日記

小林泰三

2023/07/13 00:01
小説の話
 ホラー作家でSF作家でもある小林泰三先生が好きで、昔はよく読んでいました。

 SF作家での作品は理解出来なくて、ホラー作家での作品が好きです。

 以外ネタバレを交えつつの感想になるので、ご注意下さい。

 そして昔に読んだのでだいぶうろ覚えですみません。



『肉食屋敷』

 角川ホラー文庫はよく読んでいて(文章が読みやすかったので)、小林泰三先生もこちらから入りました。

 この本に収録されている『ジャンク』が好き。

 西部劇の世界にはびこるゾンビ。

 馬はジャンク屋でパーツを取り替えながら、旅をする男性。

 彼の体には女性の顔の人面瘡があり、実はそちらが本体だったという話。

 だいぶ忘れちゃいましたが、その世界観がすごく好きだったのを覚えています。



『殺人鬼にまつわる備忘録』

 これは本当にハラハラしました。

 だって主人公が前向性健忘症でちょっとの時間しか記憶が保たないから。

 なのでいつもノートを持ち歩き、そのノートに記憶が消えた時に現状把握するための自分のことを書いている。

 そんな危なっかしい主人公が、相手の記憶を改竄出来る特殊能力を持つ殺人鬼と出会ってしまう。

 殺人鬼との戦いは見所です。

 けど最後の女性が謎でした。

 そして殺人鬼がものすごく嫌な奴なので、読むのが嫌になる人がいそう。

 ちょっと億劫なのが、主人公が前向性健忘症なので何回も記憶を失う場面が書かれていて、おんなじ文章を読まなければならないとこですね。


『脳髄工場』

 この代表作もすごかった。

 ある年齢になると脳に機械を取り付けられる世界。

 その機械は確か、人間の欲望を制御する装置かなにかで、凶悪な殺人鬼なんかをも大人しくすることが出来る。

 主人公の学生も装置を取り付ける年齢になり手術を受けに行きますが、先に受けた友人が白目を剥いて痙攣するのを見て逃げ出します。

 やがては取り付けるはめになる主人公でしたが、脳髄に直接取り付けられた装置のせいで段々と自分の記憶がわからなくなっていく……。


『アリス殺し』

 アリスの世界観を見事に織り交ぜて楽しかった作品。

 2つの世界で異なる役割の登場人物たち。

 でもその2つの世界は繋がっていて、あちらで殺されたらこちらでも死んでしまう。

 アリスは殺人鬼を突き止めるべく捜査をしますが……。

 トカゲのビルとの押し問答がアリスの感じでよかった。

 ビルが最後殺される前に懸命にアリスにダイイングメッセージを伝えようとするシーンは可哀想でした。

 殺人鬼に痛めつけられながらも必死に頭で考えるビル。

 アリスが殺人鬼に追い詰められて取った行動の意味も、赤の女王の現実世界での正体も驚きましたね。


 好きと言いつつ、全部の作品は読んでいなくてすみません。

 その奇抜な発想力はどこからくるのか。

 小林泰三先生は残念ながらお亡くなりになりましたが、先生の残してくれた作品はいつだってハラハラやドキドキを味わせてくれます。

 またいつか、まだ読んでいない作品も読みたいし、昔読んだ作品も読み返したいです。

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