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【完結】取引先の上司がストーカーです

「うん。初心なんだ…俺。」
「…。」
ごくり
おい。何度生唾飲むんだ、変態。
「だから、初体験がこんな急だと、ちょっと怖いな。もう少し、仲を深めて、落ち着いてからやり直そう?」
「…うん。分かったよ。急に清い碧くんを驚かせてごめんね。じゃあ、もっと仲を深めて…そうだね、一ヶ月後あたりにしよっか!」
「うん!…………うん?」
え?今、なんて?
勢いで頷いた後、碧は殿村の言葉を頭の中で反芻した。
『そうだね、一ヶ月後あたりにしよっか!』
あれ、おかしい…いや、おかしいだろ!
「ちょっ、殿村くん、こういうのって、いつって決めてするものじゃないでしょ?その場の流れとかさ、雰囲気とかさ、色々あるでしょ?」
「でも、流れ的に今だけど、今は怖いんでしょ?それなら、いつって決めた方が心の準備期間があっていいよね?」
慌てて軌道修正を図るが、殿村にとぼけた調子で返される。
そんなの良いわけないだろ!詭弁だ!あと、流れ的に今でも何でもない!
「そ…そもそも、俺たち健全な友達…」
「大丈夫!一ヶ月後には恋人になるから!」
「え、なんで?」
「ふふ、えっちするからだよ。」
碧の必死の問いに、殿村はクスクスと笑う。
「いやいや、言ってる事おかしくない?」
「碧くん、さっきのはイエローカードだからね。」
「は?」
なんだ?基本的に恐ろしい事しか言わないが、殿村はまた急ににこにこと違う話をしてくる。
「イエローカード二枚でレッドカード。即、犯すからね。」
「…え?」
一瞬何の話か分からなかった。
だって殿村は相変わらずニコニコとした調子で、淀みなく会話をしてきたから。
そもそも、自分はある意味被害者だったはずなのに…。なんで?
いや、もっというと、そもそも…
「ふ、普通、イエローカード三枚でしょ?」
「あはは、俺がどこまで耐えれるかにもよるからね?」
「そ、そんな…」
「あと、嘘ついたら、犯す。」
「え?」
「それに、さっきのが嘘で、本当は既に誰かとセックスなんてしていたら、監禁する。」
「えぇ⁈」
殿村は止めどなく、畳み掛けるように碧に詰め寄った。殿村が碧を拘束する力は、言葉に連動するかの如く強くなる。その様子に碧は心底震えた。
「監禁して、犯す。ずっと、永遠に、エンドレスで犯すから。」
「何それ⁈犯罪‼︎そんな事無理だよ!」
「出来るかどうやじゃなくて、やるんだよ。」
碧の悲鳴に殿村は綺麗な顔で微笑んで答え、ちゅっとキスをした。
「だから、嘘はだめなんだよ?」
「……。」
甘く囁く殿村に、碧は再び茫然となった。
俺…、既に嘘ついてます。童貞じゃない。え?バレたら監禁されるの?バレる事はないだろうけど…いや、監禁だなんてそんな事無理だよな?
「か、楓くん、あのさ…」
「なに?自己申告?」
「…あ」
今言った方が、傷は浅いのか…?
ふとそう思い、探りを入れる様に殿村に話しかけた。
殿村は、今なら何を言っても許してもらえそうな優しい雰囲気だった。
「それなら、俺、碧くんのパンツ姿に勃っちゃったから、丁度いいよ。」
「何でもないです。」
「なんだ〜。」
ダメだ。言えない。
言ったら即刻、食われる。
碧は殿村の言葉にかぶせるように、強めに否定の言葉を述べた。
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