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人払いを済ませた統制機構の広間に、二本の剣とが交わる剣戟が木霊する
冷気を纏った一撃を交わした華奢な影が吹き抜けに近い手すりへと飛び乗り、次の相手の出方を伺っていた
「ジンの、うそつき」
「嘘なんてついてない」
「……」
「僕の手でズタズタにしたい!あわよくば殺して、僕だけのものにしたい!
なのに…〇〇が嫌だっていうからこうして我慢してるのに、酷いなぁ」
「納得できると思うなよ?!
好きなのに殺したいとか納得できるかぁーっ!」
「……ふふ、あっはっはは!そこまで拒絶されるとたまらないよ!〇〇!」
そう話している内にも次々と繰り出される攻撃に〇〇は顔を歪ませる
ジンの事象兵器とは厄介なものでどれもこれも凍結能力つき。一度捕まれば、身動きを封じられた上から一方的に蹂躙されてしまうのだから、〇〇の顔も歪むというものだ
今まで自分が逃げ場所にしていた手すりでさえも今の彼の剣戟によって凍り付き、ジンの接近を阻む為に開放した障壁も短時間に連発は出来ない。時間が経つにつれ、こちらの手は確実に削り取られて行っている
「今は〇〇も僕と同じ気持ちでしょ?ドキドキしてるでしょ?」
「そうだね、ドキドキしてるよ。いつユキアネサで斬られるかなってドキドキしてる所だよ」
「相思相愛ってことだね!最高だよ、〇〇!」
「助けてラグナー!」
ある程度、彼の殺意の中に自分への愛情が見え隠れしているのは分かっているものの、怖いものは怖い
ここに今はいないラグナの幻影に縋りつつ、残された攻撃、もしくは防御手段の少なさを実感しながらも動かずにいるのは格好の的である。みすみす死んであげられない
幸いにもユキアネサの刀身よりも、〇〇の武器であるクロノサイズの方が刃渡りは長い。こちらの有利である距離さえ維持できれば、脱出できる筈だ
「…っ?!」
「つかまえた」
顔から血色をなくしたのは、いつのタイミングか
氷剣に押し込まれ、零度を有する冷気に指先の感覚をなくした瞬間か?───否
絡めとろうとする冷気に反応した体が、口を開き待っていた氷の尖塔へ縫い付けられた瞬間がその時だ
──有利であったのは自らが得意とする距離を持つ少女ではなく、武器を握り、戦争をも体験してきた経験を持つ彼であった
それまではジンの速さについてこられていた〇〇の反応が鈍った一瞬の隙、彼女の金色の瞳の中で一閃が奔り抜ける。戦闘の中、冷え切った体の一部から熱が噴き出ていく
「いっ…!」
霜が降る床の白さを、ユキアネサの刀身を、自分の頬を撫でるジンの顔を〇〇の血液が赤に染めていく。肩口に埋まる刀身が更に深く潜りこみ、果てには貫通したユキアネサの切っ先が尖塔を崩していった
支えを失った〇〇の体をジンが抱え込む。壊れ物を扱うように、宝物をしまい込むような、そんな繊細な仕草に思わず〇〇は苦笑した。耳元をくすぐる熱さを孕んだ吐息に、火傷してしまいそうだった
「僕が〇〇につけた、この傷の深さと同じくらいに君を愛してる」
「…趣味、わるいなぁ」
貴方も、私も。
本当に───なんて趣味が悪いのだろう。
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