SS-enst(4)
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「壬景!この前のテストで学年2位になったんだ!」
「マヨイ先輩に先程のレッスンで覚えが早いと褒められたよ!」
「壬景、聞いてほしい事があるんだけど──」
ある種、ESビル並びに『ALKALOID』の面々の中で定番となりつつ光景が今日も広がっていた
自分よりも小さな壬景の後を付いて回り、褒めてほしいとその日にあった嬉しい事を報告する一彩はさながら仔犬だ
幼くさえも見える姿に一部の界隈がむせび泣いている頃だろう
「そうですか。…偉いです、凄いですね、一彩坊ちゃん
一彩坊ちゃんが周りに認められると壬景も嬉しゅうございます」
そして一文一句、全てを聞いた上で壬景も一彩が欲する言葉を惜しみなく与える
マイナスなものが全く存在しない二人の空間は空気清浄機としての名高さを獲得していた
「壬景、そろそろ帰らないと暗くなってしまうよ」
「おや、もうそのような……今しがた、提出する書類が終わった次第。帰る準備をしなければいけませんね」
「それは……僕達の次の講演に関するものかな?」
「ええ、坊ちゃんが察した通り、次の講演に際し『ALKALOID』のスケジュールを調整していたのです」
束ねた書類が机を叩いた拍子、発生する軽い音は人が少なくなった事務所の中に良く響いた
まだ正式なものと届けられたものではない書類、講演でベストなパフォーマンスを発揮できるように無理はさせられないと気遣いを口にする壬景を前に、彼女を迎えに来た一彩は動かずにはいられない性分だ
「……一彩、坊ちゃん?あの、何故、壬景の頭をそのように撫でられるので…?」
「いつも僕がしてもらってる事を返してるだけだよ
『ALKALOID』の皆の為に努力を怠らない壬景は素晴らしいよ!自分のように誇らしく思う!」
「いえ、これは壬景にとっては当然のことゆえ……」
「いつもありがとう、壬景!」
「~っ…!」
「壬景…?どうしたんだ?また僕は何か間違えてしまったかな…?」
限界だった、キャパオーバーなんてとっくの昔──暴露してしまえば、頭を一彩が撫で始めた瞬間に迎えていた
間違いを冒してしまった?とんでもない、ただ彼の行動は壬景の柔らかい部分に刺さり過ぎてしまっただけ。間違いではないと早く伝える義務が壬景には発生する
「壬景、は…壬景は頭を撫でられるのは慣れて…いないのです…これ以上は、どうかご容赦を……」
「ご、ごめん…!」
自らの醜態を晒すよりも一彩の誤解を解くことが、壬景の中の優先順位の上位へ繰り上げた
ただし揺らぎきった感情から絆された壬景の様子に、一彩が何ともいえない感情を抱く事になったと気付かない程には今の壬景の勘は鋭さを失っていたのである。