日記

『猫が見ていた』アンソロジー小説

2024/11/02 00:01
小説の話
2024/11/1

 次はアンソロジーを読んでみた。

『猫が見ていた』
湊かなえ
有栖川有栖
柚月裕子
北村薫
井上荒野
東山彰良
加納朋子

 合計7人の作家さんによるアンソロジー小説。文春文庫。

 全部は紹介は大変なので、印象に残ったのを紹介しようと思う。

『マロンの話』湊かなえ
可愛いらしいお話だった。野良猫だったマロンが、ほたん(おじさん)、おばやん、ター(子供)たちの家に飼われるお話なんだけど、徐々に絆が生まれる過程がよかった。ミルのお話も聞きたかったな。

『エア・キャット』有栖川有栖
どうやらシリーズもののお話の一端みたいで、作者と同じ名前の有栖川有栖と、火村英生という臨床犯罪学者のコンビものみたい。話はマジックが主体で、殺人事件の現場でわからなかった手掛かりを、火村が見つけて解決に導くお話だった。火村が飼っている猫の名前が、小次郎、瓜太郎、桃と変わっていて、もうちょっと猫の話がみたかった。

『泣く猫』柚月裕子
自分を捨てた母親の葬式中に、現れた一人と一匹の猫の弔問客により、憎んでいた母への気持ちが、実は主人公は泣きたかった想いが隠れていたことに気付くお話。母親が可愛がっていた猫に、娘の名前を付けていたことが、不器用な愛情が見え隠れしていて、それが主人公の頬を濡らす。

『凶暴な気分』井上荒野
不倫の末妊娠してしまい、同じマンションに住む人の猫を勝手に捕まえ、勝手に家に監禁して、やさぐれた気持ちで全てに苛立つ人の話。こう書くと身も蓋もない話のようだが、一応不倫の末の妊娠で気分が悪く、気持ちも落ち込んでいる中で苛立つのはしょうがないとは思う。でも、脱走した猫を必死で探す人に八つ当たりしなくても……と思った。共感は出来ない主人公だった。

 ちょっと読みにくい、または興味が持てなかった作家さんもいて、全部は読めなかった。

 猫が出てくるお話ばかり集めたアンソロジー小説だったけど、湊かなえみたいにもうちょっと猫主体なお話が読みたかったな。


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