逃亡、不可
最初は雨が降る日だった。
「久世、見積先方に送ったか?外線に問い合わせきたぞ。」
「…え?それ、11/4期限じゃ…」
定時後、上司の鬼頭に怖い顔で聞かれてカレンダーを見る。
あー、今日、11/4ですね。月替りって、よく間違えるよね。
自分の間違いに気付いてダラダラと冷や汗が出てくる。
「…ちっ、先方、今回相見とってるから、このままだと契約落とすぞ。」
「…」
鬼頭のでかい舌打ちにびくりとしてしまう。
ただでさえ怖いのに、怒ると更に怖い。威圧的過ぎるんだこの人。
「き、鬼頭さん…」
「はぁっ…。ふざけんなよお前。先方に連絡して一日だけ待ってもらえ。その後はエンジニアに至急連絡。インフラとサポートも押さえとけ。規模感伝えて、最大値で見積算出してもらえ。高くなるが、もう仕方ない。」
「はい…。」
「…久世。」
「はい?」
あーあ、受付嬢との合コンの予定が。
鬼頭の指示の指示を聞きながら、内心では呑気な事を考えていると呼び止められる。
一応、形だけはおずおずとを装って振り返る。
「本当、お前ふざけんなよ。」
「すみません。」
追い叱咤か。
とりあえず、さっさとすまして早く合コン行きたい。
ポーズだけは塩らしくその場を去ると、再び後ろで舌打ちが聞こえた。
———-
「久世、出来たぞ。」
「ありがとうございます。」
「あれ?鬼頭さんまだ居るの?」
「はい。まだ居ますね。」
見積もりを渡しにきたエンジニアは、まだ残っている鬼頭をみて目を丸くした。
こちらとしては「さっさと帰ればいいのにね。」と思ってしまう。
「はは、久世は本当鬼頭さんに可愛がられているなぁ〜。」
「いえ…。」
多分あの人、また追い叱咤するつもりで残っているだけです。
心の中でボヤいた。
前よりは大分慣れたけど、あんな強面に怒られるのはやはり怖い。自分がした事を棚に上げて、気が重い。
兎に角、ちゃっちゃと終わらせて、さくっと怒られて、さっさと合コンに合流だ。
それから2時間程してやっと全ての作業が終わった。
定時退社日なので、もう残っているのは鬼頭と自分だけだった。
「鬼頭さん、先方に送りました。」
「そうか。入れ。」
やっぱり、追い叱咤か。
鬼頭はいつも共有フロア内の自席にいるのに、今日は何故か個室の会議室にいた。
個室でがっつり叱られるのか。勘弁してくれ。
今度は割と本気でしょぼしょぼと部屋に入りドアを閉めた。
「違う。」
「え?…っ」
何がと顔を上げるといつの間にか目の前、肌が触れ合いそうな近距離に鬼頭がいた。
足音もしなかったし、さっきまで少なくとも20メートルは離れていたのに。
不気味だ。不気味過ぎて思わず小さくて後ずさるが、コツンと背がドアにぶつかるだけだった。
鬼頭の方が背丈が高いので、自然と見上げる形になった。
「!」
「鍵も閉めろ。」
鬼頭は久世の顔の横に手を突き、少し屈むとカチャリと鍵を締めた。
か、壁ドン。
…じゃ、なくて、何故鍵も?
まさか、殴られる?
ドクドクと心臓がさわぐ。
本当にそっちの人じゃないですか?という雰囲気の鬼頭は、見るからに筋肉もしっかりついた身体をしている。殴られたら痛いで済まなそうだ。
その上、正直なところ、殴られる覚えがあり過ぎる。
「あ、あの…き、ききき、鬼頭さん、鍵…なんで…」
顔が引きつり、どもる。
依然として謎の壁ドン体制のまま、鬼頭はこちらを見下ろしてくる。
バクバクと心臓がなる。
恐怖で漏らしそう…。
「…!」
恐怖心から目線が下がり、俯いて居るといきなり顎を掴まれた。
力加減がおかしくて、タコの口みたいな顔で目線を上げさせられる。
鬼頭はじっとりとした視線を投げてくる。
逸らしたいが、固定され動けない。
「お前はくだらない要求ばかりで煩いんだよな。」
「え?…あ」
言葉を理解する前に、鬼頭の目が赤く光り、目が釘付けになる。耳鳴がして、そこで意識がぱたりと途切れた。
—————-
「あっ、…っんつっ‼︎はっ、…うぅ…」
あれ?
「んぁっっ‼︎ーーーっ!」
何でこんな事、しているんだ?
頬がぬるつく。涎か?
次に気が付くと、久世は会議室の机にうつ伏せていた。
下は下着ごと降ろされて、突き出した後ろから強い快感と荒い息が聞こえる。
後ろから揺すられて、ガタガタと机が揺れる。
「…あっ、やっ、な…んんっ‼︎」
「ははっ、やっと我に帰ったか。」
「え、あっ、ーーーっ!」
「まぁ、それでも終らないわけだけど。」
どぷりと出て、身体が痙攣する。しかしそれに構わず、鬼頭は久世を卓に押しつけて律動を繰り返した。
「やだっ、ぁっ、またっ、んっ、ーーーっ!はぁっ!もっ、やっ、許してっ!」
「ははっ、顔面ぐちゃぐちゃ。」
「う、ぁっ」
前髪を掴まれて無理矢理顔をあげれると、後ろから頬を舐められた。
気持ち悪い。きつい。苦しい。
「あぅっ、な、…っ、あっーーーっ!」
「ふーっ。じゃ、帰るか。」
「あ…え?」
何のこと?
「ここですんの寒いし。俺が。」
「っーー!」
ずぼりと入れられていたものを引き抜かれて、また軽くいってしまった。
しかし、帰るって…何?
というか、この状況何?
「久世、見積先方に送ったか?外線に問い合わせきたぞ。」
「…え?それ、11/4期限じゃ…」
定時後、上司の鬼頭に怖い顔で聞かれてカレンダーを見る。
あー、今日、11/4ですね。月替りって、よく間違えるよね。
自分の間違いに気付いてダラダラと冷や汗が出てくる。
「…ちっ、先方、今回相見とってるから、このままだと契約落とすぞ。」
「…」
鬼頭のでかい舌打ちにびくりとしてしまう。
ただでさえ怖いのに、怒ると更に怖い。威圧的過ぎるんだこの人。
「き、鬼頭さん…」
「はぁっ…。ふざけんなよお前。先方に連絡して一日だけ待ってもらえ。その後はエンジニアに至急連絡。インフラとサポートも押さえとけ。規模感伝えて、最大値で見積算出してもらえ。高くなるが、もう仕方ない。」
「はい…。」
「…久世。」
「はい?」
あーあ、受付嬢との合コンの予定が。
鬼頭の指示の指示を聞きながら、内心では呑気な事を考えていると呼び止められる。
一応、形だけはおずおずとを装って振り返る。
「本当、お前ふざけんなよ。」
「すみません。」
追い叱咤か。
とりあえず、さっさとすまして早く合コン行きたい。
ポーズだけは塩らしくその場を去ると、再び後ろで舌打ちが聞こえた。
———-
「久世、出来たぞ。」
「ありがとうございます。」
「あれ?鬼頭さんまだ居るの?」
「はい。まだ居ますね。」
見積もりを渡しにきたエンジニアは、まだ残っている鬼頭をみて目を丸くした。
こちらとしては「さっさと帰ればいいのにね。」と思ってしまう。
「はは、久世は本当鬼頭さんに可愛がられているなぁ〜。」
「いえ…。」
多分あの人、また追い叱咤するつもりで残っているだけです。
心の中でボヤいた。
前よりは大分慣れたけど、あんな強面に怒られるのはやはり怖い。自分がした事を棚に上げて、気が重い。
兎に角、ちゃっちゃと終わらせて、さくっと怒られて、さっさと合コンに合流だ。
それから2時間程してやっと全ての作業が終わった。
定時退社日なので、もう残っているのは鬼頭と自分だけだった。
「鬼頭さん、先方に送りました。」
「そうか。入れ。」
やっぱり、追い叱咤か。
鬼頭はいつも共有フロア内の自席にいるのに、今日は何故か個室の会議室にいた。
個室でがっつり叱られるのか。勘弁してくれ。
今度は割と本気でしょぼしょぼと部屋に入りドアを閉めた。
「違う。」
「え?…っ」
何がと顔を上げるといつの間にか目の前、肌が触れ合いそうな近距離に鬼頭がいた。
足音もしなかったし、さっきまで少なくとも20メートルは離れていたのに。
不気味だ。不気味過ぎて思わず小さくて後ずさるが、コツンと背がドアにぶつかるだけだった。
鬼頭の方が背丈が高いので、自然と見上げる形になった。
「!」
「鍵も閉めろ。」
鬼頭は久世の顔の横に手を突き、少し屈むとカチャリと鍵を締めた。
か、壁ドン。
…じゃ、なくて、何故鍵も?
まさか、殴られる?
ドクドクと心臓がさわぐ。
本当にそっちの人じゃないですか?という雰囲気の鬼頭は、見るからに筋肉もしっかりついた身体をしている。殴られたら痛いで済まなそうだ。
その上、正直なところ、殴られる覚えがあり過ぎる。
「あ、あの…き、ききき、鬼頭さん、鍵…なんで…」
顔が引きつり、どもる。
依然として謎の壁ドン体制のまま、鬼頭はこちらを見下ろしてくる。
バクバクと心臓がなる。
恐怖で漏らしそう…。
「…!」
恐怖心から目線が下がり、俯いて居るといきなり顎を掴まれた。
力加減がおかしくて、タコの口みたいな顔で目線を上げさせられる。
鬼頭はじっとりとした視線を投げてくる。
逸らしたいが、固定され動けない。
「お前はくだらない要求ばかりで煩いんだよな。」
「え?…あ」
言葉を理解する前に、鬼頭の目が赤く光り、目が釘付けになる。耳鳴がして、そこで意識がぱたりと途切れた。
—————-
「あっ、…っんつっ‼︎はっ、…うぅ…」
あれ?
「んぁっっ‼︎ーーーっ!」
何でこんな事、しているんだ?
頬がぬるつく。涎か?
次に気が付くと、久世は会議室の机にうつ伏せていた。
下は下着ごと降ろされて、突き出した後ろから強い快感と荒い息が聞こえる。
後ろから揺すられて、ガタガタと机が揺れる。
「…あっ、やっ、な…んんっ‼︎」
「ははっ、やっと我に帰ったか。」
「え、あっ、ーーーっ!」
「まぁ、それでも終らないわけだけど。」
どぷりと出て、身体が痙攣する。しかしそれに構わず、鬼頭は久世を卓に押しつけて律動を繰り返した。
「やだっ、ぁっ、またっ、んっ、ーーーっ!はぁっ!もっ、やっ、許してっ!」
「ははっ、顔面ぐちゃぐちゃ。」
「う、ぁっ」
前髪を掴まれて無理矢理顔をあげれると、後ろから頬を舐められた。
気持ち悪い。きつい。苦しい。
「あぅっ、な、…っ、あっーーーっ!」
「ふーっ。じゃ、帰るか。」
「あ…え?」
何のこと?
「ここですんの寒いし。俺が。」
「っーー!」
ずぼりと入れられていたものを引き抜かれて、また軽くいってしまった。
しかし、帰るって…何?
というか、この状況何?