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行き先を定めている訳でもない中、下校時間と重なった〇〇と遭遇した万次郎は、彼女を道連れに散歩を再開した
本屋に用事が、などという〇〇の言い分を無視した行動はまさに彼がトップのチーム、特攻服に刺繍された唯我独尊、その言葉を体現している
「そういえば、今日髪結んでないじゃん」
「伸びきってたのを使ってたせいで、途中で切れちゃったんですよ…」
「ふーん…」
じろじろと隣から注がれる視線に居たたまれなくなった〇〇は売店で購入していた真新しいパッケージの封を切り、長い髪をヘアゴムで括っていく
後は家に帰るだけで、家族以外には見る人もいない髪型はいつもの二つ結びのハーフアップ。これで漸く万次郎にとっても見慣れた自分になったはず──だというのに彼はずっと〇〇から目を離さないままだ
「…いくら何でも見過ぎじゃないですか?私に何か言いたい事でも?」
「ぱぱって簡単に結ぶもんだから、見惚れてた」
「こ、んなの…本当に簡単ですよ、ただのツインハーフアップじゃないですか」
「〇〇ちん、それ以外の髪型だってできんじゃん。すげーよな」
「それは気分転換で違う髪型にしたいなって思った時だけで、別に褒められるような事では…」
「俺が褒めたいって思ったからいいの」
短時間内での唯我独尊っぷり、これを毎日隣で浴びているドラケンこと龍宮寺の心中を察した〇〇は今度、彼に会った時は労いも込め、何か持っていこうと約束を胸に誓った
そこから暫く二人の間にあった話は途切れ、二つ分の踵の音が響くだけの空間が続く。静寂にそわそわとするものの、〇〇の歩幅に合わせた万次郎の足音に気遣いを垣間見て、何故だかそれがとても胸をくすぐった
「〇〇ちんの髪ってさあ、いつもサラサラしてんね」
「トリートメントとかちゃんと気にしてますから」
「トリ…え?なにそれ」
「───」
「今の顔、おもしれー!もう1回やってくれよ!」
「嫌ですよっ!」
女子にあるまじき表情をしていたであろう自分の顔を覗き込む事を、〇〇は良しとする筈もなく
兄である武道がいれば、東卍の総長になんつー態度を!と顔面蒼白していただろうが、知った事ではない。嫌なものは嫌と言って何が悪いのか、ちぇなんて尖った万次郎の唇とは異なり、〇〇の唇は真一文字に結びつく
「全く、人を笑うのに嘘なんてつかなくても…」
「嘘じゃねーし」
「え?」
「いっつもサラサラで綺麗で、ずっと触ってみてーなって思ってた
だからさ、今、触ってもいい?な?いいだろ?」
「……いい、ですよ」
「よっしゃ!」
勢いに負け、加えて手間暇かけて手入れされている髪を褒められた事でついつい頷いてしまったが、不意に小さな不安を●●に追いついてきた
東京卍會なんていう不良グループを束ねるトップの唯我独尊少年、触ってみたいのはいいが、手加減なしに髪を引っ張られでもしたらどう対処すればいいのだろうか
「(あ、れ…?)」
「…うん、思った通りだった
なんだろーな、タケミっちと同じシャンプーとかの筈なのにお前は全然違う」
そんな風に思っていた〇〇の不安を他所に、触る為に伸ばされた指先はとても繊細だったもので〇〇の目は驚きによって、更に丸みを帯びて転がった
抗争だなんだと人を殴ってきた無骨さを置いた手に預けられた自分の長い髪、指通りを楽しんでいた指は名残惜しみながらも、最後まで触れていた一秒ごとを感触を噛みしめていた
「〇〇ちんの髪、やっぱり綺麗だ」
万次郎の手からすり抜けた髪束がガードレールの先からやってきた風に乗っていく
風に遊ばれる時でさえも眩しそうに眼を細められるものだから、自分の髪が特別なものに見えてしまう。果たして瞳が反らしたかったのは錯覚か、それとも万次郎の──
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