無自覚アブノーマル
※黒崎視点
(俺はなにをしているだ…。)
本田の家に行ってみたら想像以上に酷い有様で、我慢させられていた本田は本能的だった。
自分も本田に流され、結局、手を出してしまった。
ベッドの上に座り、頭を抱える。
「…呑気な奴だな」
隣を見ると、ベットで呑気に寝ている本田がいた。
「んがっ…」
本田は寝ながら口をモゴモゴとさせ寝返りを打つ。
暢気過ぎて、見ていると口元が緩む。
思えばずっと好きだったのかもしれない。好きだから仕事面で期待もしてしまうし、好きだから関わるとか感情が制御出来なくなる。
自分にはない、猪突猛進な姿や楽観的な思考。
それら全てに惹かれる。
「…どうするか…。」
しかし自覚したからと言って簡単じゃない。
好きだから幸せになって欲しい。
本田の幸せに、自分は利となるのか。
黒崎はまた深いため息をつき、シャワーに向かった。
———-
「…お前、何してんだ。」
「そっちこそ、何してんすか。」
シャワーから上がると、不満気な深谷がいた。
爆睡している本田の隣に座っている。
何となく想像はしていたので、驚きはないがうんざりはする。
「カメラで見たろ。お前の嘘はもう通用しないからな。」
深谷が眉を寄せる。
「別にそんなもの必要ありませんよ。これまで撮ったもので本田を脅す事も出来ますし。」
ふんっと鼻を鳴らす。
「はーっ…そんなの、おかしいってお前も気づいているだろ。」
「…」
呆れてため息が出る。
子供じみた深谷に諭すように、黒崎は続けた。
「脅しても、永遠に本田の気持ちは手に入らないぞ。」
「…べつに……」
図星だろう。
深谷の顔が苦し気に歪む。いつも飄々としているので、こんな顔は初めて見た。
こいつなりに、本気なのだろう。
「もう本田に変な事はするなよ。気持ちがあるなら、もっとちゃんとした形で向き合え。別に俺と本田がどうこうってわけはないし、そもそも本田は…」
自覚しているが、言葉にするのが辛い。
しかし深谷を止めるために言わなければ。
「本田も、俺の事は別に好きじゃない。ただ、本田にとって俺が都合良かっただけだ。」
「…はっ、黒崎さんって案外純だな。」
一瞬、深谷は黒崎の表情に驚いた顔をしたが、次には鼻で笑う。
「ま、良いですよ。」
深谷はわざと黒崎に肩を当て、玄関に向かった。
「やり方を変えるだけだし。」
「あ?」
深谷は捨て台詞に何か呟いく。
小さくて聞き取れないが、良くないことを言った気がした。
「深谷、監視しているからな。」
「はっ、俺も監視してるよ。」
杭を刺すつもりで強めに言ったが、ふてぶてしく睨み返される。
そのまま深谷は玄関から出て行った。
「……はぁー…」
ため息がまた出てしまう。
しかし、やはり本田はだめだ。
これ以上関わると泥沼だ。
本田に昨日のことは謝り、もう必要以上に近付くのはやめよう。ただ、深谷が何かしないだけ監視して。本田が幸せになるのを見守ろう。
そう思ったのに。
「ご主人様になってくださいっ‼︎」
「…」
(何でお前はそうなんだよ!)
正直、告白されると思った。
だってそうだろう。
赤い顔で、可愛く、朝イチで……SMの誘いするか普通?
(…どうするか…深谷……は、まぁどうでもいいが。)
指でコツコツとテーブルを弾く。
昔本気で好きなった人がいたが、苦い思い出だ。
(あれ以来、やめようと思っていたのに。)
『もう無理』
好きになると相手の全てが欲しくなる。
好きと言う気持ちと、支配欲や独占欲が比例して上限なく上がる。
『お前、重たいよ』
全部自分のものにして、する時も一から全部管理したくなる。
相手はそれに耐えられない。
(本田も…)
きっと無理だ。
いや、良いかもしれない。無理だから、きっと自分の本性を知れば本田自ら逃げていくだろう。
黒崎は本田に目をむけた。
(俺はなにをしているだ…。)
本田の家に行ってみたら想像以上に酷い有様で、我慢させられていた本田は本能的だった。
自分も本田に流され、結局、手を出してしまった。
ベッドの上に座り、頭を抱える。
「…呑気な奴だな」
隣を見ると、ベットで呑気に寝ている本田がいた。
「んがっ…」
本田は寝ながら口をモゴモゴとさせ寝返りを打つ。
暢気過ぎて、見ていると口元が緩む。
思えばずっと好きだったのかもしれない。好きだから仕事面で期待もしてしまうし、好きだから関わるとか感情が制御出来なくなる。
自分にはない、猪突猛進な姿や楽観的な思考。
それら全てに惹かれる。
「…どうするか…。」
しかし自覚したからと言って簡単じゃない。
好きだから幸せになって欲しい。
本田の幸せに、自分は利となるのか。
黒崎はまた深いため息をつき、シャワーに向かった。
———-
「…お前、何してんだ。」
「そっちこそ、何してんすか。」
シャワーから上がると、不満気な深谷がいた。
爆睡している本田の隣に座っている。
何となく想像はしていたので、驚きはないがうんざりはする。
「カメラで見たろ。お前の嘘はもう通用しないからな。」
深谷が眉を寄せる。
「別にそんなもの必要ありませんよ。これまで撮ったもので本田を脅す事も出来ますし。」
ふんっと鼻を鳴らす。
「はーっ…そんなの、おかしいってお前も気づいているだろ。」
「…」
呆れてため息が出る。
子供じみた深谷に諭すように、黒崎は続けた。
「脅しても、永遠に本田の気持ちは手に入らないぞ。」
「…べつに……」
図星だろう。
深谷の顔が苦し気に歪む。いつも飄々としているので、こんな顔は初めて見た。
こいつなりに、本気なのだろう。
「もう本田に変な事はするなよ。気持ちがあるなら、もっとちゃんとした形で向き合え。別に俺と本田がどうこうってわけはないし、そもそも本田は…」
自覚しているが、言葉にするのが辛い。
しかし深谷を止めるために言わなければ。
「本田も、俺の事は別に好きじゃない。ただ、本田にとって俺が都合良かっただけだ。」
「…はっ、黒崎さんって案外純だな。」
一瞬、深谷は黒崎の表情に驚いた顔をしたが、次には鼻で笑う。
「ま、良いですよ。」
深谷はわざと黒崎に肩を当て、玄関に向かった。
「やり方を変えるだけだし。」
「あ?」
深谷は捨て台詞に何か呟いく。
小さくて聞き取れないが、良くないことを言った気がした。
「深谷、監視しているからな。」
「はっ、俺も監視してるよ。」
杭を刺すつもりで強めに言ったが、ふてぶてしく睨み返される。
そのまま深谷は玄関から出て行った。
「……はぁー…」
ため息がまた出てしまう。
しかし、やはり本田はだめだ。
これ以上関わると泥沼だ。
本田に昨日のことは謝り、もう必要以上に近付くのはやめよう。ただ、深谷が何かしないだけ監視して。本田が幸せになるのを見守ろう。
そう思ったのに。
「ご主人様になってくださいっ‼︎」
「…」
(何でお前はそうなんだよ!)
正直、告白されると思った。
だってそうだろう。
赤い顔で、可愛く、朝イチで……SMの誘いするか普通?
(…どうするか…深谷……は、まぁどうでもいいが。)
指でコツコツとテーブルを弾く。
昔本気で好きなった人がいたが、苦い思い出だ。
(あれ以来、やめようと思っていたのに。)
『もう無理』
好きになると相手の全てが欲しくなる。
好きと言う気持ちと、支配欲や独占欲が比例して上限なく上がる。
『お前、重たいよ』
全部自分のものにして、する時も一から全部管理したくなる。
相手はそれに耐えられない。
(本田も…)
きっと無理だ。
いや、良いかもしれない。無理だから、きっと自分の本性を知れば本田自ら逃げていくだろう。
黒崎は本田に目をむけた。