SS-etc
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(梵天×東卍軸)
「───、」
胸にため込んだ酸素を吐き出したと同時、目が覚める。何度目かの朝を迎える
「目が覚めたら、元に戻って…なんて簡単に行く訳ないですよね」
仰向けに寝転がる視界に広がる見知らぬ天井
華奢な〇〇の体には不相応なキングサイズのベッド──全て〇〇のものではない、彼女の知らぬ代物
起き上がった肩から滑り落ちたシーツだってその中の一つだ
シーツの下から現れた包帯に巻かれた足、傷が出来て浅い為にじくじくとする痛みが〇〇へ現実を痛感させる
『首領、怪しい女がうろついていたので連れてきました!』
『っ…痛いんですけど…!』
『……〇〇?』
『え?』
東京卍會の集会から家へ戻った筈だった
それなのに気が付けば 見知らぬ埠頭らしき所にいて、ここがどこなのかを知りたくて大人を探して
そう、〇〇はそこが“悪い大人”のたまり場だなんて知らなかった
それだというのに目が合うや否や銃で撃たれて、理不尽に襲われ、混乱へ落とし込まれた
太ももから全身へ駆け巡る熱や痛みに呻いている間、あれよあれよとそんな事になって
──自分を見つめる真っ暗な双眸と名前を呼ぶ声の響きを持つ万次郎と〇〇は再会したのだった
「〇〇、起きたんだ」
「…あ、おはよう…ございます」
「あっちの部屋、行くだろ?連れていってあげる」
「う、わ…!」
足を撃ち抜かれたおかげで歩行活動がままならない状態に〇〇があると知った万次郎は甲斐甲斐しく彼女の世話を焼いた
このように部屋の移動には幼い体躯を横向きに抱き上げたり、壊れ物を扱うような繊細な手つきといった表現が世の中にはあるが、〇〇を扱う万次郎はまさにそれが当てはまった
「あ、あのー…そろそろ歩く練習とかしたい、んですけど…」
「なんで?」
「なんで…?!いえ、負担になってるので申し訳なくて…」
「別に?〇〇にはもっと縋ってほしいくらい」
「縋っ…」
自分の知る佐野万次郎とかけ離れた彼は、中学生の〇〇から12という月日を経たのだという
頼るでもなく、縋ってほしいと語りかける万次郎の表情や声音には一切の冗談が入り混じっていない、つまり本音。冗談であってほしいのに彼は本音と冗談を覆さない、なんて笑えない
あの夜、自分を撃った男のその後を聞く事なんてできなかった
『聞かない』ということが拳銃なんて現実離れした非日常を渡り歩く万次郎に対するボーダーラインなのだろう
縋ってほしいという言葉が出るような価値観のすれ違いが〇〇にはどうしようもなく、彼を遠くの存在へ追いやってしまう。12歳という歳の差よりもよっぽど分厚い壁だ
「…どうやってももう無理」
「え、万次郎、さん?」
「ずっと見ないようにしていた未練が戻ってきたんだ、泣いたってもう離してやれねえ」
「い…っ!」
だから諦めろ、と命令するような口調で彼はソファの背もたれへ〇〇を押し付け、太ももの銃痕へ微かに指を沈めてくる
神経に電流を流されたような痛みに咄嗟に瞑った瞳に涙が浮かび、悲痛な悲鳴が喉の奥から虚勢を切り裂いてこぼれた
痛みを与えれば、怖くて言う事を聞くなんていう価値観に腹が立った
そもそも逃げたいから歩く練習をしたい訳でもない
勝手な勘違いからなる暴力に覚えた怒りが、与えられた痛みを払いのけた
「諦めろ、っていうなら…!尚の事、今の状況に不満しかないんですがっ!」
「え」
「私だって、その…夜更かしにはあんまり自信はないですが…!
貴方が帰ってきた時におかえりって出迎えたいのに、それが出来なくて悔しいって思ってるのを知らないのに勝手なこと、言わないで」
「────」
勘違いを正解で上書きする為の〇〇の要求
万次郎が要求をのみ込み、噛み砕き、理解するまでに流れる無言の時間のなんとも居心地の悪い事か
「かわいい」
「……は?!」
「そっか、逃げてぇって訳じゃねえんだ。……良かった」
隙間なくぴったりと密着するように抱き締め、零された言葉から溢れ出る安堵感に胸が締め付けられる
この人はどれだけのものを掌からこぼして、何を諦めて、この未来へ至ったのだろう
言葉も形も上手く言い表せない感情に背を押され、〇〇も細い体へ受け止める。一瞬、震えた肩は見ないようにした
「……首輪や鎖、用意しなきゃいけねえところだった」
…あってはならない願望が見え隠れする言葉も、〇〇は耳に蓋をして聞かぬフリを貫くのだった。
「───、」
胸にため込んだ酸素を吐き出したと同時、目が覚める。何度目かの朝を迎える
「目が覚めたら、元に戻って…なんて簡単に行く訳ないですよね」
仰向けに寝転がる視界に広がる見知らぬ天井
華奢な〇〇の体には不相応なキングサイズのベッド──全て〇〇のものではない、彼女の知らぬ代物
起き上がった肩から滑り落ちたシーツだってその中の一つだ
シーツの下から現れた包帯に巻かれた足、傷が出来て浅い為にじくじくとする痛みが〇〇へ現実を痛感させる
『首領、怪しい女がうろついていたので連れてきました!』
『っ…痛いんですけど…!』
『……〇〇?』
『え?』
東京卍會の集会から家へ戻った筈だった
それなのに気が付けば 見知らぬ埠頭らしき所にいて、ここがどこなのかを知りたくて大人を探して
そう、〇〇はそこが“悪い大人”のたまり場だなんて知らなかった
それだというのに目が合うや否や銃で撃たれて、理不尽に襲われ、混乱へ落とし込まれた
太ももから全身へ駆け巡る熱や痛みに呻いている間、あれよあれよとそんな事になって
──自分を見つめる真っ暗な双眸と名前を呼ぶ声の響きを持つ万次郎と〇〇は再会したのだった
「〇〇、起きたんだ」
「…あ、おはよう…ございます」
「あっちの部屋、行くだろ?連れていってあげる」
「う、わ…!」
足を撃ち抜かれたおかげで歩行活動がままならない状態に〇〇があると知った万次郎は甲斐甲斐しく彼女の世話を焼いた
このように部屋の移動には幼い体躯を横向きに抱き上げたり、壊れ物を扱うような繊細な手つきといった表現が世の中にはあるが、〇〇を扱う万次郎はまさにそれが当てはまった
「あ、あのー…そろそろ歩く練習とかしたい、んですけど…」
「なんで?」
「なんで…?!いえ、負担になってるので申し訳なくて…」
「別に?〇〇にはもっと縋ってほしいくらい」
「縋っ…」
自分の知る佐野万次郎とかけ離れた彼は、中学生の〇〇から12という月日を経たのだという
頼るでもなく、縋ってほしいと語りかける万次郎の表情や声音には一切の冗談が入り混じっていない、つまり本音。冗談であってほしいのに彼は本音と冗談を覆さない、なんて笑えない
あの夜、自分を撃った男のその後を聞く事なんてできなかった
『聞かない』ということが拳銃なんて現実離れした非日常を渡り歩く万次郎に対するボーダーラインなのだろう
縋ってほしいという言葉が出るような価値観のすれ違いが〇〇にはどうしようもなく、彼を遠くの存在へ追いやってしまう。12歳という歳の差よりもよっぽど分厚い壁だ
「…どうやってももう無理」
「え、万次郎、さん?」
「ずっと見ないようにしていた未練が戻ってきたんだ、泣いたってもう離してやれねえ」
「い…っ!」
だから諦めろ、と命令するような口調で彼はソファの背もたれへ〇〇を押し付け、太ももの銃痕へ微かに指を沈めてくる
神経に電流を流されたような痛みに咄嗟に瞑った瞳に涙が浮かび、悲痛な悲鳴が喉の奥から虚勢を切り裂いてこぼれた
痛みを与えれば、怖くて言う事を聞くなんていう価値観に腹が立った
そもそも逃げたいから歩く練習をしたい訳でもない
勝手な勘違いからなる暴力に覚えた怒りが、与えられた痛みを払いのけた
「諦めろ、っていうなら…!尚の事、今の状況に不満しかないんですがっ!」
「え」
「私だって、その…夜更かしにはあんまり自信はないですが…!
貴方が帰ってきた時におかえりって出迎えたいのに、それが出来なくて悔しいって思ってるのを知らないのに勝手なこと、言わないで」
「────」
勘違いを正解で上書きする為の〇〇の要求
万次郎が要求をのみ込み、噛み砕き、理解するまでに流れる無言の時間のなんとも居心地の悪い事か
「かわいい」
「……は?!」
「そっか、逃げてぇって訳じゃねえんだ。……良かった」
隙間なくぴったりと密着するように抱き締め、零された言葉から溢れ出る安堵感に胸が締め付けられる
この人はどれだけのものを掌からこぼして、何を諦めて、この未来へ至ったのだろう
言葉も形も上手く言い表せない感情に背を押され、〇〇も細い体へ受け止める。一瞬、震えた肩は見ないようにした
「……首輪や鎖、用意しなきゃいけねえところだった」
…あってはならない願望が見え隠れする言葉も、〇〇は耳に蓋をして聞かぬフリを貫くのだった。
16/47ページ