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立っているだけでもじわじわと消耗し続ける体力、それが夏という季節の特徴だ
これが状態異常の一種であれば、仲間の魔法や回復アイテムで治療も出来そうなものだが、自然現象には幾らペルソナであっても敵いはしない。個人それぞれに暑さへの対策を施して乗り切る事こそが、現状出来る唯一の対策であった
「髪を結んでる枢さん、何だか新鮮だね」
「ちょっとでも暑さを軽減したくて…」
「本当、少しは勘弁してほしいくらいだ」
「……有里くんもやっぱり暑さを感じられるんですか?」
「どういう意味?」
「い、今もとても涼やかな顔をなさっているので、意外だったといいますか!」
普段から口数が多い訳でもなく、対人関係では受け身がちな湊の端的な返答を受け、彼を怒らせてしまったと誤解した星雫は発声にかけるスピードを早めた
星雫自身は長い髪を高い位置で結んでもなお暑さに辟易しているというのに、対する湊は汗の一つもかかずに非常に涼やかだったものでその言葉が意外だったのだ。そんな彼は慌てふためく星雫の様子を暫く見つめ、何を思ったのか、不意に握った彼女の手を自分の頬へと持ち上げてみせた
「へ、」
「枢さんの手、冷たくて気持ちがいいや」
「……有里くんのほっぺがとても熱くなっているから、では?」
「ふふ、それもそうかもね」
湊に握られた手首すらも熱くてたまらない、血液が沸騰でもしたのかと思う程に体温が急上昇してしまっている
自分もこの暑さに悩まされているのだと星雫に分かってもらった所で、何事もなかったかのように解放される手。生温いだけの夏の風すらも今は心地よく感じられた
「今日の放課後、時間ある?」
「試験前なので早めに帰ろうと思っていた所、です」
「こっちはシャガールに行って涼もうかと思って
一人もいいけど枢さんさえ良ければ、一緒にどう?」
「ご、ご一緒したいです…!」
「じゃあ、放課後に迎えにいくから教室で待ってて」
行儀よく二年の教室が並ぶ廊下で湊と別れてすぐに星雫は、未だに熱さが疼く手に気付かされた
まだ始まったばかりの新品の一日だというのに既にこの調子では先が思いやられるものだ。一限の予習でもして気を紛らわそうという計画を脳内で立てながら、湊の面影に触れるようにして片手を撫でるのであった。
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