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「Ⅳは歩くのはやーい、Ⅳの足ながーい」
「っ~黙って歩く事を知らねぇのか、お前はよ…!」
「だってこんなに歩くの初めてなんだもん!」
「今まで能力で楽してた分のツケが回ってきたんだろ」
ざまぁねぇな、と嘲笑う青年の言葉と表情に向け、〇〇は頬を膨らませてみせる
不慣れな行動に四苦八苦する間にもさっさと前を行ってしまうⅣの後を懸命に追いかける
能力があった頃なら歩くスピードが速い彼の元まで一瞬で追いつけたのに、『座標』でなくなった〇〇はその足でⅣに追いつかなければならない
少しはこちらを振り向いてくれてもいいのに、芽を出した寂しさによそ見をしていると肩に軽い衝撃。どうやらこの人混みの中、誰かと接触してしまったらしい
「…あれ?」
気が付くと人混みの中、一人だけ取り残されている事に〇〇は気付いた
先程までそこにあった人の影ははるか遠く、影も形もない。いつの間にこんなに離されたのだろう、追いつく為に少女は走る、駆ける、人混みを掻き分ける
「まって、」
「Ⅳ、まって」
「ちゃんと歩くから、まって」
何でこんな事になったんだろう?
歩く事に対する不満を口にしてしまったから?だから私は、置いて行かれてしまった?
「……ふぉー、」
雑踏の中、彼の名前を呼ぶ声だけが弱弱しく響いた
一人は嫌で、探したいのに、歩く事が不慣れな足は早々に悲鳴をあげてしまって、
目じりにため込んでいた涙がⅣの名前を呼んだと同時、一粒落ちる
──そして重なる、〇〇を呼ぶ声に延珠は弾かれるように顔を上げ、恋しい探し人の姿を認識した
「っ…傍にいねぇと思ったら、こんな所で立ち止まってるとはなァ」
「ふぉー…?」
「…一瞬逸れただけだろ、泣くなよ」
「、置いていかれた、って…思った」
「ああもう、お前が泣くと調子が狂って仕方がねぇ」
嗚咽もなく、ただ呆然とした様子でぽろぽろと丸い硝子を彷彿とさせる涙をこぼす〇〇に調子を崩された様子のⅣ
天邪鬼な口先とは違い、涙の粒を掬う為に目じりを拭う指先はとても熱く、とても優しくて、
「ほら、〇〇」
伸ばされた掌に〇〇は縋るように、確かめるようにして抱き締める
それは彼からの呼び声、この掌に自分の居場所はここなのだと自分に言い聞かせるように。
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