SS-fgo(2)
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「シャルル、シャルル!どこに行くですか?
私、今日の分の仕事がまだ終わってないですよ…!」
「すぐそこまで!足元に気をつけろよ~」
外見から考えられない程、広々と展開されたシャドウボーダー内の通路を駆ける一組の男女
事態の緊張感を吹き飛ばすかの如き、二人の慌ただしさへ送られる職員からの温かな視線に見送られ、ブリジットは気が付くとシャドウボーダーの昇降口まで辿り着いていた
先に外へと降りていたシャルルマーニュから差し出される手を見つめる彼女に笑う表情に引かれるがまま、段差を飛び越えた
光を遮るものがない為に強く入り込む太陽の光、どこまでも吹き抜ける風に体の感覚を奪われてしまいそうだ
「……真っ白で、何もかもがなくなってるですね」
「最近、どうにもマスターが根を詰めてるみたいだからってアイツらと息抜きの方法を考えてはみたんだよ
そこでマスターが前に外の世界を見て見たいって言ってたから、これだ!って思ったんだが…上手くいかないもんだよな~」
「ここに本当なら色んな人や、建造物があったですよね…」
初めてカルデア外の世界を前に、ブリジットが出した感想は『無限の白色』
寧ろそれ以外のものと言えば、空の青さしか残っていない為に彼女の感想は無難なものを選んだといえる
それでも人類史の漂白を前に休む暇もないマスターのことを思い、行動を起こしたシャルルマーニュにとっては到底納得のいく結果になる筈もなく
こんなにも試練を乗り越え続ける少女に対し、自分が出来る事の少なさに引き下がれない彼は暫くの間、考え込み──
外の光景からシャルルマーニュの唸り声にブリジットが振り向いたと同時にそうだ、と意気揚々とした声をあげた
「マスター、目を閉じてみてくれないか?」
「えっとこう…で合ってるですか?」
「そうそう、そのまま。で、ちょっと手を借りるぜ」
「……?」
言われるがままに視界をシャットダウンすると両手へ灯る温かさと浮遊感、宣言通りにシャルルマーニュに手を握られたのだとブリジットは理解する
視覚から情報を得ることも出来ないブリジットにとって、自分の手を握るシャルルマーニュだけが命綱といえる状況下。一体、彼がどんなことを思いつき、どういった行動を起こしたいのか、見当つかずにいた
「ここはレンガ仕立ての大通り」
「え、」
「休日なのか人は…そうだな、とにかく沢山だ!
恋人同士、家族を連れ立って、色んな人で溢れかえってる。露天商もいるみたいだな」
「……はい」
「路地裏には猫もいて──」
天気は晴れ。肌を焼きかねない夏でも、肌寒さを感じる冬でもない、丁度いい季節なんて想像の余地を残すシャルルマーニュに笑みをこぼしながら、彼の言葉に想像を膨らませていく
不思議なことに今までは彼と自分の声しか存在しない世界に建造物が生まれ、人々の声が虚空より響き、真っ白なキャンバスに人で溢れかえった街並みが描かれる
その中をブリジットはシャルルマーニュと散策している、例えそれが想像だとしても好奇心に胸が高まって仕方ない
「凄いです…!想像の中でシャルルに手を引かれながら、見た事もない街中を歩いてるみたいで楽しいです!」
「今は想像上だけど、早い内にマスターの望む世界や人の営みを取り戻してみせる、約束だ」
「その時は、またこうして手を繋いでくださいね?」
「ああ。…絶対に離さない」
いつの間にか絡められた彼の指に一際、強い力が籠って握り返される
外に降り立ってから一番強い風に煽られ、シャルルマーニュの声で描かれた街中が攫われたのを境にブリジットは目を覚ました
──目の前には変わらず笑う勇士
この人がいる限り、また歩き出せると再確認し、ブリジットはシャルルマーニュと歩み続ける。
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