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無自覚アブノーマル

※黒崎視点

本田の事は、実は前から気にはなっていた。
本田の出す凡庸な企画には何故か人一倍腹が立つし、泥臭く頑張る姿には目が釘付けになった。
何故そう感じるのか。
自分の気持ちだが、自分でよく分からなかった。
それが先日の深夜オフィスでの事。
「くっそ…はぁっ、発表してやってんだからっ、…っ、なんか、コメントしろやっ!」
(最悪だ。あの馬鹿。人の椅子で何してやがる!その椅子、同期の総務部の奴にこっそり譲った貰った、役員用のちょっといい椅子だぞ。クソ変態。)
ひどい憤りを感じた。
結局、自分が本田に感じた何かとは、こいつの変態性だったのか。自分までもがくだらない生き物に思え苛立った。
「…忘れ物ですか?」
「ああ。そんなところ。」
(本当、こいつ馬鹿!何?「忘れ物ですか?」だ。お前こそ、脳みそどっかに忘れてた来たかっ!)
とぼける本田に怒りで震える。
本田は自分の下から速やかに外してもらおう。もうこんな馬鹿とは金輪際、関わりたくない。
しかし逆恨みでまたこんな事をされてはたまったのではない。一言、注意はしておくか。
ただ一言注意をして、もうこいつとは関わらない。
そう思っていた。
「あのっ、何でもするので…っ、これは、これは…どうか誰にも言わないで下さい…。」
「…」
涙目で床に這いつくばり懇願する本田。
その姿は悪くなかった。
「本田、後ろ、使った事あるか?」
「…え。」
(あ、不味い。)
何を聞いているんだ。
思わず自分の口をついて出た言葉に、自分で驚いた。
変態で馬鹿な本田ですら、戸惑いの声を出している。
流石に社内の、しかも部下にこんな事。パワハラやら何ハラやら、訴えられたら上司である自分が不利だ。
受けるダメージも大きい。
「…い……」
いや、忘れてくれ。
そう言うつもりが、本田と目が合った瞬間に言葉を飲み込んでしまった。
本田はありありと期待を含んだ眼でこちらを見上げていた。
本田。お前、本当に馬鹿。そして本物の変態。

「…んっ、あっ♡、」
(え。本当かよ、こいつ…。凄い感じてるじゃん。やっぱり、初めてじゃないのか。え。)
そう考えると、不思議な事に苛ついた。
「…ぐっ…あ、うわっ…んっ」
「…ふっ」
どうしても気が治らず、少し激しく動くと本田から明らかな喘ぎ声が漏れる。
それがおかしくて笑ってしまった。
ちょっと気分がいい。
「ほら、雌になった感想聞かせろよ。」
「…っ」
興が乗ってしまい、少し追い込む様なことも言ってしまった。我ながら陳腐な言葉攻めだったが、本田は明らかに快感を感じていた。
(こいつ、無自覚でドマゾか)
日頃の無駄にプライドが高い本田とのギャップは凄まじい。
やがて本田は快感に涙を流し始めた。
「あっ、ふっ、ん…っ、やばっ、…あっ、き、きもち……ぃっ!」
本田のその声が愉快で堪らない。
黒崎はキツく、本田を更に追い込む。
同時に、日頃抑え込んでいる衝動がムクムクと湧き上がった。
もっとこいつを支配したい。
まるで見えない首輪をつけている様に。
閉じ込めて、管理して、徹底的に。
飼い慣らして、自分だけのものにしたい。
「ははっ」
愛でたい
「…ん、ふっあっっ」
「っ…はっ、」
本田の漏らした喘ぎに、また無意識のうちに笑いが漏れた。
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