【完結】取引先の上司がストーカーです
しかしそれから数日、通知が百件を超えたあたりから流石に怖くなり、碧は遂にメッセージアプリを開いた。
《今晩は^_^》
《もう寝ちゃっているかな…。寝ていたら、朝でいいから連絡してね》
《おはよう!碧くんの返事を待てなくて、また俺から連絡しちゃった…。ごめんね…。》
・
・
《なんで返事くれないの(^^)?》
《ごめん、今日も終電帰りだったんだね!それなら、仕方ないか!》
《今夜はゆっくり休んでね!》
・
・
《今日は定時退社日だよね?》
《夜、一緒に呑み行かない?》
《おーい!》
《連絡そろそろ頂戴(^^)》
《わかった。碧くんは意地悪されるのが好きなんだね。》
《それなら、碧くんの趣味趣向に、俺なら全力で答えられるよ。》
《俺、虐めるの、好き(^^)》
「…。」
や、やばい…。
何故か、この(^^)ニコニコマークが恐ろしい。ニコニコの裏に静かな怒りが見える。
けど普通に考えておかしい。異常とも言える。確かに返事をするとは言ったが、無理矢理に連絡先を交換したくせに返事が来ないと不満をたれるとは。
ブーブー
「!」
そうこうしているうちにまたスマホが振動して、碧はびくりと小さく肩を揺らした。またメッセージの通知だ。そして当たり前に、殿村からのメッセージだ。
…これは、もはやホラーだ…。
———
「おは…先輩?どうかしました?」
「え?あ、あぁ、おはよう。いや、大丈夫。俺は元気。」
朝、出社後に隣の席に座る碧の顔を見るや否や七緒が心配そうな声を出す。
「滝川くん。ちょっといいかな?」
「はい?」
七緒にどう返事をしようか。
そう悩んでいると部長に呼ばれた。
「滝川、海南物産の案件どうなった?」
「はい。先週、プレゼンも問題なく終了しました。」
「…感触、悪くはなかったか?」
「?い、いえ、そんな事無いですよ?」
怪訝な顔をする部長に碧は内心どきりとする。
《俺、虐めるの、好き(^^)》
脳内であのニコニコマークがピコピコと跳ねた。
「それがさ、小竹向さんから今朝メールがあってね。海外転勤になりました。今週末の壮行会ではよろしくお願いしますって。」
「はい?」
「うち、送別会には正式に招待されてないよね?」
「あ…。」
「それとなく聞いたら、NT社は呼ばれているらしいよ。」
「…。」
「暗に、うちとはもう契約する気ないって事かな?」
碧には、壮年の部長がしょんぼりとしている姿が見ていて辛いものがあった。
「だ、大丈夫です。」
「え?本当?」
「はい。俺が海南物産さんから案内メールを頂いていたのに、皆に転送していなかったからです。うちも誘われています。」
「そうなの!良かった!海南物産が切れたら、うち、数億の損失になるからね!もー、びっくりしたよ。」
「…そうですね。びっくりしますね。本当、信じられませんね。」
碧は急ぎ足で自分の席に戻ると、スマホを取り出した。もう殿村からの連絡はない。
自分が連絡しなくても、俺が連絡するでしょ。ってか…。
内心、恐怖と怒りが渦巻きもう連絡をしたくない。しかしこのままでは不味い。
《殿村さん、連絡ごめんなさい。ちょっと話せるかな?》
《いいよ!》
数秒とおかずに殿村から返信がくる。早すぎてひく。
《今夜、このお店予約したから。》
「…いつ…予約したんだよ…。」
そして直ぐに、殿村からお店の情報が送られてくる。
殿村の最初からこうなると全て分かっていたと言わんばかりの早い返信に、碧の恐怖が募った。
《今晩は^_^》
《もう寝ちゃっているかな…。寝ていたら、朝でいいから連絡してね》
《おはよう!碧くんの返事を待てなくて、また俺から連絡しちゃった…。ごめんね…。》
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《なんで返事くれないの(^^)?》
《ごめん、今日も終電帰りだったんだね!それなら、仕方ないか!》
《今夜はゆっくり休んでね!》
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《今日は定時退社日だよね?》
《夜、一緒に呑み行かない?》
《おーい!》
《連絡そろそろ頂戴(^^)》
《わかった。碧くんは意地悪されるのが好きなんだね。》
《それなら、碧くんの趣味趣向に、俺なら全力で答えられるよ。》
《俺、虐めるの、好き(^^)》
「…。」
や、やばい…。
何故か、この(^^)ニコニコマークが恐ろしい。ニコニコの裏に静かな怒りが見える。
けど普通に考えておかしい。異常とも言える。確かに返事をするとは言ったが、無理矢理に連絡先を交換したくせに返事が来ないと不満をたれるとは。
ブーブー
「!」
そうこうしているうちにまたスマホが振動して、碧はびくりと小さく肩を揺らした。またメッセージの通知だ。そして当たり前に、殿村からのメッセージだ。
…これは、もはやホラーだ…。
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「おは…先輩?どうかしました?」
「え?あ、あぁ、おはよう。いや、大丈夫。俺は元気。」
朝、出社後に隣の席に座る碧の顔を見るや否や七緒が心配そうな声を出す。
「滝川くん。ちょっといいかな?」
「はい?」
七緒にどう返事をしようか。
そう悩んでいると部長に呼ばれた。
「滝川、海南物産の案件どうなった?」
「はい。先週、プレゼンも問題なく終了しました。」
「…感触、悪くはなかったか?」
「?い、いえ、そんな事無いですよ?」
怪訝な顔をする部長に碧は内心どきりとする。
《俺、虐めるの、好き(^^)》
脳内であのニコニコマークがピコピコと跳ねた。
「それがさ、小竹向さんから今朝メールがあってね。海外転勤になりました。今週末の壮行会ではよろしくお願いしますって。」
「はい?」
「うち、送別会には正式に招待されてないよね?」
「あ…。」
「それとなく聞いたら、NT社は呼ばれているらしいよ。」
「…。」
「暗に、うちとはもう契約する気ないって事かな?」
碧には、壮年の部長がしょんぼりとしている姿が見ていて辛いものがあった。
「だ、大丈夫です。」
「え?本当?」
「はい。俺が海南物産さんから案内メールを頂いていたのに、皆に転送していなかったからです。うちも誘われています。」
「そうなの!良かった!海南物産が切れたら、うち、数億の損失になるからね!もー、びっくりしたよ。」
「…そうですね。びっくりしますね。本当、信じられませんね。」
碧は急ぎ足で自分の席に戻ると、スマホを取り出した。もう殿村からの連絡はない。
自分が連絡しなくても、俺が連絡するでしょ。ってか…。
内心、恐怖と怒りが渦巻きもう連絡をしたくない。しかしこのままでは不味い。
《殿村さん、連絡ごめんなさい。ちょっと話せるかな?》
《いいよ!》
数秒とおかずに殿村から返信がくる。早すぎてひく。
《今夜、このお店予約したから。》
「…いつ…予約したんだよ…。」
そして直ぐに、殿村からお店の情報が送られてくる。
殿村の最初からこうなると全て分かっていたと言わんばかりの早い返信に、碧の恐怖が募った。