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【完結】取引先の上司がストーカーです

『碧くん…もう、挿れるね?』
『え⁈ダメ!』 
ベッドで殿村にのし掛かられる。ぶん殴ろうと手を振りかざした筈なのに空振る。
殿村は既に鼻息荒く、いつもきっちりとセットされている髪が乱れパラパラと数本落ちていた。
『ダメじゃないか、碧くん。そんなんじゃ矢野くんに負けちゃうよ。』
『え…。』
『ほら、碧くん…。力抜いて?俺に任せていれば、大丈夫だよ。…ね。気持ちよくしてあげるから。』
『…っ‼︎』
つい、一瞬だけ、殿村のチンケな脅しに屈してしまった。その隙を狙ったかのように、ずるんっと質量のあるものが中に入ってくる。
『大丈夫、大丈夫。気持ちいいところだけ。そこだけ、重点的に突いてあげるから。』
『ふっ、あっあっ…‼︎』「うわぁぁぁぁあ‼︎」
碧はベッドの上で飛び起きた。
どっどっどっどっ。
心臓が飛び出そうな勢いで騒ぐ。
な、なんだ…、さっきの世にも恐ろしい悪夢。生々しすぎる。
「あれ?いつの間に?」
碧がいたのは、自分の部屋のベッドの上だった。
「…ま、まさか…。」
脳裏にぶわりと蘇る、先程の生々しい悪夢。
「う〜ん…。」
「!」
隣で唸り声が聞こえ、弾かれたようにそちらへ目を向ける。シーツに隠れて見えないその影がのそりと動いた。
「あ、先輩…。昨日は…」
「な、七緒⁈何で?」
「先輩…」
「…!」
ベッドから起き上がった七緒は、パンイチだ。
よく見れば、自分もパンツしか履いていない。
ま、さか…。
「うぅ、せ、先輩…。」
碧が狼狽えている間に、七緒は寝起きから覚醒したようだ。
うるうるとした目で見上げてくる。
「先輩…、責任、取って下さいね…。」
「!」
そして急に抱き付いきた。
「え、そ、それって…な…何?どゆこと⁈」
「…俺の口からはとても…。」
「‼︎」
七緒は苦し気に眉を寄せ俯いた。
えぇ…。
「で、でも、まさか…なぁ…?そんな事ないよな?」
「そんな事ありました。」
え。
「…ご、ごめん…七緒!本当にすみませんでした!…お、お互い、酒によっていたんだよな…?」
碧はベッドの上で頭を擦り付けて土下座した。
「…え?」
「七緒、本当にごめん。俺がやった事は許されない…。し、しかし、お互い酔っていたのなら、また明日から…。」
「そんなのダメでしょ。」
「っ!」
弁明する碧に、七緒が冷たく言い放つ。
でも、確かに…。先輩である俺が明らかに悪い。…あぁ、でもこれってどうなるの?解雇?寧ろ、それどころじゃないよね⁈後輩に性犯罪って…社会的に…終わる。でも元はと言えば自業自得だ。例え社会的に俺が終わっても、七緒が許せないならそれは、無かった事になどできない…。でも怖い!
「はい、先輩。チーズ。」
「え?」
カシャッ
七緒が何処からかスマホを取り出して、シャッターをきった。
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