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人工遺伝子の投与により自己での思考、行動を抑圧されていたティア
病的なまでの自己の薄さが彼女の体内に存在する、デスティニープランの先駆けともいえる置き土産に気付いたのは終戦後すぐの事であった
「シン、シン。ご飯、どれがいいかな?」
通常の人間には不要である薬物と人工遺伝子の除去手術を複数回受け続けた事で、ティアの感情を縛る鎖は徐々に数を減らしていった
だが長年の癖というのは中々抜けないもので、日常生活の様々なシーンで人工遺伝子による後遺症をシンの前で発現させる
食事に対しても今日が初めてではない、その度にシンはティアに本心を引き出すように言葉をかけるのだ
「ティアは自分で好きなことを決めていいんだよ」
「…でも、」
「自信がないっていうのもちゃんと分かってるから。ゆっくり慣れていこう、な?」
二の足を踏んでいる様子で、浮かない顔色のティアの頭を撫でるのもシンにとっては癖の一つだ
どうにかシンに促される形で時間はかかりつつも、自分で決めたメニューを注文するティアにひと段落。外出許可を共に得て、今まで二人の様子を静観していたルナマリアがストローから離したばかりの口で会話を始める
「シンもティアの事を気遣うようになって成長したわよね~」
「た、確かに前までは自分の事で精いっぱいって自覚はあったけど……」
「うんうん。で、ティアは結局、何を食べる事にしたの?」
「目玉焼きが上にのったハンバーグにしたよ」
「昔から肉は嫌いだけど、ハンバーグが好きなのは謎だよな」
ザフトに入隊するまでの昔話に話を咲かせる同期三人、話の中心に招かれるのはもっぱらティアだ
食後はどこに行くのか。辺りの店の情報などを端末で見せつつ、あくまで彼女に選択させようとするのもシンにとっての愛情であろう。何とも甲斐甲斐しい様子にふと、ルナマリアの胸中で悪戯心がくすぶった
「ティアったらシンに関することなら、すぐに判断できるのにね」
「え、どういうことだ?」
「!ル、ルナ待って…!」
「お菓子とか作るにしても『シンはこっちの方が好き』だし
たまにの外出で何か持って帰るにもシンへのお土産なら即断即決よ?この子」
「そう、なのか?」
知らなかった、と表情の全てで考えを露わにするシンの真紅の瞳に晒されながら、ティアは言葉にならない悲鳴をあげている。音量が小さいのは店内という事を考慮してのものだろう
恐る恐ると顔を隠していた両手を、眉を八の字に下げながら、この二人を前にして逃げられはしないと覚悟を決めて、ティアは白状する
「……シンのことは、誰よりも自分で考えて、決めたい、から」
「~っ…!」
────はいはい、ごちそうさま
お互いに顔を真っ赤にして固まるシンとティアを眺めながら、パフェにちょこんと飾り付けられたさくらんぼを咥えるルナマリアであった。