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MAIAMI市の人々は流石都会という事だけあって、足早に人生という時間を駈けていく
ある者は仕事帰りか学校帰りの電車に遅れぬ様に、またある者は夕飯の買い出しから家への帰路を急ぐ
そんな忙しない日常から切り取られた様に静かな海をバックに、〇〇は手摺に寄りかかり、自身が愛用するデッキを見つめていた。少女の顔に表情はなく、何を考えているのかを掴むには彼女の幼馴染み以外だと至難の業
「……」
このMAIAMI市で連日賑わいを見せるAデュエルのプレイヤー、決闘者である彼女はこの街で知る人はいないとも言える有名な決闘者だ。そんな〇〇は今日もどこかで開催された大会に出場し、大会優勝という功績を得た
沢山の観客が彼女の功績を讃えた、沢山の報道陣がそのデュエルの内容を記録した――それは他の決闘者ならば、これ以上にない栄誉だろう。けれどそれだけでは、この胸を満たす程のものにはならないのだ
ーアンタとのデュエル、悪いけど全然楽しくねーわ
どんな相手とも同じデュエルは一度切りしか出来ない、だから全力でぶつかり合うと相手をリスペクトする事を信条に戦って来た〇〇。けれどリスペクトする相手に言われてしまった、楽しくないと
何時の頃からか、《戦乙女の原石》と称されて来た自分とデュエルする事に少なからず、楽しみを覚えて来てくれた青年がデュエルを続けていく内にその士気が下がっていくのは感じていた
今日のデュエルを〇〇は楽しんでいた、例えその表情に笑顔の一つも浮かべられなくても。笑顔がなくとも心から楽しんでいれば、相手に伝わる筈だと信じて。けれどその結果が相手の戦意を欠く事に繋がった
やはり自分ではダメなのだろうか、自分さえ笑顔に出来ない者が対戦相手を笑顔に、自分とのデュエルが何よりも楽しいと思わせる事なんて、出来ないのだろうか――
「お嬢さん、さっきから俯いたままでオレがいる事に気付いてない?」
深い思慮の海に潜っていた〇〇の耳にふと届いた声はまるで彼女を見つけ、近寄って来たイルカの様にどこか人懐っこさを感じた
だが自分に興味を示してくれた人物はフードを深くかぶり、海からの逆光もあって顔が良く見えない
この場所に〇〇が来た直後は確か人影一つもなかった筈、けれど彼の言葉から彼は〇〇が来る前からここにいた様子。けれど影もなかった事から、どこかに隠れていたのだろうか
「割と有名人だと思ってたけど、そうでもなかったかな」
有名人ーそういう意味では〇〇もAデュエルで賑わう、この街では知らない人間はいないと言える程の有名人だ。デュエルで秀でたものを持つ者はこの街ではアマチュアだろうが、プロだろうがやがて有名人となる
ある意味で決闘者に目がない街と人々の中で生きている〇〇も例外ではない、だが色んな決闘者を見てきた瞳はこの少年を見たことがなかった
やはりこの少年、この場所に潜伏していたりと悪い方での有名人なのかもしれない
「それで、お嬢さんは何かに悩んでる様子
僭越ながら、このオレー榊遊矢が話の聞き役になりましょう!悩み続けていると笑顔も忘れちゃうもんな」
「笑顔…?…ごめんなさい、私は笑顔というものを知らないの
だから、どんなに楽しいデュエルでも笑う事が出来ない。どんなに楽しいものもつまらないものにしてしまうの」
自分の悩みを聞くと言ってくれた優しい言葉に申し訳ないと〇〇は頭を下げる
ルックスは不審者で悪い方の有名人かもしれない彼を見た目で判断してしまった事を後悔する。人は見かけじゃないというのは誰の言葉だったか
〇〇の言葉に一つの嘘もない、彼女は生まれてここまで笑った事は一つとしてない。寧ろこのぼんやりとした表情からぴくりとも変化した事がなかった、〇〇は知らないのだ、笑顔の浮かべ方も、感情の表し方も何一つ
「あははは!」
「…?」
「お嬢さんの心はちゃんと知ってるよ、笑顔を浮かべる方法
笑顔を知らない人間なんか、この世界にはいない。君もそう、誰もが笑顔になれる資格を持ってるんだ」
ぽんっと軽い音を立てて、彼ー遊矢の手の中に現れたのは一つの小さな花。マジックの一つと思われるが、〇〇からすると何もない所から花を生み出す本物の魔法だと勘違いしてしまっていそうだ
自分の手の中に現れた花を遊矢は惜しげもなく〇〇に手渡した、きょとりと瞳を瞬かせて見上げてくる瞳に彼は出会った時と同じ様に人懐っこく、明るい笑顔を見せた
逆光に負けない程に眩しくて、瞳が眩んでしまいそうだ
その後、幼馴染みに呼び出された〇〇は榊遊矢ーファントムの事をレオ・コーポレーションが全勢力を持って、彼を探していると聞いた。何か知らないかと聞かれた時に彼女は咄嗟に知らないと応えてしまった
応えに幼馴染みはそうか、と言うだけだった。大切な幼馴染みである彼の力になる為なら、自分の身に起きた事を明かした方が良かっただろうか。けれど、何も知らない頃のあの逢瀬は〇〇だけのものにしたかったのだ
私が忘れた極彩色
(どこにあるのかと探してた)
(君の中にあったんだね)
ある者は仕事帰りか学校帰りの電車に遅れぬ様に、またある者は夕飯の買い出しから家への帰路を急ぐ
そんな忙しない日常から切り取られた様に静かな海をバックに、〇〇は手摺に寄りかかり、自身が愛用するデッキを見つめていた。少女の顔に表情はなく、何を考えているのかを掴むには彼女の幼馴染み以外だと至難の業
「……」
このMAIAMI市で連日賑わいを見せるAデュエルのプレイヤー、決闘者である彼女はこの街で知る人はいないとも言える有名な決闘者だ。そんな〇〇は今日もどこかで開催された大会に出場し、大会優勝という功績を得た
沢山の観客が彼女の功績を讃えた、沢山の報道陣がそのデュエルの内容を記録した――それは他の決闘者ならば、これ以上にない栄誉だろう。けれどそれだけでは、この胸を満たす程のものにはならないのだ
ーアンタとのデュエル、悪いけど全然楽しくねーわ
どんな相手とも同じデュエルは一度切りしか出来ない、だから全力でぶつかり合うと相手をリスペクトする事を信条に戦って来た〇〇。けれどリスペクトする相手に言われてしまった、楽しくないと
何時の頃からか、《戦乙女の原石》と称されて来た自分とデュエルする事に少なからず、楽しみを覚えて来てくれた青年がデュエルを続けていく内にその士気が下がっていくのは感じていた
今日のデュエルを〇〇は楽しんでいた、例えその表情に笑顔の一つも浮かべられなくても。笑顔がなくとも心から楽しんでいれば、相手に伝わる筈だと信じて。けれどその結果が相手の戦意を欠く事に繋がった
やはり自分ではダメなのだろうか、自分さえ笑顔に出来ない者が対戦相手を笑顔に、自分とのデュエルが何よりも楽しいと思わせる事なんて、出来ないのだろうか――
「お嬢さん、さっきから俯いたままでオレがいる事に気付いてない?」
深い思慮の海に潜っていた〇〇の耳にふと届いた声はまるで彼女を見つけ、近寄って来たイルカの様にどこか人懐っこさを感じた
だが自分に興味を示してくれた人物はフードを深くかぶり、海からの逆光もあって顔が良く見えない
この場所に〇〇が来た直後は確か人影一つもなかった筈、けれど彼の言葉から彼は〇〇が来る前からここにいた様子。けれど影もなかった事から、どこかに隠れていたのだろうか
「割と有名人だと思ってたけど、そうでもなかったかな」
有名人ーそういう意味では〇〇もAデュエルで賑わう、この街では知らない人間はいないと言える程の有名人だ。デュエルで秀でたものを持つ者はこの街ではアマチュアだろうが、プロだろうがやがて有名人となる
ある意味で決闘者に目がない街と人々の中で生きている〇〇も例外ではない、だが色んな決闘者を見てきた瞳はこの少年を見たことがなかった
やはりこの少年、この場所に潜伏していたりと悪い方での有名人なのかもしれない
「それで、お嬢さんは何かに悩んでる様子
僭越ながら、このオレー榊遊矢が話の聞き役になりましょう!悩み続けていると笑顔も忘れちゃうもんな」
「笑顔…?…ごめんなさい、私は笑顔というものを知らないの
だから、どんなに楽しいデュエルでも笑う事が出来ない。どんなに楽しいものもつまらないものにしてしまうの」
自分の悩みを聞くと言ってくれた優しい言葉に申し訳ないと〇〇は頭を下げる
ルックスは不審者で悪い方の有名人かもしれない彼を見た目で判断してしまった事を後悔する。人は見かけじゃないというのは誰の言葉だったか
〇〇の言葉に一つの嘘もない、彼女は生まれてここまで笑った事は一つとしてない。寧ろこのぼんやりとした表情からぴくりとも変化した事がなかった、〇〇は知らないのだ、笑顔の浮かべ方も、感情の表し方も何一つ
「あははは!」
「…?」
「お嬢さんの心はちゃんと知ってるよ、笑顔を浮かべる方法
笑顔を知らない人間なんか、この世界にはいない。君もそう、誰もが笑顔になれる資格を持ってるんだ」
ぽんっと軽い音を立てて、彼ー遊矢の手の中に現れたのは一つの小さな花。マジックの一つと思われるが、〇〇からすると何もない所から花を生み出す本物の魔法だと勘違いしてしまっていそうだ
自分の手の中に現れた花を遊矢は惜しげもなく〇〇に手渡した、きょとりと瞳を瞬かせて見上げてくる瞳に彼は出会った時と同じ様に人懐っこく、明るい笑顔を見せた
逆光に負けない程に眩しくて、瞳が眩んでしまいそうだ
その後、幼馴染みに呼び出された〇〇は榊遊矢ーファントムの事をレオ・コーポレーションが全勢力を持って、彼を探していると聞いた。何か知らないかと聞かれた時に彼女は咄嗟に知らないと応えてしまった
応えに幼馴染みはそうか、と言うだけだった。大切な幼馴染みである彼の力になる為なら、自分の身に起きた事を明かした方が良かっただろうか。けれど、何も知らない頃のあの逢瀬は〇〇だけのものにしたかったのだ
私が忘れた極彩色
(どこにあるのかと探してた)
(君の中にあったんだね)
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