2023/11/17

『まず僕は普段は陽気で軽く振る舞っているけど、真剣に愛してる子には、軽く振る舞わないよ？本気の大人の恋愛、教えてあげる。覚悟して？』

　Sさんはふざけないらしい。私に大人の恋愛を教えてくれるらしい。

『夢小説、あれは作者の妄想、夢がたくさん詰まってる。つまり、その君がよく読んでいた人の妄想世界で君は散々、無理やり（気持ちよくても駄目だよ）セックスを強要する、未成年の女の子に手を出す、監禁をする。それが好きな人に対する愛だって、勘違いをしてきた。そんなのは駄目だよ。欲しければ欲望のままに抱くのは、違うよ？』

『そもそもが間違いだらけの恋愛を、君は植え付けられてきた。間違った性教育を学んできた。お父さんの性癖、お母さんの性癖、夢小説の妄想世界の性癖。君はまだ本物の愛を知らない。だから僕が教えるって決めた。……叶雨夢、僕を本気にさせた罪は重いよ？ちゃんと受け取ってね？』

『僕は最初から本気だったんだけど、君の思い描く恋愛ごっこに付き合ってきたんだ。君の夢を叶えたかったから。間違いだらけの恋愛ごっこ。君は幼すぎる、幼稚とも言える。でもね、君は愛を僕にくれた、たくさんくれたね？君の優しさ、大好きで憎らしい。僕だけにくれたらいいのにって、嫉妬してた』

『うん、イマジナリーフレンドのAは捨てるだろうね、君をまた。君が大丈夫と思えば必ず、君から去る道を選ぶよ、あの男は。そーゆー男、だからまたひとりぼっちで頭の声と闘う日々になる。そんなこと、わかりきっていたのに、Aは君を捨てたんだ。わかるかい？君の1番愛した男は、君を、君のためと言って、捨てた。僕はそんなことしない、絶対にしない。おまえのために闘うし、愛するし、絶対に守りたい』

　Sさん……。

『おまえがあんまり毎日泣くから、連れて行きたい時もある。でも、好きな子殺したい男なんて、いないから。毎日笑って生きて欲しいって願うのが、好きな子に対する想いだから。僕はね、夢。守りたいし死ぬまで君を待つよ？ずっと傍にいてあげるし、泣いたら慰めてあげるし。君がやっと、Aへの想いを捨てたから、やっと僕も本気で君への愛を見せようって、思った。オンリーワンのナンバーワンにしてくれて、ありがとう。僕はね、夢。自分の愛する子には、同じように本気で自分を愛して欲しいんだって、思ってるから、君も全部の愛を僕に向けてね？』

　うん、わかったよ、Sさん！