SS-enst(2)
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「りっちゃん、おはようー!グッモーニン!」
追い打ちのようにカーテンレールを軽やかに走る足音に、否が応でも凛月の覚醒は促される
不満げをまざまざと瞳に宿し、じとり、そんな音さえも聞こえてくるような視線で日差しをこの部屋へ取り入れる少女に彼は唸った
「んん…皆、寝てる時間に俺だけ起こすなんて酷くない…?」
「残念だけどりっちゃん、今は朝の9時で逆に皆、起きてるよ」
「今の絶対、詩乃とま~くん以外に言われてたら*してる」
「起きて起きて―、今日は天気がいいからお布団干そうよ~」
物騒な音色にだけ、蓋をして先に目覚めていた詩乃が凛月から布団を引っぺがそうと裾を掴む
凛月と限定せずとも起きるのを拒み、不機嫌な人間相手に対する自殺行為に他ならないそれを分かっているのかいないのか、彼女は物怖じせずに行動に移った
「み゛ゃっ?!」
「ふふ、なぁに。その変な悲鳴」
いつもなら詩乃の物怖じしない行動に、黙って身を任せる凛月が攻守逆転に成功する
死角となっていた布団の中から伸びてきた彼の手により、温かな空間に引きずり込まれた詩乃。ふかふかな感覚にここが布団の中だと気付くと彼女の丸い頬が見事に膨れ上がる
「もう、今日は絶対にお布団干すのー!」
「朝の9時だっけ?そんな早くに俺を起こしちゃう悪い詩乃は、しまっちゃおうね~
お布団干すのは後でちゃぁんと手伝うから、体力温存の為におやすみ…♪」
「うぅん…」
まだ寒さが残る季節の境目から温かな布団の中に引きずり込まれ、詩乃の決心が一瞬にして揺らぐ
しかも心地よささえ感じる凛月の声、頭を撫でる指先に沈めたばかりの睡魔が襲い掛かってきた
ああ、これはだめだと詩乃はすぐさまに数秒先の未来を受け入れた
「…絶対、絶対、ぜーったい!後で手伝ってね?」
「うんうん、詩乃との約束だからねぇ…破る訳にもいかないでしょ」
「それから…それから…りっちゃんの紅茶も飲みたい」
「いいよ、とっておきの紅茶をいれてあげる」
だからおやすみ、何度目かの眠りの挨拶にとうとう詩乃は陥落する事となる
これが平日の登校前ならば大惨事で、真緒に怒られる事となるが休日の今日なら──いいかとつくづく凛月に弱い部分が彼女自身も甘やかす
「一番日差しが強い時に外って、俺にとっては苛酷以外の何物でもないけど…」
「──りっちゃん!今日はきっとお日様のにおいとふかふかで、気持ちよく寝れるよ!」
「(詩乃のあんな笑顔見てたら、不満なんて言えるわけないよねぇ)」
目覚めた二人の起床時刻は正午に差し迫る時間帯
吸血鬼である凛月の天敵でもある時間は目の前で日差しの効果もあり、輝きを増す少女の笑顔によってその殺傷力を失うのであった。