SS-fgo(2)
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天上を目指し、うず高く積み上げられた機械都市の片隅で初めての夜を迎える
機神打倒を掲げる同盟の寄る辺として作られたアジトにて、この都市へ辿り着いてすぐに見舞われた洗礼の疲れを癒そうと各々が自由時間を過ごしていた
「ブリジット、どうかした?」
「あ…い、いえ!……ちょっとだけ、ここの外に出る事は可能です?」
「短時間なら大丈夫だ」
「本当にすぐ帰って来るので安心してくださいです」
誰に急かされる訳でもなく、室内から飛び出したブリジットは外の空気を胸へ深く取り込む
何度も深呼吸を繰り返している筈なのに、一向に酸素が満たされない体
思い出したくない光景が酸素不足を原因にバグを起こした脳によって、ブリジットの想いとは裏腹にフラッシュバックを繰り返し、彼女を苛む
「、は……」
都市の統治者からのアナウンスでばら撒かれたカルデアへの敵意、瞬きの間に住人達へ伝播した不安と殺意
無理がないとは思う、約束された日常を壊す存在が外からやってきたと聞かされては誰もが武器を取るだろう
自分達の当たり前に続く日常を守る為に排除しようとする、当たり前の反応だと思う
「(心臓がいたい、息、ちゃんとできてる、ですか)」
数々の犠牲を払い、絶海を超え、ここまでブリジット達がやってきたのも自分達の生きる未来を取り戻す為
5つの異聞帯を壊し、そこに生きていた人々の全てを奪ってここにいる。今までが運が良かっただけで遠からずも現地の人々に敵意を向けられることなんて分かっていた、分かっていた筈だが──それだけだったのだ
理解し、覚悟さえ決まっていれば、こんな失態を犯す事なんてなかった
フラッシュバックはブリジットが自身を強く責める度、相互作用を高めていく。悪夢のようなループの中で堂々巡りを繰り返し、既に体と思考は限界を迎えようとしている
「##NAME2##」
「っあ…シャ、ル……?」
「夜更けにそんな薄着だと体を冷やすだろ?俺のだけど、ないよりはマシな筈だぜ」
全ての不安を吹き飛ばすような温かな春風に包まれたことで、ブリジットは己が陥っていたループの出口を見つけた
先程までは自分の状態把握も怪しかったものだ。けれど今は白色の外套が頭からかけられ、自分にそうしてくれたのがシャルルマーニュなのだと把握出来るまでにブリジットは落ち着きを取り戻していた
あれ程までに上手く取り込めなかった酸素は外套から香る彼の匂いを感じると共に供給を再開している、無音であっても『大丈夫だ』という言葉が聞こえてくるようで、安堵感に包まれたのもあって
「##NAME2##、おいで」
「…………」
「そんなに渋られると傷付くんだけどなあ……」
「お、お言葉に甘えて……」
両手を広げられていた意図が良く理解できず、固まっていたブリジットはそんな言葉に背中を押し出される形でシャルルマーニュの腕に飛び込む
傍目からだと細く見えがちの体はしっかりとした体幹が通っており、少女一人が飛び込んできた衝撃では倒れない程に頼りがいがある
髪の流れを整えるように頭を撫でる手に、ふとブリジットは最後に残っていた自分の異常を捉えることになった
「私、まだ体が震えてたですね。…かっこ悪いなあ」
「カッコ悪くなんてないさ
どんなに体が震えようと、前に進む事を諦めないアンタは誰よりかっこいいぜ、マスター?」
「それは、貴方がこうして私を勇気づけてくれるからですよ」
「だけど今夜くらいは誰からも隠してやるから、かっこいいのを休んだっていいんだ」
────せめて夢の中では穏やかでありますように
何度も繰り返し見てきた夢の中で聞いた言葉と気付きながらも、ブリジットはシャルルマーニュより与えられる安堵感に目を閉じた
その夜、夢を見た
いつも見るような夢ではない、”外の世界”での夢だった
青白い月明かりが反射する海面に座り、青嵐の騎士と”誰か”が語り合う夢
言葉は聞こえない、騎士が話を交わす存在をブリジットから認識できない。けれど自分はこの光景を夢で見るより前に知っていた気がする
「……俺の記録を見てるのか?##NAME2##
月、地上、どこにいてもアンタはアンタだ。なら俺が果たすべき約束も一つ」
月のブリジットが月の海原へ流れ着いたのは、魔術が廃れた世界で差別的感情で地上より流刑に処されたからだ
自分と契約したからか、はたまた違う原因が存在しているのか確証は持てない
シャルルマーニュが確かに持つものはどの世界のブリジットも自分が守るべき存在であるということだけだ。それだけがあればいいという想いは彼の中で輝きを損なう事はない
「その為なら、真っ白に洗い流された世界からお前を連れ去る事だって厭わない」
月光のおかげで青白く反射する外套は神秘性を秘めているようで、極東の国での花嫁装束を思わせる
生前は叶わなかった少女との婚姻を夢見て、何も知らずに眠る目蓋に口付けを落とした。
▽▲▽
>>Tips
生前、シャルルマーニュと交友があった少女。
月の海原(SE.RA.PH)では、とある七日間の旅においてシャルルマーニュと契約していた別次元の存在も確認されている。
カルデアにおいてはマスター候補生達の世話係を仕事とするスタッフ兼マスターの一人として人理焼却から第一線で戦っている。