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「あー、楽しかったっ!」
「一人でバクバク飯食った挙句、カイトなんかに絡まれやがって楽しかっただぁ?
お気楽な口と精神ですね、〇〇さん?僕に迷惑をかけたと先には言ってくれないんですね、寂しいですねぇ」
「ふぉめんにゃさいーっ!」
「はは、良く伸びる頬ですねぇ」
限界を探るように伸ばされた頬を離された頃には、〇〇の頬は真っ赤に痛々しく腫れあがっており、通路に力なく座り込んだ少女は自分を見下ろすⅣを恨みがましくにらみ上げる
彼にそれが何の効果もないと早々に気付き、立ち上がった少女の瞳は夜の帳も深まる時刻だというのに爛々と輝いており。昼夜逆転していた名残だとは分かっているが、夜に生きる魔性──吸血鬼をⅣは思い浮かべた
「とっとと部屋に戻って寝ちまえ、これ以上のお前のお守りは懲り懲りだ」
「…もうちょっと起きてたいし、Ⅳにもらったこの服も、もうちょっと着てたい」
「あぁ?…気に入ったのか、それ」
「うん、ふわふわサラサラしてて…なにより貴方に選んでもらったものだから」
それは今回のWDC前夜祭のパーティーに行きたいと強請りつつ、ドレスコードに見合う服を持っていなかった〇〇へⅣが贈ったドレスワンピース
淡いパステルカラーを用いた、その一着を〇〇はⅣが想像していた以上にとても気に入ったようだ。それこそ、この夜を睡眠で費やす事を惜しむほどに
「?Ⅳ、どうしたの?」
「お嬢さん、俺と踊ってはいただけませんか?」
「へ、」
「…てめぇの我儘に付き合ってやるって言ってんだよ。黙って『はい』って答えとけ」
「でも、でも私、踊れない…んだよ?」
「だから…!ああもういい!」
「うぎゃっ」
いつもは腕を振り払っても勝手についてきて、それを鬱陶しいと思う
それでも勝手に『座標』を移動して、勝手に傍から離れるのもまた鬱陶しくて──今だって手を引っ張られてステップを取られ始めたというのに、〇〇は戸惑いがちに笑っている。Ⅳのやる事に身をゆだね、受け入れてしまう
「わ、わわ…大変だけど楽しい、かも……」
「これくらいのエスコートも出来ない奴だなんて思われたくねぇからな」
「ねえねえ、Ⅳ。ありがとう」
「────」
「服をくれた事も、パーティーに連れて行ってくれた事……
全部、Ⅳが私にくれた大切な思い出だよ。だからありがとう」
くるり、くるり、〇〇の拙いステップに合わせた緩やかなワルツ
月光だけが照らす通路の一角、二つの影を反射する窓ガラスと天井と壁、永遠に続く万華鏡のようだ
「えへへ、満足できました!今度こそ、おやすみなさいだね」
「は?なに言ってんだ、お前」
「え、もう寝るんだよね?」
「…はは、分かってねぇなぁ。バカな〇〇」
珍しく低く艶のある声で名前を呼ばれ、一瞬 反応が遅れる
小さな悲鳴のような声をあげた先で離れかかっていた手と手が絡み、〇〇の小さな体は彼の広い胸板へ隠された
「バカなお前にもわかるように教えてやるよ
男が女に服を贈るって言ったら…お前の着たそれを俺が脱がせたいって思ってるって事、だってな」
「へ、へ……?え、なに言ってるの、Ⅳさん…?」
「この期に及んで現実逃避しか出来ない所が、哀れなくらいにお前のかわいい所だよ」
「ちょ、ま…あ?!」
耳朶に直接流し込まれているにも関わらず、全くⅣの言わんとする事が分からない、理解を拒んでいると言った方が正しいか
そんな事をしている間、いつの間にか〇〇に割り当てられた部屋の扉の奥へ押し込まれ──おとぎ話は現実のものとして少女に牙を向く。
ミッドナイト・フォール
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