下から出て、部屋の隅にかくれた。
「あっれー?音がしたし、ニコちゃんはここにいる気がしたんだけどな…」
何とか上手くいった。
功は部屋に入っても二子川がいないと思っているらしい。
(今のうちに…何とか死角を利用して部屋の外に…)
「仕方ない。にこ先輩を見よ。生で会いたかったのになぁ〜。会いたかったですね、にこ先輩。」
(?功が今日会いに行ったのは…俺?)
静流が前に言っていた、功が二子川の治療に一役買っているというのは本当と言う事か。
「にこ先輩〜。」
こうは「にこ先輩」と繰り返し呟きながら、パソコンを操作する。
(そもそも、功はいま何の仕事をして……!)
二子川の視界がぐらりと揺らぐ。
「あれ?うつらないな…。えーパソコン壊れた?」
最後に残念そうな功の声だけが耳に響いた。
「あぁ、そうか。ニコちゃーん!行ってくるね!」
何処かに行くらしい功が二子川に最後にと抱き、キスを落とすと部屋を出て行った。
「じゃ、俺らも行こっか♡」
「……うん…。」
静流も柚木の腰に手を添え、二階へ消えていく。
あっという間にリビングには二子川だけになった。
(静流の野郎…俺が人間だとバレたら柚木を良い様に出来ないからって、相談する気ないだろ!)
腹が立つ。
果たして静流は本当に、自分の味方なのかどうなのか。
やはりそれはかなり際どい。
(しかし犬だって、功の部屋を漁る事位は出来る!)
二子川は釈然としないものを抱えつつも、功の部屋へ向かった。
カチャ…
都合よく功の部屋のドアは少しだけ空いていたので、体で強引に開けて入る。
とりあえず…パソコンだな。
(…く、前足が使いにくい…。)
キーボード1つ押すのに一苦労だ。
おまけにキャスター付きの椅子が不安定で、全てがやりにくい。
何とかフォルダの一覧を表示させて、中身を確認して行く。
(…めっちゃ俺の隠し撮りあるな…。)
高校時代の姿は当たり前に、何故か社会人時代の物まである。
(やっぱり、功はずっと俺を見ていたのか?でも何故…それなら直ぐに接触してこなかったんだ?何故、今頃になって…)
功の行動の意図が見えない。
人を雇って写真を撮らせていたにしても、自分の居場所はずっと把握していたようなのに。
何故接触してこなかったんだ?
不可解だ。その不可解さが、功への不信感を深める。
(まさか…本当に功が俺を?)
つい考え混んでしまっていた時だった。
「ニコちゃーん、只今ー」
「‼︎」
(…え⁈こ、功⁈早っ!)
玄関を開ける音と、功の声が聞こえた。
(まずい!普通の犬がこんな事するはずない…っ!)
慌てて開けていたフォルダを閉じるが、焦りと犬の前足では中々スムーズに事が運ばない。
(第一、この部屋で会うのはまずい!)
功が二子川に何かするのは大体この部屋だ。
功の部屋には、何故か繋ぐフックも色々な所に完備されている。
こんな所でエンカウントしたら、またぶっかけられる。最悪だ!
「ニコちゃーん?日にち間違っちゃったー。ニコちゃ〜ん。」
先程よりも声が近い。
(っ、あと、少し…っつ!)
「にーこーちゃーんー!」
(よしっ!…どぁっ!)
「ニコちゃん?」
気を抜いた瞬間に、椅子のキャスタが動き机の下に落ちる。
同時に、ぶちりといくつかのコードを抜いてしまった。
(!)
ぎぃ…
そんなこんなとあたふたしている間に、功が部屋に入ってきた。
二子川はとっさに机の下から出て、部屋の隅にかくれた。
「あっれー?音がしたし、ニコちゃんはここにいる気がしたんだけどな…」
何とか上手くいった。
功は部屋に入っても二子川がいないと思っているらしい。
(今のうちに…何とか死角を利用して部屋の外に…)
「仕方ない。にこ先輩を見よ。生で会いたかったのになぁ〜。会いたかったですね、にこ先輩。」
(?功が今日会いに行ったのは…俺?)
静流が前に言っていた、功が二子川の治療に一役買っているというのは本当と言う事か。
「にこ先輩〜。」
こうは「にこ先輩」と繰り返し呟きながら、パソコンを操作する。
(そもそも、功はいま何の仕事をして……!)
二子川の視界がぐらりと揺らぐ。
「あれ?うつらないな…。えーパソコン壊れた?」
最後に残念そうな功の声だけが耳に響いた。