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無自覚アブノーマル

「黒崎さんは男が好きなんですか?」
「…。」
…う。
会議室に這いつくばり床をウェットティッシュで自分の出したものを拭く本田を、椅子に座りタバコを吸う黒崎は冷たい目で見下ろす。
直球過ぎたか…。つか、一々、怖いんだよ。あと室内禁煙ですよーっ!
長い足を組み、溢れ出る雄気を纏い椅子に座る黒崎。まるで百獣の王だ。そんな奴に鋭い目で見られると、怖いに決まっている。
「お前はよく鳴いてたな。」
「べ、別に…そうでもないです。」
確かに、気持ちいいか、良くないか。その二択だと、答えはハッキリしている。
しかし、断じてそんな事認められない。
雑念を振り払うが如くゴシゴシと床を拭いた。
「つか鳴いてたとか、変態オヤジか。」
「あ゛?」
「…っ、ふ、拭き終えました。」
小声で悪態をつくと、凄い目で睨まれる。慌てて話をそらす。
「気持ち良いと言っていたのは、聞き間違いか。」
「はぁ⁈聞き間違いです。それにさっきの事はこれでチャラに…」
《あっ、ふっ、ん…っ、き、きもち……ぃっ!》
「いや、聞き間違いじゃないな。確かに言っている。」
「…!」
黒崎はスマホ画面も見てニヤリと笑った。対する本田はそんな黒崎を見て顔を青くする。
と、撮られて…た?
「そ、それ、消しますよね?言わないって、約束ですよね⁈」
「ああ。自慰は言わない。」
「え?ちょ、ちょっと…」
「そう言うことだから。」
「あっ」
黒崎が徐に立ち上がり、本田の前に立つ。急に近づいた黒崎の圧に押され、本田は思わずぺたり尻餅をついてしまった。そんな本田の肩を黒崎が叩いく。
「これから宜しくな。恭弥。」
「!」
なにを…?っていうか、名前…。
その場にへたり込んで動けない本田を残し黒崎は会議室を出て行ってしまった。
宜しくって…。嘘だろ…。
真っ暗な会議室で一人、本田は絶望した。
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