日記

桜井幽の『沼』

2023/07/17 00:14
マンガの話
 ホラー漫画家である桜井幽(さくらいかすか)先生の作品の『沼』が好きでした。

 他のペンネームでは、なかがわらみか名義でやっていたそうです。

 あの『沼』の仄暗く、こちらまでその空気が漂ってくるような雰囲気、太陽と悪魔の人魚に対する行動の違い。

 悪魔の切ない恋心、人魚の禍々しい美しさ。

 その全てが惹きつけられて、私の心に焼き付けられました。

 すみません、お話がまだでした。

 ではお話の内容を。




 沼には一匹の美しい人魚が住んでいました。

 悪魔は人魚に恋をしましたが、しかし自分の醜い翼を人魚には見せられず、そっと物影から人魚を眺めていました。

 しかし太陽が沼に住まう人魚に恋をして、自分の物になるように言います。

 人魚は太陽のじりじり焼き付く暑さに嫌悪します。

 太陽は怒り、人魚に更に真っ赤に燃えさかり、人魚の体はどんどんとその灼熱の熱さで干からびていきます。

 人魚の悲痛な鳴き声に見ていられなくなった悪魔は、太陽の前に姿を表します。

 悪魔は太陽に身を投げ出し、その体はバラバラになってしまいました。

 血飛沫を上げて地上へと降り注ぐ悪魔の体は、干からびていた人魚の体や沼をも満たしていきます。

 生き返った人魚は高笑いを上げ、悪魔はそのまま死んでしまいました。


 と、こんなお話なんですが、絵柄がまたね、お話に合っていて魅力的でした。

 残念ながら単行本は出ていないようですが、いまでも心に残るホラー漫画です。

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