SS-F/EXTRA
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「奏者、奏者っ。今日もそなたを愛してるぞ!」
通路に響き渡る甘さを孕んだ響きに何故か言われた本人ではなく、その場にいたというだけの人物、果ては英霊達が揃って顔を赤く染めていた
必要な素材の数が足りないからとマスターに付き合っていた詩桜の帰りに気付き、部屋へ突入してきたネロは詩桜の膝の上に寝そべる。ゴロゴロと聞こえてくるような甘えっぷりだ
「凄いねってネロの事でマスターと話が弾んだんだよ」
「むぅ、余のいない所で奏者とマスターが二人で秘密の会話とは…」
「あ、まずはそこなのね?!
…こほん、心配はいらないよ。ちゃんとマシュも同席していたからね」
「して話が弾んだとは?」
「愛を途切れさせないネロは凄いねって」
「む?」
不可解そうに、言っている意味が分からないというように顔をしかめながらネロが起き上がる
月と桜、両方を宿した詩桜の双眼と瑞々しい新緑を兼ねた瞳からの視線が交わる
先程、素材集めの為に向かったのは今、見つめる瞳と同じ新緑が生い茂るジャングル
葉と葉が重なり、僅かに出来た隙間からこぼれる光に照らされながら、マシュ達と話していた内容を追想する
『ネロ陛下は凄いですね、受け止める詩桜さんも凄いですが…』
『僕はともかくそうだね、彼女にとって愛を語るのはきっと──』
「──当たり前ではないか!」
『当たり前の事なんだと思うよ』
やはり、とあの場に置いてきた答えと寸部狂いなく自分へと戻ってきた言葉に詩桜は嫋やかに笑む
やっと会話の意味を理解したらしいネロは弾かれたように言い切ると、綿帽子を外している花嫁の顔にずい、と顔を近づける
「愛を捧げば捧げる程、輝く月が隣にあるというのに愛を語らないなどという選択肢があるのか?
いや、ない!少なくとも余にはその選択を取るという選択肢はない!」
「十分すぎる程にもう貰ってるとしても?」
「毎日、そなたへの愛を更新する余が満足する事があると思うか?」
「──」
まいった、と許容量を超えた愛に詩桜は言葉を失った
一生に貰える愛情は全てこの皇帝に貰い、捧げてきたというのにそれでも尚、溢れる程の想いをどうにかこぼさないように必死にかき集め、言葉として形に残す
「”私、死んでもいいわ”」
頬を包む、いつだって自分を守ろうと剣を握る手の上に自分の手を置き、花嫁は涙交じりに笑う
「奏者っ」
そして今日も、薔薇の皇帝は彼女に愛を捧ぐのだ。
薬指になお灯る
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