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叛逆の騎士による一撃で霊核は完全に破壊されたものと思っていた。だが何かが”盾”となって、自分の終わりを一時的に先延ばしにしている様だ
何度もアサシン、と自分を真名以外で示す名称による呼びかけでセミラミスは瞼を揺らした。呼びかけに応じ、大きく開いた時のままで固まる瞳にはほっとした様に微笑む、自分と同じく深手を負った〇〇が映った
「…まさか、貴女に膝枕をしてもらう日が来るなんて思わなかった」
「マスター以外の、しかも小娘如きにな。光栄に思えよ?」
「酷い、なぁ…貴女を助けたのは、私なのに」
「これが助かったという有り様か?」
そうだね、と呟き、〇〇は自分の胸に空いた穴に手を沿えた。傷口からは血液が止まる事なく溢れ、すぐに治療を開始しないと生命の保証は出来ない事は明確
生暖かい血液が外気に触れる事で冷たくなり、痛覚の麻痺も求めなかった為に痛みはある筈。刻一刻と〇〇は自分の生命の終わりを感じている筈なのに、どこまでも穏やかで――
「アサシン、私…あの夜からずっと…シロウお兄様も…貴女も…利用、してたの」
あの夜というのは、この名前もなかった少女が”〇〇・コトミネ”という名前を授けられ、第二の人生を歩む事を決めた夜の話だろう
「私は…自分の生命が、意味のないもので…世界のシステムとして消費されるだけのものになるのが、嫌、だった
だから、ずっと…自分の生命を、意味のあるものとして終わらせるきっかけが欲しくて…それをお兄様の言葉、として利用して…
アサシン、貴女が創り出す空中庭園を…自分の…終わりの場所にする為に、貴女達に従って、た」
段々と言葉から強さが剥がれ落ち、その中に隠されていた弱さが露呈していく
ごめんなさい、という言葉が聞こえた。自分や天草を利用した事、そして何よりもここで果ててしまう事への懺悔。意味のある生命にする旅だった筈なのに、未練を遺してしまうふがいなさが混ざり合う声色
気が付けば、セミラミスは〇〇の頭を撫でていた。驚いた様に見開かれた瞳は次第に涙で満ちていき、頬に固まった血の間を一筋、流れていった
「我とマスターを利用するとは、大した小娘よな」
「――流石、だなぁ…」
言葉の割に穏やかに微笑むセミラミスに釣られる様にして、〇〇は困った様に微笑んだ
どこまでもこの娘は自分を高く評価し続けてくれた、女帝としてではなく、一人のサーヴァントとして。自分の力を求め、先を歩み続けたのが天草なら、〇〇はきっと対等の戦士として隣に立ち続けた
段々と瞳を開く事も、先程まではあんなに動かしていた胸の動きが緩やかになっていく。そろそろか、とセミラミスは〇〇の終わりが近くまで感じられる様になってきた。だから、最期に――
「もし、自分の生命が意味のあるものとして終われるなら、お前は黒の陣営についたか?」
「――ううん。私、たとえ…黒の陣営にいたとしても…きっと、裏切ってたよ」
「そうか。……ああ、お前は…そうだろうな」
何とも自分らしくない愚かな問いかけにも〇〇は偽りのない言葉を以て、セミラミスに義を通し続けた
きっとそれが〇〇の弱さを覆っていた、最後の強さという仮面・殻の一片。全てが剥がれ落ちた今、〇〇に残っているのは曇りのない、裸の本心
「…セミラミス、わたし…わた、し……ここを、えらんで…よか………」
最期に思った言葉は終わりまで紡がれる事はなく、唇からは言葉や呼吸の一切の音が消えた
ここ、というのは空中庭園の事か、はたまた彼女が敬愛した兄が率いる赤の陣営の事かは分からない。でも――その終わりは誰よりも穏やかで満ち足りていた様に思う
「――おやすみ、〇〇」
生前に彼女が宝物だと言っていた名前くらい、呼んでいれば良かったという後悔をセミラミスに遺して、名前もなかった少女は果てた
――大きく燃え上がった炎がゆっくりと朽ちていく様に、その命は一瞬の熱だった
"約束の地"
(次の世界で会う時も)
(またあなた達と共に。)
何度もアサシン、と自分を真名以外で示す名称による呼びかけでセミラミスは瞼を揺らした。呼びかけに応じ、大きく開いた時のままで固まる瞳にはほっとした様に微笑む、自分と同じく深手を負った〇〇が映った
「…まさか、貴女に膝枕をしてもらう日が来るなんて思わなかった」
「マスター以外の、しかも小娘如きにな。光栄に思えよ?」
「酷い、なぁ…貴女を助けたのは、私なのに」
「これが助かったという有り様か?」
そうだね、と呟き、〇〇は自分の胸に空いた穴に手を沿えた。傷口からは血液が止まる事なく溢れ、すぐに治療を開始しないと生命の保証は出来ない事は明確
生暖かい血液が外気に触れる事で冷たくなり、痛覚の麻痺も求めなかった為に痛みはある筈。刻一刻と〇〇は自分の生命の終わりを感じている筈なのに、どこまでも穏やかで――
「アサシン、私…あの夜からずっと…シロウお兄様も…貴女も…利用、してたの」
あの夜というのは、この名前もなかった少女が”〇〇・コトミネ”という名前を授けられ、第二の人生を歩む事を決めた夜の話だろう
「私は…自分の生命が、意味のないもので…世界のシステムとして消費されるだけのものになるのが、嫌、だった
だから、ずっと…自分の生命を、意味のあるものとして終わらせるきっかけが欲しくて…それをお兄様の言葉、として利用して…
アサシン、貴女が創り出す空中庭園を…自分の…終わりの場所にする為に、貴女達に従って、た」
段々と言葉から強さが剥がれ落ち、その中に隠されていた弱さが露呈していく
ごめんなさい、という言葉が聞こえた。自分や天草を利用した事、そして何よりもここで果ててしまう事への懺悔。意味のある生命にする旅だった筈なのに、未練を遺してしまうふがいなさが混ざり合う声色
気が付けば、セミラミスは〇〇の頭を撫でていた。驚いた様に見開かれた瞳は次第に涙で満ちていき、頬に固まった血の間を一筋、流れていった
「我とマスターを利用するとは、大した小娘よな」
「――流石、だなぁ…」
言葉の割に穏やかに微笑むセミラミスに釣られる様にして、〇〇は困った様に微笑んだ
どこまでもこの娘は自分を高く評価し続けてくれた、女帝としてではなく、一人のサーヴァントとして。自分の力を求め、先を歩み続けたのが天草なら、〇〇はきっと対等の戦士として隣に立ち続けた
段々と瞳を開く事も、先程まではあんなに動かしていた胸の動きが緩やかになっていく。そろそろか、とセミラミスは〇〇の終わりが近くまで感じられる様になってきた。だから、最期に――
「もし、自分の生命が意味のあるものとして終われるなら、お前は黒の陣営についたか?」
「――ううん。私、たとえ…黒の陣営にいたとしても…きっと、裏切ってたよ」
「そうか。……ああ、お前は…そうだろうな」
何とも自分らしくない愚かな問いかけにも〇〇は偽りのない言葉を以て、セミラミスに義を通し続けた
きっとそれが〇〇の弱さを覆っていた、最後の強さという仮面・殻の一片。全てが剥がれ落ちた今、〇〇に残っているのは曇りのない、裸の本心
「…セミラミス、わたし…わた、し……ここを、えらんで…よか………」
最期に思った言葉は終わりまで紡がれる事はなく、唇からは言葉や呼吸の一切の音が消えた
ここ、というのは空中庭園の事か、はたまた彼女が敬愛した兄が率いる赤の陣営の事かは分からない。でも――その終わりは誰よりも穏やかで満ち足りていた様に思う
「――おやすみ、〇〇」
生前に彼女が宝物だと言っていた名前くらい、呼んでいれば良かったという後悔をセミラミスに遺して、名前もなかった少女は果てた
――大きく燃え上がった炎がゆっくりと朽ちていく様に、その命は一瞬の熱だった
"約束の地"
(次の世界で会う時も)
(またあなた達と共に。)
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