SS-etc
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「もっけちゃん、また他の人のものを取ってきたんだね…
だめだよ、返す時に大変なのは花子さんなんだよ?」
『いたしかたなし』
「飴をあげるから、これと交換してくれる?」
『これ やる』
『アメ くれ よこせ』
「ど、どこからいっぱいのもっけちゃんが…?!きゃー?!」
最近の〇〇といえば、このように勿怪の為に学園に飴を持参する事が日課となった
…たまにこうしてポーチ目掛け、どこに潜んでいたか分からない大量の勿怪にほかほかにされたり
「●●、最近だいじょーぶ?」
「えっと、つかさくんの事…?なら花子さんのおかげで何とか…」
「…へー」
一番に変わった事といえば、花子くんとの契約の為に旧校舎の女子トイレの掃除が加わったこと
花の女子高生が放課後という貴重な時間をトイレ掃除になんてーと哀れに思われそうだが、〇〇は別に損をしていると思った事は最初こそあったかもしれない、が今となっては全然だ
ここに来れば、勿怪や元から友人であった寧々、そして光が。何よりも花子くんがいる、恥ずかしくてまだ寧々のように呼んだことはないけれど、好ましい人達がいる
その人達と過ごすこの時間はとても大切な時間、なのだが──
「あの、寧々ちゃん…」
「うん…〇〇ちゃん…」
「…花子さんが凄くこっちを見ている気がするのは、どうしてかな?」
「〇〇ちゃん、花子くんに何かしたの?」
「し、してない…でもあんなに見てくるって事は何かしたのかなぁ……」
「わー?!な、泣かないで〇〇ちゃん!」
じわり、涙を浮かべる〇〇を前にして寧々が慌てふためく
泣かないで、そう言って差し出したハンカチで拭われた瞳を少し動かすと花子くんがこちらを一瞥している。今日の放課後も、彼はいつも通りに何を考えているか〇〇には分からない
ポーカーフェイスが上手いといえば、そこで終わり。だが何も言ってくれない事は、所詮は〇〇と花子くんの縁とはそこまでだと言われているようで、またじわり、涙がにじむ
「…ねー、ヤシロ。今日って確か生徒会の誰かに呼び出されてたって言ってたよね?」
「はっ…そうだった、忘れてた…!」
「掃除はもういいからさ、そっちにいっておいでよ」
「ほ、本当?!」
いつも放課後をトイレ掃除で費やす寧々は、花子くんのお許しに顔を輝かせた
溢れんばかり、否もはや駄々洩れの嬉しさをひしひしと感じながら、〇〇ははっと気付く。──寧々が行ってしまうと花子くんと二人っきりになってしまう、その事実に息を呑む
「ま、待って寧々ちゃ…」
「花子くん、〇〇ちゃんをいじめたら許さないからね!
〇〇ちゃん、大丈夫!光くんを見つけて、こっちに来るようにしてもらうから!」
「寧々ちゃん…!」
スキップでもしてしまいそうな軽やかさで寧々が出て行った事で、女子トイレには必然として花子くんと〇〇の二人だけが取り残されてしまった
気まずくはあるが、寧々が光へ上手く伝達してくれるまでの辛抱。それまではトイレ掃除に専念すれば、きっと花子くんも不満ではない筈
友達が置いていった箒を手に取ろうと一歩、花子くんから距離を置いた。視界の端で動いた二つの影に気付いた頃には、その気配の出所であった彼の腕が〇〇を抱きこんだ後だった
「え、は、花子、さん…!」
慌て、辛うじて動く事を許された首を花子くんの方へ振り向き、また動きを固める
思っていた以上に〇〇と彼の顔の距離が近い。ぽぽと熱が沸騰する音を聞きながら鎮める事の出来ない彼女とは違い、一方の花子くんは今の言葉にむ、と覚えた不満を表情に描いた
「前から思ってたんだけどさぁ、なーんで少年や●●が怖がってるつかさでさえ、”くん”付けで呼ぶのに俺だけ『花子さん』なの?」
「うぇ…?わ、わかんない…ノデスガ……」
「変なケーゴでごまかそうとしても、今日はだーめ
ほら、ちゃんとかわいい声で俺のこと呼んで?花子くんって」
「ひ、う…」
唇と顎にひんやりとした冷たさを感じ、閉じる事を許されない〇〇の口から悲鳴のような高い声が漏れた
自分の手の中で遊ばれる少女に優越感を覚えたのか、花子くんの要求がエスカレートする
「俺は別にいいケドネ?少年に見せつけちゃう?」
「ま、ま、ままっま…!」
「ん?なーに?」
「は、恥ずかしいのは…死んじゃう…からやめて……花子、くん」
確かに寧々のように彼の事をこう呼びたかったという願いはあったけれど、ここまで追い込まれなければならないのか──しかも反応がないのがまた悲しくて、恥ずかしくて、
けれど光が来る前にちゃんと要求通り、彼の名は呼んだ。だからこの拘束は解けるはず
「…●●ってば、本当煽るの上手だよね」
「え、?!」
「煽る相手を選ばないと…こうなるってコト」
何で、どうして、花子くんの言葉の意味を深く考える前に〇〇の酸素は目の前に迫る彼の唇の奥へ、吸い込まれていった
5/47ページ