不自由を謳歌せよ
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それは、ペンライトから放たれる光によって輝くステージへ立つ彼へのはなむけ
そして、ステージへ向かう背中を見届けた少女からの惜別の言の葉
「──どうか今度こそ、『自由』に夢を追いかけなさいませ、燐音坊ちゃん」
歌声や踊りが弾ける度、呼応する観客の存在に胸の虚空が満たされていく
かつて願ったような『アイドル』になっていく、一度は捨てた夢のスタートラインからステージへ送り出した少女の方へ振り返る
「……壬景?」
きっと見ていてくれる筈だと、燐音はその時まで信じて疑わなかった
一番近い舞台袖にいた筈の存在は今や見る影もなく、振り向いたターコイズを模した瞳に映るのはステージ裏から続く深い闇。とても嫌な予感が、彼を襲った
「オイ、ニキ。壬景チャン知らね?」
「壬景ちゃん?
あ、そうそう。これを燐音くんに渡してくれって頼まれたっす!」
「…………」
「社員証を燐音くんに渡す意味が分からなかったんですけど…」
「どこに行くとか、聞いてたか」
「え?いや、そこまでは…確か外に行くのを見たような……って、ええ?!ちょ、燐音くん?!どこ行くの?!」
わき目も振らず、行方も告げずに飛び出した事で上がった声にも反応を示せない程、燐音に余裕はなかった
街のあちこちからこぼれる光により、一定の明るさを保持した街中に集中した人間の数もそれなり。だというのに月影を模した髪色の少女だけがいない。まるで壬景だけが世界から切り離されたように見つからないのだ
「(どこだ?壬景ならどこに行く?
『隠れ家』……は違う気がする、社員証を残していったってのは戻る気はないって意思表示だろ?)」
ライブ終わりの体力の消耗も気に留めていられない、夏の季節によって湿った暑さに流れる汗を拭いながら、思考の隅々に精神を巡らせる、あらゆる可能性を考える
焦っても冷静な判断を見失う、それは燐音が時期当主になる為に『故郷』で教わったことの一つ
壬景が置いていった社員証から彼女が戻る気はないと気付く事が出来た、その事実がまざまざと最初のターニングポイントでの失態を燐音へ突き付けていた
「(『自由』って言葉をアイツが口にした時に気付くべきだったんだ
最初にそれを語った時、俺は壬景を『故郷』に残していった。残る事をアイツが望んだから、俺が強引にでも連れていけなかったから──)」
空か、地か、はたまた海か
目の前に示された3つの選択肢から壬景に辿り着くのは3分の1の確率、彼が決めあぐねている中で答えとなる少女は都心の某バスターミナルで発車時刻を座して待つ
発車時刻が来るまでの時間つぶしにと客向けへ設置されたテレビ画面には、己が主と定めた兄弟の立つライブ映像が流れている。輝かしい旅立ちに自然と笑みがこぼれ、胸は安堵の想いに満たされる
兄弟の背中を押し、ステージへ向かう彼らを見送る──それまでが自らのお勤め
その後は彼らの前から姿を消す、全て壬景があらかじめ心に決めていたことだった
「……どうか今度こそ、自由に
一彩さまと夢を追いかけてくださいませ」
そして、ステージへ向かう背中を見届けた少女からの惜別の言の葉
「──どうか今度こそ、『自由』に夢を追いかけなさいませ、燐音坊ちゃん」
歌声や踊りが弾ける度、呼応する観客の存在に胸の虚空が満たされていく
かつて願ったような『アイドル』になっていく、一度は捨てた夢のスタートラインからステージへ送り出した少女の方へ振り返る
「……壬景?」
きっと見ていてくれる筈だと、燐音はその時まで信じて疑わなかった
一番近い舞台袖にいた筈の存在は今や見る影もなく、振り向いたターコイズを模した瞳に映るのはステージ裏から続く深い闇。とても嫌な予感が、彼を襲った
「オイ、ニキ。壬景チャン知らね?」
「壬景ちゃん?
あ、そうそう。これを燐音くんに渡してくれって頼まれたっす!」
「…………」
「社員証を燐音くんに渡す意味が分からなかったんですけど…」
「どこに行くとか、聞いてたか」
「え?いや、そこまでは…確か外に行くのを見たような……って、ええ?!ちょ、燐音くん?!どこ行くの?!」
わき目も振らず、行方も告げずに飛び出した事で上がった声にも反応を示せない程、燐音に余裕はなかった
街のあちこちからこぼれる光により、一定の明るさを保持した街中に集中した人間の数もそれなり。だというのに月影を模した髪色の少女だけがいない。まるで壬景だけが世界から切り離されたように見つからないのだ
「(どこだ?壬景ならどこに行く?
『隠れ家』……は違う気がする、社員証を残していったってのは戻る気はないって意思表示だろ?)」
ライブ終わりの体力の消耗も気に留めていられない、夏の季節によって湿った暑さに流れる汗を拭いながら、思考の隅々に精神を巡らせる、あらゆる可能性を考える
焦っても冷静な判断を見失う、それは燐音が時期当主になる為に『故郷』で教わったことの一つ
壬景が置いていった社員証から彼女が戻る気はないと気付く事が出来た、その事実がまざまざと最初のターニングポイントでの失態を燐音へ突き付けていた
「(『自由』って言葉をアイツが口にした時に気付くべきだったんだ
最初にそれを語った時、俺は壬景を『故郷』に残していった。残る事をアイツが望んだから、俺が強引にでも連れていけなかったから──)」
空か、地か、はたまた海か
目の前に示された3つの選択肢から壬景に辿り着くのは3分の1の確率、彼が決めあぐねている中で答えとなる少女は都心の某バスターミナルで発車時刻を座して待つ
発車時刻が来るまでの時間つぶしにと客向けへ設置されたテレビ画面には、己が主と定めた兄弟の立つライブ映像が流れている。輝かしい旅立ちに自然と笑みがこぼれ、胸は安堵の想いに満たされる
兄弟の背中を押し、ステージへ向かう彼らを見送る──それまでが自らのお勤め
その後は彼らの前から姿を消す、全て壬景があらかじめ心に決めていたことだった
「……どうか今度こそ、自由に
一彩さまと夢を追いかけてくださいませ」
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