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運が悪かった、としか言いようがない。だからこれはせめて明日の運勢はいいものにしようとする自己防衛なのだ
とっくの昔に明かりが落ちたかもめ学園は普段の様相とかけ離れていて、恐怖心と大人の許可なく侵入しようとする●●の罪悪感を否応なく煽り立てる
ごくり、音を立てて喉を鳴らし、いざと自分にやる気を注入して緋奈はいつも鍵がかけられていないと聞いた1階のとある窓へと腕を伸ばす
「──ばあっ!」
「ひゃああ!」
──無防備であった所を襲われたに等しい
窓に伸ばしていた腕は瞬時に引っ込み、得体のしれないものから守る為に自分の頭を抱えるものへと役割を変えてしまった
くすくすと聴覚をくすぐるような笑い声は彼女にとって聞きなれた存在のもの、恐々とあげられた菫色を宿した瞳と、レトロテイストの少年が自分を見下ろす瞳がぶつかった
「あははっ!〇〇は最初に会った頃から、いつも面白い反応してくれて脅かしがいがあるなぁ」
「は、花子、さん…」
「それに泣き虫だしね」
見知った顔を目の当たりにした安心感から流れる涙が、花子の伸ばした指先で拭い去られる
「こんな夜更けにどーしたの?」
「し、宿題…宿題、学校に忘れたみたいで……」
「…わざわざ怖い思いして取りに来なくても、朝に早く登校してやっちゃえば良かったんじゃない?」
「はっ…!そ、その手が…!」
「あは、おばかさんだなー」
先程からやれ泣き虫だ、おばかさんだ散々な言われようである
聖女でもあるまいし●●はただの人間だ、流石にそこまで言われると腹も立つ
…立つ筈なのに花子に言葉を荒げずにいられるのは、そんな言葉を言っているのに慈しむように彼が笑っているから。バカにしている気は少なからずあるのに、その笑顔はとても矛盾している
「一緒に行ってあげる、そういう契約デショ?」
「…あ、ありがとう、ございます」
そうして伸ばされた手に、今日もこうして甘やかされている
夜の学校を見回る大人の目を潜り抜けて花子に手を引かれるがまま、●●は自身の教室を目指す
何とも不思議な事ではあるが、毎日通って見慣れた筈の母校の筈なのに夜というだけ、生徒が誰もいないというだけで見知らぬ土地に来たような緊張感を感じてしまうのだ
「あ、あったぁ…」
「勉強熱心だね、〇〇は」
「先生に怒られるよりは、いいと思う…」
「確かに。目ェつけられるよりはそっちの方がいいかもネ」
●●の席は教室の一番後ろの窓際という、学生にとっての最高の特等席だ
窓枠に近い壁に寄りかかって笑う花子を見つめ、●●はここに来るまでの間に感じた緊張感を彼に置き換える
人っ子一人いない静かな学校、いつもは寧々達と話でにぎわう教室内で胸元で握りしめたプリントの類がくしゃり、悲鳴をあげた
「花子、さん」
「んー?なーに?」
「花子さんは……ここから『逃げよう』とした事はないの、…デスカ?」
「なにその変なケーゴ」
「うっ…だって寧々ちゃん達がいる時間よりも、今のここは静かで怖くて真っ暗で──とてもさみしい、から」
「……」
変に口から洩れた敬語の可笑しさに恥ずかしくなって、思わず花子からそらすように視線が床目を数える
彼は今、どんな事を考えているのだろう。どんな顔をして、どこに視線を送っているのだろう
「…いっかいだけ、『逃げよう』と思った事はあったよ」
「思っただけ、なの?」
「だって一人で逃げたって意味がなかったし
どこにもいかなかったから、〇〇とも会えたんだぜ?」
学帽を微かに上にあげ、現れた顔には笑顔が浮かんでいた
なのにどうしてこんなにも自分はただの一回と言った花子が考えた逃亡案に心が揺れるのだろう
ーねえ、本当は誰と一緒に逃げたかったの?
そんな問いかけを、彼に投げたくなったのは揺れ続ける感情を落ち着かせたいためだった
「はなこさ…」
「それにしてもムボービで夜の学校に来ちゃうなんて、〇〇は悪い子だよね?」
「え…?」
「そんな悪い子は──」
あ、と悟った頃には彼との距離はあってないもの、そんな曖昧な概念となっていた
女の子である●●よりも大きな瞳に魅入っている間、腰に回された腕にされるがまま、小柄な体格に抱きこまれる
爆発的に上がった体温で花子ごと燃えてしまうのではないか、飛び出そうになった心臓の代わりに口からは悲鳴があがった
「ひ、あ…」
「…朝が来るまで、俺とイケナイことしちゃおうか?」
直接、耳に流し込まれた煽情的な吐息と言葉に留まらず、甘く痺れた耳を食まれて●●は限界地に達した
「ふふっ、なーんて!なになに?腰抜けちゃった?」
「は、花子さん、ひどいっ」
分からない事だらけの花子を見ていると、窓から見える月に意識が向いた
月面着陸という夢を人類が達成してから月で分かることは増えたのだろうか、月面着陸がスタートラインだったとしたら──まだまだ花子と自分はそこにも至ってないのかもしれない
とっくの昔に明かりが落ちたかもめ学園は普段の様相とかけ離れていて、恐怖心と大人の許可なく侵入しようとする●●の罪悪感を否応なく煽り立てる
ごくり、音を立てて喉を鳴らし、いざと自分にやる気を注入して緋奈はいつも鍵がかけられていないと聞いた1階のとある窓へと腕を伸ばす
「──ばあっ!」
「ひゃああ!」
──無防備であった所を襲われたに等しい
窓に伸ばしていた腕は瞬時に引っ込み、得体のしれないものから守る為に自分の頭を抱えるものへと役割を変えてしまった
くすくすと聴覚をくすぐるような笑い声は彼女にとって聞きなれた存在のもの、恐々とあげられた菫色を宿した瞳と、レトロテイストの少年が自分を見下ろす瞳がぶつかった
「あははっ!〇〇は最初に会った頃から、いつも面白い反応してくれて脅かしがいがあるなぁ」
「は、花子、さん…」
「それに泣き虫だしね」
見知った顔を目の当たりにした安心感から流れる涙が、花子の伸ばした指先で拭い去られる
「こんな夜更けにどーしたの?」
「し、宿題…宿題、学校に忘れたみたいで……」
「…わざわざ怖い思いして取りに来なくても、朝に早く登校してやっちゃえば良かったんじゃない?」
「はっ…!そ、その手が…!」
「あは、おばかさんだなー」
先程からやれ泣き虫だ、おばかさんだ散々な言われようである
聖女でもあるまいし●●はただの人間だ、流石にそこまで言われると腹も立つ
…立つ筈なのに花子に言葉を荒げずにいられるのは、そんな言葉を言っているのに慈しむように彼が笑っているから。バカにしている気は少なからずあるのに、その笑顔はとても矛盾している
「一緒に行ってあげる、そういう契約デショ?」
「…あ、ありがとう、ございます」
そうして伸ばされた手に、今日もこうして甘やかされている
夜の学校を見回る大人の目を潜り抜けて花子に手を引かれるがまま、●●は自身の教室を目指す
何とも不思議な事ではあるが、毎日通って見慣れた筈の母校の筈なのに夜というだけ、生徒が誰もいないというだけで見知らぬ土地に来たような緊張感を感じてしまうのだ
「あ、あったぁ…」
「勉強熱心だね、〇〇は」
「先生に怒られるよりは、いいと思う…」
「確かに。目ェつけられるよりはそっちの方がいいかもネ」
●●の席は教室の一番後ろの窓際という、学生にとっての最高の特等席だ
窓枠に近い壁に寄りかかって笑う花子を見つめ、●●はここに来るまでの間に感じた緊張感を彼に置き換える
人っ子一人いない静かな学校、いつもは寧々達と話でにぎわう教室内で胸元で握りしめたプリントの類がくしゃり、悲鳴をあげた
「花子、さん」
「んー?なーに?」
「花子さんは……ここから『逃げよう』とした事はないの、…デスカ?」
「なにその変なケーゴ」
「うっ…だって寧々ちゃん達がいる時間よりも、今のここは静かで怖くて真っ暗で──とてもさみしい、から」
「……」
変に口から洩れた敬語の可笑しさに恥ずかしくなって、思わず花子からそらすように視線が床目を数える
彼は今、どんな事を考えているのだろう。どんな顔をして、どこに視線を送っているのだろう
「…いっかいだけ、『逃げよう』と思った事はあったよ」
「思っただけ、なの?」
「だって一人で逃げたって意味がなかったし
どこにもいかなかったから、〇〇とも会えたんだぜ?」
学帽を微かに上にあげ、現れた顔には笑顔が浮かんでいた
なのにどうしてこんなにも自分はただの一回と言った花子が考えた逃亡案に心が揺れるのだろう
ーねえ、本当は誰と一緒に逃げたかったの?
そんな問いかけを、彼に投げたくなったのは揺れ続ける感情を落ち着かせたいためだった
「はなこさ…」
「それにしてもムボービで夜の学校に来ちゃうなんて、〇〇は悪い子だよね?」
「え…?」
「そんな悪い子は──」
あ、と悟った頃には彼との距離はあってないもの、そんな曖昧な概念となっていた
女の子である●●よりも大きな瞳に魅入っている間、腰に回された腕にされるがまま、小柄な体格に抱きこまれる
爆発的に上がった体温で花子ごと燃えてしまうのではないか、飛び出そうになった心臓の代わりに口からは悲鳴があがった
「ひ、あ…」
「…朝が来るまで、俺とイケナイことしちゃおうか?」
直接、耳に流し込まれた煽情的な吐息と言葉に留まらず、甘く痺れた耳を食まれて●●は限界地に達した
「ふふっ、なーんて!なになに?腰抜けちゃった?」
「は、花子さん、ひどいっ」
分からない事だらけの花子を見ていると、窓から見える月に意識が向いた
月面着陸という夢を人類が達成してから月で分かることは増えたのだろうか、月面着陸がスタートラインだったとしたら──まだまだ花子と自分はそこにも至ってないのかもしれない
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