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「〇〇ちゃん、どうしたの…?!」
「…え?」
「あ、もしかして気付いていないパターン…?」
「えっと…?」
「寧々ちゃん、先に言ってあげないと〇〇ちゃん困ってるよ?」
「はっ確かにそうよね…ナイスアシスト、葵…!ごめんね、〇〇ちゃん!
顔色が凄く悪いみたいだから、具合悪いのかなって思ったの」
ー放課後のトイレ掃除は、花子くんに私から上手く言っておくから!
心配してくれる寧々ちゃんと葵ちゃんの言葉に甘えて、帰り支度を詰め込んだ鞄を手に階段をゆっくりと下っていく
頭の上で学校に設置されたスピーカーから次の授業を知らせるチャイムが背中を押す。そんな時だった、確かに握っていた筈の手すりの感触が手のひらから遠ざかったのは
「あ、れ…?」
気が付くと足まで地面から離れていて、
スカートがふわり、と空気を含んで膨らんでいた
「わう。どーして上から落ちてきてんの?」
「…つかさ、くん?」
「ま、そんなのどうでもいっか。ねー●●ー!」
私を抱えて見下ろすヒトを一瞬、花子さんかと見間違える
だけど違う。このヒトは花子さんとは逆側のほっぺに張られたお札と、とても無邪気にはねる言葉ーつかさくんだ
すりすり、と黒猫のようなそのヒトは抱える私の頭に自分の頬をすり寄せる
いつもは怖くて、つかさくんから逃げる為に花子さんと約束したのにどうしてか今日は怖いと思うことがない。頭がふわふわして、とても──ねむい
「…●●、いつもよりあったかいネー?」
「んん…」
「ダイジョーブ?具合悪いの?」
「ねむく、て…」
「ふーん…あ、そーだ!」
花子さんが使う言葉を用いるなら、彼岸に住むつかさくんから体温は感じられない
とてもそれは悲しくて、死んでいると突き付けられる事なのにその冷たさが、今日は心地いい。そう、瞳を覆うように被さったつかさくんの手も今日は──
「おやすみ、●●。また後で、ネ」
ちゅ、と小さなリップ音が私の眠りを妨害しようとする理性を払いのけた
ぷつり、まるでテレビの電源を切るようにして私の意識というものはそこで途切れたのだった
▽▲▽
「っ待って、つかさ…!」
「んー?あっ!」
今、まさに腕に抱えた〇〇をそのままに移動しようとする彼を制止する声がつかさにとって何でもない、自らの障害にもなりえない存在であれば、真面目に足を止める事はなかっただろう
軽やかな動作で振り向き、満面の笑顔であまね!そう呼ばれた学園七不思議が七番目『トイレの花子さん』ーつかさの兄である彼の眼は弟を見ているようで、実際には腕に抱えられた〇〇へ注視されていた
一瞬の瞳の瞬きの間につかさが〇〇を攫う可能性を危惧しながら、慎重に事を運ぼうとする花子くんの警戒をよそにつかさが大きく口を開く
「ねーねー、あまねあまね!保健室ってどこだっけ?」
「…へ?」
倒れた娘を迎えに、〇〇の両親が迎えに来るにはどう見繕っても放課後までかかる
彼女の両親へ自ら連絡したという土籠は電話の内容を一言一句違わずに伝えると、それで自分の役目は済んだと言わんばかりに保健室の留守を花子くんに任せて立ち去っていってしまった
「あまね、●●ってどこを触ってもぷにぷにしててやわらかくておいしそうだよネ」
「…つかさ」
「なーに?」
「●●は…あの子じゃないよ」
土籠と話している間も〇〇の眠るベッドから離れず、手持無沙汰になれば、その唇などを我が物顔で触る片割れへ一音下がった音で花子くんはけん制の言葉を走らせた
〇〇にとっては迷惑極まりない話だ、自らの知らない前世の因縁に巻き込まれて──かわいそう
けん制の言葉に首を軽く傾けるつかさに厳しい視線を注ぎ続ける
この言葉はつかさへのけん制に外ならない、なのに何故──どうして自分の胸に突き刺さってじくじくと痛むのか
「変なの。●●は●●、デショ?」
ー窓から差し込む夕焼けが瞬間、その色を反転させた
「分かってる、ならどうして…どうして、そこまで……●●に執着するの」
「んー…俺ね、あまね。##NAME3##の事、すきでだーいすき!
でもそれはあまねも同じで、あの子はあまねを選んだ。だから俺はあの子を殺したんだよ?」
夕日の色を上手く認識できない、この時間帯の風景は元々どんな色をしていたかも思い出せやしない
つかさの言葉は『あまねのせいであの子は死んだ』と鋭く尖り、鈍い光を放つナイフの形をしている
そのナイフで胸の内にひた隠しにしてきた傷口を抉り、にじられ──けん制していたつもりの花子くんを前につかさが笑う
「俺も、俺だけの●●が欲しくなってもいいデショ?」
眠り、抵抗の出来ない状態をいい事に〇〇の上半身を持ち上げ、大切に頭を抱えこむつかさの瞳はそこだけを真っ黒なクレヨンでぐちゃぐちゃに塗りつぶしたように底知れぬ色をしていた
言い表せない感情に体が震える、心の底から『返せ』と何度も何度も見知らぬ感情をした自分が慟哭をあげる。理性のない獣からヒトの形をした怪異に戻った頃には、つかさから自分の腕に〇〇を取り返した後だった
「…いいね、その顔」
「っ…!」
「でもだめだよ?あまね
女のコには優しくしないと、ネ?特に●●は俺達の大切なお姫様なんだからさ」
生まれる余裕の出所は無理やりに飲み込ませた夜泣き石の鈴からだろうか
熱に魘されながらも起きる気配のない〇〇の額に口づけるつかさ、そして強い縁結びを施せずにいる花子くんが〇〇を強く抱きしめる
─ああ。眠っているのをいい事に好き勝手しているのは、自分も同じだなんて!
「…●●の体温で溶けちゃうカモ」
「あ、わかる!」
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