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「〇〇」
「零児くん…君もこの次元に来てたんだね」
「私もランサーズの一員だからな。…すまない、〇〇」
「…ううん、大丈夫」
俺達が突入する前から柚子を助け出す為、素良と月影と一緒に治安維持局に突入していた〇〇先輩の体は見るからにロジェとのデュエルでボロボロになっていて、無事とは言い難い姿をしていた
もっと早く俺達が来ていればーそう俺が思う様に零児も同じ事を思ったのか、すまないって言葉を先輩にかけていた。何てことない様に首を振る先輩を見つめていると柚子に〇〇先輩の方に背中を押された
何するんだよって一言、言ってやろうかとも思ったけど、やっと会えた〇〇先輩との再会を喜んでこいって事だって直ぐに分かってからは、柚子の手を借りずに自分から先輩の方へと足を進めていった
「〇〇先輩」
「榊くん?…あ…」
ーその日、俺は初めて〇〇先輩を抱き締めた
初めての〇〇先輩との抱擁は少しだけ埃臭くて、先輩が負った傷のおかげで微かに血の匂いがして、綺麗なものとは言えないものだった
「良かった、〇〇先輩が無事で…っ」
「……」
「アカデミアに攫われたって聞いて、ずっと心配してたんだ
それで居ても立ってもいられなくなって…ここまで来て、やっと…先輩に会えた」
「…榊くん…」
「もう何があっても、離したくない…!」
そう、思っていたのに。
もう二度と離さない様にきつく抱き締めていた筈なのに、〇〇先輩はするり、といとも簡単に俺の腕の中から外へと吸い込まれていったんだ
「〇〇先輩!!」
手を伸ばしても届かない場所へ、また〇〇先輩は飛んでいってしまった
俺がもっと強く抱き締めていれば、ロジェのやっていた事に良く注意していれば…〇〇先輩も柚子も、そんな後悔が付きまとう
『遊矢、今は気を落とす時じゃない
この街に〇〇がいないのなら、彼女達が飛ばされた場所は一つだ』
「…ああ。スタンダードに戻ったとは思えない、きっとアカデミアに飛ばされたんだ」
アカデミアは敵の本拠地だ。俺にそっくりな奴がスタンダードから〇〇先輩を連れ去った時、先輩は俺達に関する記憶を封印された事もある。俺と再会した時にその記憶は戻ったみたいだけど…
そんな所に先輩と柚子が飛ばされたなら…足を止めている場合じゃない。でもすぐに先輩達の後を追う事も出来ない、こんな荒廃した街を見てみないフリも出来ない
『急いで彼女達を追う手段を考えなければ』
「…いや」
『何を言っている?!彼女達はアカデミアに…』
「急いでも損しかしないよ、ユート。〇〇先輩ならそう言うと思うんだ
きっと〇〇先輩なら大丈夫だ、前みたいに記憶を封印されるなんて同じ事…柚子がいるのに易々とされるとは俺には思えない」
俺の言葉に納得したのか、それとも不満があるのかユートはそれっきり言葉をかけてこなかった。それに俺は苦笑を見せた。ユートの意外に子供っぽい所に、でも一番は自分の言葉に
〇〇先輩は大丈夫ーその言葉は他ならない俺自身への暗示みたいなものだったんだ、そう信じないと昔の自分みたいにここで崩れ落ちて、なりふり構わずに泣いてしまいそうだったから
だからどうか、〇〇先輩。無事でいて
先輩がいないだけでこんなにも揺れる心をまた、先輩の温もりで癒してくれる為に
抱き締めた腕も今は遠く
(君のいる空の彼方に)
(手を伸ばしても)
(暗雲に阻まれるだけ)
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