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母艦の薄暗い格納庫の中、全てのシステムをシャットダウンして漸く緊張が解ける
今日もまた生き残ることができた安堵感によるものからか、思考回路がふわふわと宙を漂っているように落ち着かない
コクピットを開ければ、戦線から帰還した自分を出迎える光の温かさの中で──傾倒する意識を抱え、ティアは真っ逆さまに堕ちていった
「────ティア?!」
──混濁していた意識が次に目を開くと見知った天井と、自分を見下ろすルームメイトを捉えた
格納庫よりも近い天井からここがルナマリアと自分の自室だとティアは認識する、意識にかかった霧の中で焦りを伴った声が微かにリフレインしていた
「やーっとお目覚め?寝坊助ティア」
「……ルナ、あの、ごめんね」
「その言い方だと自分に何があったのか、分かってるのね」
「なんなんだろう、これ」
「軍医曰く低血圧…らしいけど、いつもそうとしか言わないじゃない」
適当言っていたら許さないんだから、と不満に口を尖らせるルナマリアの不満へ当事者は苦笑を漏らす
アカデミーの頃より良くしてもらっている彼女は、どうやら自分を第二の妹のように思ってくれているようでティア自身より健康状態をこうして心配してくれている
ルームメイトが彼女で良かったと何度頼りにしたことだろう
──戦場帰りのティアがこうして倒れる事は今日が初めてというわけでもなく
既に何度目か分からない状況を作り出しているのは極度のストレス、ミネルバに搭乗する軍医は決まってそう口にするばかりだった
まるで壊れたレコードのようにそれだけを繰り返すのだ、あるいはその返答しか用意できない姿勢にルナマリアが不信感を抱いても仕方のない事だろう
「早く行ってあげた方がいいわ、彼奴のことが心配なんでしょ?」
「ルナには何でもお見通しだね」
「全く…自分は病み上がりなのに人の心配ばっかりしちゃって」
ルナマリアとのやり取りに今は亡き兄の面影を懐かしく思いながら、ティアは自室を出た
目覚めたばかりで少しの気だるさを残す体を突き動かすのは彼の存在。探しているティアの存在を感じ取ったのか、探し人は眉間に眉を寄せた状態で彼女の前に姿を見せる
「もう調子、いいのか?」
「まだちょっと頭が痛いけど、薬は飲んだからその内治るよ」
「……そっか」
不安を払拭させる為に用いたティアの言葉にも、彼──シン・アスカの眉間の皺は深まるばかり
一見、厳しいようにも、怒っているようにも見える表情ではあるが、長年の付き合いであるティアはシンのこの顔に覚えがあった
他者への心配や気遣いを上手く言葉に出来ないもどかしさに、自分がやきもきしている時、彼は決まってこんな表情をするのだ。きっとそこには18歳という思春期も絡んでいるのだろう
まずは自分の無事をもうひと押しすべきか、そうティアが念押しを検討した時、ぽつりと言葉が空間に落ちた
「心配、したんだからな」
「──────」
「な、なんだよ!その顔!
心配するとか当たり前だろ、俺はティアの幼馴染なんだから!」
「聞いたよ、倒れた時にシンが抱き留めてくれなかったら、頭を打ってたかもしれないって」
「ルナだな……」
「だからありがとう、シン」
気だるさに支配される体を押してでも、シンに会いたかったのは安心させたかったから
不安に埋め尽くされた心に灯りを灯したかった、ティアから受け取った言葉に破顔する瞬間を見たかったから──照れ臭さに口を噤む姿を前にしてティアは自分を突き動かす理由を知るのであった。
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