日記

お礼と初版グリム童話

2023/07/26 00:02
小説の話
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 改訂されていない最初の残酷なグリム童話が好きです。

 子供の時に知り、かなり衝撃を受けました。

 例えば『白雪姫』は継母ではなく実母で、白雪姫は最後母親を熱した鉄の熱い靴を履かせて踊らせていますし、『灰かぶり(シンデレラ)』は、義理姉たちがガラスの靴を履くために足を切り落とし履いたり、『ラプンツェル』は妖精のおばさんに塔から追放されたのは、洋服がキツくなったことを言って男と逢い引きしていたことがバレたからだったり。

 性の描写や残酷な行為などがあり、当時の親たちに「とても子供には話して聞かせられない!」と苦情が来て、どんどん改訂して削っていったそうです。

 有名どころ以外にもグリム童話はたくさんのお話があり、今回はあまり知られていないグリム童話の魅力を、ネタバレありで話したいと思います。

『ホレおばさん』
 母親に虐げられている娘がホレおばさんの家で働くことになり、働き者の娘は褒美に金を体にたくさんつけてもらいました。

 母親が可愛がっている怠け者の娘の方も、ホレおばさんの家で働くことになりますが、怠け者ゆえしっかり働かず、タールまみれになるお話。

 真面目で働き者にはご褒美があるんだよ、という教訓を含んでいる感じですね。
 
『歌う骨』
 王様が国じゅうを荒らすいのししをやっつけた者に、自分の娘を妻にとらせるとおふれを出します。

 王国にいた3人兄弟の末の弟がいのししを仕留めるも、上の兄たちに殺されてしまいます。

 兄たちは弟の手柄を横取りして、王様に嘘をつきますが、殺された弟の骨が兄たちの罪を歌い、兄たちは罰せられるお話。

 実の兄弟でも己の利益のためなら殺してしまう、兄たちが恐ろしいですね。

『猫と鼠のともぐらし』
 猫と鼠が一緒に暮らし、冬のためにフェット(たぶん脂ですかね)を溜め込んで置いたのを、猫がそれを食べたいがために嘘をついて、ちょこちょこ盗み食いをします。

 やがて冬が来て教会に隠して置いたフェットを見れば、空っぽ。

 鼠が猫を問い詰めると、猫は「だまれ」と言い、鼠を飲み込んでしまうお話。

 猫と鼠はやはり、一緒には暮らせないということでしょうか。
 

『どろぼうのお婿さん』
 お姫様が結婚の約束をしていた王子が、実はどろぼうで人食いだったというお話。

 お姫様を鍋で煮て食べようとする王子が怖いです。

『兄と妹』
 継母によって兄がのろ鹿に魔法で変えられてしまいます。

 妹は王様と出会い幸せになりますが、彼女は嫉妬した継母によって殺されてしまいます。

 継母は王様を騙して自分の娘を妃にしますが、妹の幽霊が夜に来て歌を歌い、真実のわかった王様が抱きしめると、妹は生き返りました。

 悪い継母と継母の娘は罰せられて、兄は呪いが解けて、兄妹は幸せに暮らしました。

『子どもたちが屠殺ごっこをした話』
 ひとつは子どもたちが屠殺ごっこをして、豚役の子どもを殺してしまう話。

 子どもたちの罪を裁くのに、赤いりんごと金貨のどちらを取るかで判断するのは、いいのかなと疑問が残ります。

 もうひとつは、ある家の子どもたちが屠殺ごっこをして豚役の弟を殺してしまう話。

 それを見た母親が怒りのあまり兄を殺してしまい、その間にたらいでお風呂に入れていた下の子が死んだことを知り、絶望して死んでしまう。

 帰って来た夫もそのありさまを見て悲しみ、まもなく死んでしまうお話。

 救いがなさ過ぎる恐ろしいお話で、第2版より削除されたものらしいです。



 グリム童話には自分の野望のためなら平気で人を殺す、悪者がいます。

 しかし必ず悪者は罰せられて、善人は幸せになるというハッピーエンド。

 ただ、悪者に対する復讐の仕方がえげつないですね。

 火あぶり、森の獣たちに襲わせる、熱いかまどで焼き殺すなど。

 グリム兄弟たちが伝承を聴いてまとめたお話がグリム童話ですから、もしかしたら昔はそんな恐ろしいことがあったのではないか、そんな風に勘ぐってしまいます。

 初版グリム童話は子供の頃に聞いた話と比べると、驚きがたくさんあります。

 ちなみに日本昔話やわらべ唄も、実際はなかなか恐ろしいお話が隠されています。

 そんな訳で、今回はグリム童話についてお話させてもらいました。

 お付き合い頂き、ありがとうございました!

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