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──わずかに伝わる音と足から伝わる感触に、星雫は戦闘とは異なる形で血の気を失った
タルタロス登頂メンバーは順平の呼び方をなぞらえるに二年生パーティの四人体制、ナビ係である風花以外では唯一のゆかりを捕まえ、離れすぎない距離にある物陰へと星雫は急いだ
「あちゃー……場所があれだけど、一番後ろにいたら見えないと思うよ
それに星雫があんまり動かないでいいように私もカバーするから、任せなさい!」
「ゆかりちゃん…!ありがとうございますっ」
もうちょっとだけ頑張ろうという何とも頼もしい友人の言葉が、ストッキング生地の太ももから膝裏へ下るように奔る伝線の恐怖を拭い去ってくれる
他のメンバーの二人と合流し、何かあったのかと離脱期間内について聞かれるもそこはガールズトークとして何とか誤魔化す
ゆかりだけでなく風花の補助に助けられつつ、そこそこの時間経過と共に疲労を口にし始める仲間が増えた所で、今夜の探索に幕が下りたのであった
「枢さん、ちょっといい?」
友人二人の理解と助けを借りつつ、何とかストッキングの伝線がバレずに済んだと思っていた所のこれである
思わぬ引き留めに大げさとまで反応する星雫。気が付くとタルタロスから撤退し、共に戻ってきた巌戸台分寮のロビーには湊と自分の二人っきりとなっていた、他のメンバーは先に部屋へ戻ってしまったようだ
「何か、ありましたか?」
「どこか怪我してるんじゃない?途中で動きが鈍くなった気がして」
「き、きっと他の皆さんと同じで、疲れが動きに出ちゃったのかもー…あ、あはは……」
星雫という少女は究極的に嘘が下手でこの一瞬の内で湊はその嘘を看過した事だろう。まさか彼の観察眼がここまで影響するなんて、いつもは頼りになる才が星雫を追い詰めるなんて想定外過ぎた
一方、そんな彼女の胸中を知らない湊は、また自分を心配させまいと気遣っての嘘ではないかと訝しんでいる様子。これ以上、追及されては嘘を突き通せまい──先手必勝とばかり、慎重に距離を見極めて少女は打って出る
「こ、今夜はお疲れさまです!ごめんなさい、先に部屋に戻らせ…っ?!」
「…?! 枢さんっ」
視界ががくり、と音を立てて反転した
背中越しに感じるのは柔らかな素材と自分を押し返そうとするスプリングの感触
距離を見極めつつも足元を疎かにしたせいでソファの足に引っ掛かり、そのまま後ろから倒れ込んでしまったらしい。そして問題はここからである
「っ…大丈夫?枢さん」
「わ、有里くんこそ……!」
「ちょっと待って、先に僕が起きるからまだ枢さんは──」
彼を巻き込み、一緒にソファに倒れ込んでしまったと知った星雫が慌てふためく
不自然な体制で倒れ込んだ彼女が動いた拍子にスカートがめくれ上がる事態を危機一髪で推しとどめる事に成功したのならば、次に取るべき行動は自分の視界からなるべく星雫を外し、先に体を起こすこと
──そう分かっていた湊の視線を奪うのはスカートの端から伸びる足を覆うストッキング。破れた箇所から露わになった白い肌がいやに目につくのは、常日頃にタイツで覆われた素肌の珍しさが原因だろう
「あ、ああああ有里く……っ」
見てはいけないと分かっている筈なのに、そう理解を強めれば強める程に見たくなるのは悲しき人間のサガ
これが他の異性であれば、もっと罵倒なり下手をすれば手を出されていたに違いない。星雫だから、好きな人だからこそ、破れた箇所から覗く白い肌に湊の目は釘付けとなったのだ
「有里くん…?」
戸惑いがちにかかる声がなければ、湊は本能に身を委ねていた事だろう
手離しかけていた理性の端をギリギリの所で掴み、本能と追い出す形で何とか自分の中へいれ直した
「……原因は怪我じゃなくて、”コレ”?」
「ま、まじまじと見られると恥ずかしいのですが……はい…
やっぱりタルタロスをのぼるのにストッキングは無謀でしたよね…次は気をつけます」
「怪我とかじゃないなら良かったよ、安心した」
スカートの端を抑え込む姿を見た途端に疼く本能から成る名残惜しさごと、湊は視線を反らした
愚かにも今の言葉を純度100%の優しさだと信じ込む姿が愛おしくて、けれど同時に苛立たちさえも感じてしまう
目の前にいる湊の本能は先に破れていた部分に手を加え、足どころか爪先、髪の一片に至るまで彼女の全てを暴きたいと理性の鎖から逃れようとしているというのに星雫はそれを知らないのだから
いっその事、鎖を手放して本能の赴くままに少女を暴き、手酷く食らいつくしてしまうのもやぶさかではない程の衝動を知らないからこその笑顔と無知が湊にとってはこんなにも──憎らしいのだ。
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