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圭人くんの開発

「うっまっ」
「ほら、圭人くん、ここでぐびっと日本酒いくのがいいんだよ。」
「んっ、あ゛ーーー、本当だ!!これ、本当、うま〜!」
「………ははっ、なんか、圭人、餌付けされてんな。」
「え?」

俺が圭人くんに牡蠣を食べさせてあげていると、晃が横から笑いながら茶化してくる。餌付けかぁ。まあ、そんなものかも知れない。圭人くん、高価な食べ物で割と簡単に釣れるから。結果として、この手法は良く使う。

「はっ、そんな事ないぞ〜。」
「はいはい。酔っ払いの戯言。」

圭人くんがうにゃうにゃと弁解するも、周囲はただ笑うだけだ。よしよし。圭人くん、結構出来上がってきたな。この調子なら、このまま圭人くんをうちに持って帰れそう。

「しかし、直樹、圭人と仲良かったんだな。」
「うん。仲良しだよ。」

内心笑う。きっと、皆が思うよりもだいぶ親密な仲だよ?

「晃は、彼女にもう未練無いの?」
「あー、…ははっ、実はさ、結構未練タラタラ…。」
「ふーん…そっか……。」
「今思えば、俺も言葉が足りなかったなぁって。」
「言葉?」
「もっと、なあなあにせずにちゃんと、1つづつ話し合ってたら、もっと、変わったんじゃないかなって…。小さな綻びが溜まって、浮気されたのかなぁってさ。」

晃は本当に後悔しているようで、感傷に浸り話した。後悔か……。俺は先日の、圭人くんとの喧嘩を思い出した。

「そうだよね。つい、一言足りなくなってしまったり、まぁいっかって、勘違いのままにしちゃったり、あるよな。…確かに、良くないよな。俺も、やっぱり、ちゃんと解決しないとだな…。」
「へぇー、直樹もそんな思う相手いるの?」
「いるよ。」
「「まじか!!」」

俺の言葉に、晃と佐野が声を上げた。確かに、今までは彼女に対してドライだったから、こんな事話すの初めてかもな。

「へー、次はどんな子?お前ローテーション早いからなぁ。どんくらい続いてんの?」
「どんな感じの子?」

晃と佐野は食い入るように聞いてくる。俺は圭人くんをチラリと見るが、こっくりこっくりと船を漕いでいた。

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「直樹本当に大丈夫か?」
「うん。大丈夫。俺が飲ませすぎちゃったし。」

会がお開きになった時、圭人くんは完璧に酔っ払っていた。そして、俺の家がここから1番近いので、俺が連れ帰ることになるのは当然の事だった。狙い通りにお持ち帰り出来て良かった。わくわく。

「圭人くん。圭人くん。」
「んんっ…、」

ちょっと《準備》してから俺は圭人くんを揺すった。中々起きないなぁ…。

「ん……ーーー」

圭人くんはまた静かに寝息を立て始める。俺も下心のままにガンガン酒のましたのは事実だけど……圭人くん、本当に無防備過ぎる…。俺は顎に手を当て考え込んだ。
………………。いや、これはこれで、良いのかもしれない。
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