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「確認。焦凍くん、どこか行きたいところ、ある?」
「そう言う〇〇ちゃんは?」
「難航。…突然のことだったから、思いつかない」
街中にぽつりと取り残された二人の少年少女
かの雄英高校に通う彼らは今しがた学友達より時間つぶしをお願いされ、寮を出てきたばかり
すぐにバレてしまうだろうから、と焦凍の誕生日会の準備が終わらない事を理由に出されてしまえば、二人が断る理由はなく
ならば彼だけが時間つぶしに外出すればいいのではないか、とも思われるだろう
そこは仲間の粋な計らいという奴で、外出を共にしてほしいという誘いにどんな計らいがあるかを〇〇だけは知らない
二人だけの外出を演出してくれた緑谷達に、焦凍がこっそりと胸中で感謝の言葉を向けたなんてことも彼女だけが知らない
「?通達。誰かから電話、入ってるみたい」
「…クソ親父からだからいい」
「だめ。エンデヴァー以外のご家族の事に関する話、かもしれないでしょ?」
「…………」
「だめ」
上着のポケットから取り出したスマホ、暫く液晶画面に難しい顔を向けていた焦凍は二度に渡る〇〇からの促しに漸く出る意欲を見せてくれた
電話を取る為、少し離れた位置へ移動する背中から漂う嫌悪感に苦笑を一つ。傍にあった温度が遠のいた事で冷え込む空気に手袋越し、手をこすり合わせて待つこととする
「、あ」
スピーカーの向こうから辿り着く音声があまりに大きい為、彼が少女のつぶやきを拾う事はなかった
「〇〇ちゃんを待たせてんだから、早く話せ」
『今日はお前の誕生日だな、焦凍!』
「…おう」
まずは知っていたのか、という驚きが先走る
普通の親子のような会話のむず痒さの中、ふと周りに視線が傾く
街を行く人々が持つのは傘、柄が入っていたり、無色透明のビニールだったりと様々だ
そして次に丁度、自分にかぶるように重なる影に気付いた
白色が視線の端を掠るものだから、上を向かざるにいなくて、そこであまりの眩しさに瞼が下りてしまった
「────」
『焦凍、…焦凍?どうした?無視か?!』
「………〇〇、ちゃ、」
「……しー」
──もう一度、目を開いてみれば、〇〇の背中から生えた翼が原因だったのかと焦凍は理解した
いつもの彼女の個性発現時と異なり、確かな実体を持った羽根が焦凍へ降る為の雪から彼を守っていた
驚いてあげた声を飲み込むよう、促す〇〇の人差し指を立てる仕草に心臓がひときわ大きく弾む
あんなにも大きく聞こえていた父の声も、どこか異世界での出来事のように遠のいていった
「反省。雪が降って来るなら、傘を持ってこなきゃいけなかったね」
「〇〇ちゃん、ああいう事しなくていい」
「何故?」
「少なくともそんな弱っちい作りしてねえ」
「む」
「でも濡れないようにしてくれて、ありがとな」
「……ううん」
柔らかな音が聞こえてきそうな焦凍の笑顔につられる形で、同じ微笑が少女の表情をぼかす
地上へ降ろす為に伸ばされた手はそうする事が当たり前だと言わんばかりで、手に応えるのが遅れたのは照れ臭かったからだ
「行きたい所、出来たから付き合ってくれるか?」
「快諾。うん、一緒に行く」
手が置かれただけであった焦凍の掌が〇〇の小さな手を包み込み、雪の舞う街中を歩き出した。
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