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(中学生(東卍)軸)
家外に設置されているインターホンの音色に急かされながら、出掛ける用意に追われていた武道が玄関口へと駆け足で赴く
一体、誰がこんな時に…そんな悪態を何度も繰り返されるチャイムの波にかき消されながら、外で待っているであろう、せっかちな客人を苛立ち混じりに迎え入れた
「おっす、タケミっち~。元気してる?」
「マ、マイキーくん?!え、何でうちに!」
「〇〇ちん、最近見ねぇなって思って寄った。ってわけでアイツ、いる?」
「あー…それが、ちょっと風邪引いてて…」
「は?風邪?いつから?」
「ひぃ?!この前の、あの、祭りの時から具合悪いの放置してたみたいでッ!」
武道が出掛ける様相をしていたのは、今も2階で寝込む妹のため
何か食べられるものがあるかを尋ねた所、ゼリーという返答があったので〇〇が昔から好きな白桃のゼリーを買ってこようとし、アポなしで現れた万次郎の来訪とこうして重なってしまったというわけだった
二人からすると愛美愛主との抗争、そして万次郎の右腕でもある龍宮寺が刺された出来事が苦々しい痕を残す祭りの夜
確かにあの夜、僅かな夏の残香を洗い流すように雨が降っていた事を覚えている。そこにいた〇〇が救急車までの道へ武道やエマ達を行かせる為、火ぶたを切り──風邪を引くには条件がそろい過ぎていた
「…んで、タケミっちはこれからどっか行くの?」
「今からゼリーを買いに行こうかと!アイツ、それなら食べれるって言ってたんで
なのでえーっと、折角来てもらったんスけど、今日の所は…」
「うん、行ってきていーよ。俺、留守番しとくから」
「え???」
「ついでにたい焼きも買ってきて!」
「おにいをなに、パシろうとしてるんですか」
「〇〇?!」
最悪のタイミングで起きてきた、と武道は万次郎の背をジト目で見つめる〇〇に絶望する想いで悲鳴をあげた
大きな声に反応した二人からはうるさいと言われる始末でそんな時だけは息ぴったりじゃん…と二人分の圧に閉口し、胸中で悪態をつくので精一杯
額には出掛ける前にと変えたばかりの冷●ピタ、急いできたせいで腕を通さずに肩に置いただけのカーディガン、立派な病人スタイルに着飾った〇〇が招かれざる客人を威嚇している
「〇〇ちん、寝てねーとダメじゃん」
「おにいを、ぱしろーとしてる人がきて、るのに寝てる場合じゃない、で──!」
そこそこに高い数値の熱が出ているせいで言葉も舌ったらずで危なっかしい、足取りのふらつきにも危なっかしさは表れていて
一段下の踏板に置こうとした足は中空を滑り、体制を崩した妹の名前を叫び、武道が駆け出すよりも先に視界の端で煌びやかな金色が大股数歩で〇〇が床へ落ちるよりも先に追いつく
「っ……?!」
「ほら、顔真っ赤じゃんか
タケミっち、コイツの部屋どこ?このまま抱えていくワ」
「え?!あ、えっと2階の…」
「お、下ろして…」
「だーめ、足元ふらふらだったじゃん」
元々、体力的にも限界だった所を起きてきた影響でか万次郎の腕の中、〇〇はそれ以上の抵抗を示す事もできず、階段を上がる揺れに心地よささえ感じている
自然な流れで行ったお姫様抱っこのまま、〇〇を運んでいくスマートな背中を暫く眺めていた所から我に帰った後、武道は今度こそコンビニへ向かう為、玄関を出ていった
「薬とかちゃんと飲んだか?」
「…のみました、さっき、おひる食べたあと」
「お、飯食えたんだ。えらいじゃん」
「…ん、早くなおさないと、おにいが心配…しますから」
「さっき滅茶苦茶、焦ってたけどな」
〇〇が強く思うように、武道もまた妹からの親愛に応えるように家族を大切にしている、それが見て取れる慌てっぷりであった
根底には尊敬の念が万次郎の胸で宿っている、そんな笑顔で語りかける彼を〇〇はただベッドから見上げていた。ふとマスクもしていない事に気付き、もぞもぞと口まで持っていきたい思惑を察した万次郎が上布団を動かす
普段は世話をされている側なのに、案外世話をするのも得意なのかもしれない。エマという妹がいるからだろうか
「佐野さん、かぜ、うつしちゃいますから」
「へーき」
「いや、へいきじゃなくて、」
「俺、この家の鍵、持ってねーもん
タケミっちもコンビニ行ったっぽいし、暫くいる。それに…」
「…?」
「〇〇ちんに手掴まれてて、帰れねーし」
導かれるように引きあがる自分の腕が外界の空気に、視界の元に晒される
満足げに口の端をあげて笑う万次郎の言う通り、確かに自分の手と彼の手とが現に結ばれている。この状態なら彼もベッドの傍から離れられない訳だと納得し、申し訳なさが〇〇の口から突いて出た
「ご、ごめ、んなさ…っ!」
「水いる?」
「いえ、だいじょ、ぶです…
ごめんなさい、手にぎってたなんてきづかなくて、その」
「謝ることでもねーだろ、風邪引くと人恋しくなるもん
何でか知らねぇけど、〇〇ちんに頼られるのどんな形でも嬉しいから、な?」
ぎゅう、と離そうとしていた筈の手はいつの間にか、彼の手に覆われる形で握り直されている
あの夜、病院で見た等身大の『佐野万次郎』という少年の脆さを、頬を濡らす涙から〇〇は知ってしまった。無敵だなんだと言われる強さを誇る彼は15歳の子供なのだと忘れかけていた事実を思い出した
風邪を引くと人恋しくなる心細さを知っているこの人は、こんなにも──優しくて、放っておけない男の子だった。そこからは居ても立ってもいられなくなった
「……」
「〇〇ちん?」
「…頼ってもらえたら嬉しいのは、キミだけじゃないよ」
「…へっ?」
体の怠さに支配されているだろうに〇〇は、それらを無視して万次郎と向き合った
不意に体制を変えた少女の行動に訝しんでいる間に繋いだ指の隙間を彼女の指が縫い合わせ、より密着度を高める
引き寄せられた先にある頬と華奢な掌の間に万次郎の手は挟まれ、熱を孕んだ柔らかさと長い髪の隙間から覗く微笑、飛び出るかと思う程に跳ねる心臓の鼓動だけがこの光景が現実のものだと教えてくれていた
「…すー」
「………え、嘘っ、寝たの?〇〇ちん?おーい…?」
動揺と混乱を残し、〇〇はあっさりと万次郎を置き去りに眠りの縁へ旅立ってしまった
短時間の間にたった一人の少女にここまで心を乱されるなんて、万次郎にとっては初めてのことだった
いつもは振り回してばかりだが、振り回される側はこんなにも大変なのか。それを教えてくれた〇〇の熱や温かさ、柔らかさが脳内を駆け巡る
「頼って、かぁ…」
『無敵のマイキー』と頼られる事はあれど、『佐野万次郎』に頼ってほしいなんて言われた事は数少ない。最近では零に等しい
だからだろうか、突発的な行動に驚いたからなのもあるかもしれないが、〇〇の言葉が心に焼き付いて離れない。薬が効いているのか良く眠る顔に行動の理由を重ねようとしても一向に答えは出ないまま、時間は過ぎていった
▽▲▽
「それはそうとタケミっち
俺、あんだけ可愛い〇〇ちんを前にしても襲わなかったの偉いだろ?感謝してくれてもいいぜ?」
「何で上から?!
そんな事になったら、例えマイキーくんでも許しませんからね?!」
家外に設置されているインターホンの音色に急かされながら、出掛ける用意に追われていた武道が玄関口へと駆け足で赴く
一体、誰がこんな時に…そんな悪態を何度も繰り返されるチャイムの波にかき消されながら、外で待っているであろう、せっかちな客人を苛立ち混じりに迎え入れた
「おっす、タケミっち~。元気してる?」
「マ、マイキーくん?!え、何でうちに!」
「〇〇ちん、最近見ねぇなって思って寄った。ってわけでアイツ、いる?」
「あー…それが、ちょっと風邪引いてて…」
「は?風邪?いつから?」
「ひぃ?!この前の、あの、祭りの時から具合悪いの放置してたみたいでッ!」
武道が出掛ける様相をしていたのは、今も2階で寝込む妹のため
何か食べられるものがあるかを尋ねた所、ゼリーという返答があったので〇〇が昔から好きな白桃のゼリーを買ってこようとし、アポなしで現れた万次郎の来訪とこうして重なってしまったというわけだった
二人からすると愛美愛主との抗争、そして万次郎の右腕でもある龍宮寺が刺された出来事が苦々しい痕を残す祭りの夜
確かにあの夜、僅かな夏の残香を洗い流すように雨が降っていた事を覚えている。そこにいた〇〇が救急車までの道へ武道やエマ達を行かせる為、火ぶたを切り──風邪を引くには条件がそろい過ぎていた
「…んで、タケミっちはこれからどっか行くの?」
「今からゼリーを買いに行こうかと!アイツ、それなら食べれるって言ってたんで
なのでえーっと、折角来てもらったんスけど、今日の所は…」
「うん、行ってきていーよ。俺、留守番しとくから」
「え???」
「ついでにたい焼きも買ってきて!」
「おにいをなに、パシろうとしてるんですか」
「〇〇?!」
最悪のタイミングで起きてきた、と武道は万次郎の背をジト目で見つめる〇〇に絶望する想いで悲鳴をあげた
大きな声に反応した二人からはうるさいと言われる始末でそんな時だけは息ぴったりじゃん…と二人分の圧に閉口し、胸中で悪態をつくので精一杯
額には出掛ける前にと変えたばかりの冷●ピタ、急いできたせいで腕を通さずに肩に置いただけのカーディガン、立派な病人スタイルに着飾った〇〇が招かれざる客人を威嚇している
「〇〇ちん、寝てねーとダメじゃん」
「おにいを、ぱしろーとしてる人がきて、るのに寝てる場合じゃない、で──!」
そこそこに高い数値の熱が出ているせいで言葉も舌ったらずで危なっかしい、足取りのふらつきにも危なっかしさは表れていて
一段下の踏板に置こうとした足は中空を滑り、体制を崩した妹の名前を叫び、武道が駆け出すよりも先に視界の端で煌びやかな金色が大股数歩で〇〇が床へ落ちるよりも先に追いつく
「っ……?!」
「ほら、顔真っ赤じゃんか
タケミっち、コイツの部屋どこ?このまま抱えていくワ」
「え?!あ、えっと2階の…」
「お、下ろして…」
「だーめ、足元ふらふらだったじゃん」
元々、体力的にも限界だった所を起きてきた影響でか万次郎の腕の中、〇〇はそれ以上の抵抗を示す事もできず、階段を上がる揺れに心地よささえ感じている
自然な流れで行ったお姫様抱っこのまま、〇〇を運んでいくスマートな背中を暫く眺めていた所から我に帰った後、武道は今度こそコンビニへ向かう為、玄関を出ていった
「薬とかちゃんと飲んだか?」
「…のみました、さっき、おひる食べたあと」
「お、飯食えたんだ。えらいじゃん」
「…ん、早くなおさないと、おにいが心配…しますから」
「さっき滅茶苦茶、焦ってたけどな」
〇〇が強く思うように、武道もまた妹からの親愛に応えるように家族を大切にしている、それが見て取れる慌てっぷりであった
根底には尊敬の念が万次郎の胸で宿っている、そんな笑顔で語りかける彼を〇〇はただベッドから見上げていた。ふとマスクもしていない事に気付き、もぞもぞと口まで持っていきたい思惑を察した万次郎が上布団を動かす
普段は世話をされている側なのに、案外世話をするのも得意なのかもしれない。エマという妹がいるからだろうか
「佐野さん、かぜ、うつしちゃいますから」
「へーき」
「いや、へいきじゃなくて、」
「俺、この家の鍵、持ってねーもん
タケミっちもコンビニ行ったっぽいし、暫くいる。それに…」
「…?」
「〇〇ちんに手掴まれてて、帰れねーし」
導かれるように引きあがる自分の腕が外界の空気に、視界の元に晒される
満足げに口の端をあげて笑う万次郎の言う通り、確かに自分の手と彼の手とが現に結ばれている。この状態なら彼もベッドの傍から離れられない訳だと納得し、申し訳なさが〇〇の口から突いて出た
「ご、ごめ、んなさ…っ!」
「水いる?」
「いえ、だいじょ、ぶです…
ごめんなさい、手にぎってたなんてきづかなくて、その」
「謝ることでもねーだろ、風邪引くと人恋しくなるもん
何でか知らねぇけど、〇〇ちんに頼られるのどんな形でも嬉しいから、な?」
ぎゅう、と離そうとしていた筈の手はいつの間にか、彼の手に覆われる形で握り直されている
あの夜、病院で見た等身大の『佐野万次郎』という少年の脆さを、頬を濡らす涙から〇〇は知ってしまった。無敵だなんだと言われる強さを誇る彼は15歳の子供なのだと忘れかけていた事実を思い出した
風邪を引くと人恋しくなる心細さを知っているこの人は、こんなにも──優しくて、放っておけない男の子だった。そこからは居ても立ってもいられなくなった
「……」
「〇〇ちん?」
「…頼ってもらえたら嬉しいのは、キミだけじゃないよ」
「…へっ?」
体の怠さに支配されているだろうに〇〇は、それらを無視して万次郎と向き合った
不意に体制を変えた少女の行動に訝しんでいる間に繋いだ指の隙間を彼女の指が縫い合わせ、より密着度を高める
引き寄せられた先にある頬と華奢な掌の間に万次郎の手は挟まれ、熱を孕んだ柔らかさと長い髪の隙間から覗く微笑、飛び出るかと思う程に跳ねる心臓の鼓動だけがこの光景が現実のものだと教えてくれていた
「…すー」
「………え、嘘っ、寝たの?〇〇ちん?おーい…?」
動揺と混乱を残し、〇〇はあっさりと万次郎を置き去りに眠りの縁へ旅立ってしまった
短時間の間にたった一人の少女にここまで心を乱されるなんて、万次郎にとっては初めてのことだった
いつもは振り回してばかりだが、振り回される側はこんなにも大変なのか。それを教えてくれた〇〇の熱や温かさ、柔らかさが脳内を駆け巡る
「頼って、かぁ…」
『無敵のマイキー』と頼られる事はあれど、『佐野万次郎』に頼ってほしいなんて言われた事は数少ない。最近では零に等しい
だからだろうか、突発的な行動に驚いたからなのもあるかもしれないが、〇〇の言葉が心に焼き付いて離れない。薬が効いているのか良く眠る顔に行動の理由を重ねようとしても一向に答えは出ないまま、時間は過ぎていった
▽▲▽
「それはそうとタケミっち
俺、あんだけ可愛い〇〇ちんを前にしても襲わなかったの偉いだろ?感謝してくれてもいいぜ?」
「何で上から?!
そんな事になったら、例えマイキーくんでも許しませんからね?!」
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