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石畳の道端にひしめき合うように並ぶテント、彩り豊かな野菜、ジャムの瓶が何とも視覚的にも楽しい
日本で見るマーケットとは異なる規模、異国の情景を前に花音も思わず時差ボケを忘れて見入ってしまう程だ
こっち、と先を行くレオに突如として空港から連れてこられた時のまま、手を引っ張られる。おとぎ話の世界に迷い込んだ主人公の気分さながら ふわふわと落ち着かない今、彼の手だけが道しるべであった
「Leo!」
「…?レオくん、お知り合い?」
「何回か通ってる内に仲良くなったんだ!」
元々、人懐っこい性格をしているレオだ。フィレンツェでもそれなりの人脈が出来上がっていたとしても驚きではない
店主らしき男性からの手招きに二人が立ち寄ると、店主もまた嬉しそうにレオと会話を弾ませた
現在、イタリア語を猛勉強中で、二人の会話へ飛び込めずにいる花音の視線と店主の視線が不意に交わる。どことなくレオと似た笑顔へ、慌てて頭を下げた
『────?』
『──! ────!』
「……?」
暫く花音を眺めてから、店主は再びレオとの会話を再開した
だが自分の方に投げられる視線が多くなったのを感じられない程、花音も鈍感ではなく
今も自分に関係する話をしているのだろうかと芽生えたもどかしさは、彼女の勉強心へと更なる薪をくべてくれる事だろう
「花音!花音が可愛いから、何かサービスしてやるって!おいでおいで!」
「えっ?! い、いいのかな…?!」
「いいって言ってるから大丈夫だろ、多分!
セナやリッツ達も来るし、他にも何か買っていこう! ちなみにおれのオススメは~……」
いい具合にはぐらかされた花音だが 店先に並ぶ食材に目を輝かせている内は気付かないだろう、そんな姿を愛し気に見守るレオの表情や視線の何もかもを、花音だけが知らない
数年後、互いの左手薬指にお揃いのきらりと光るものを飾り、訪れた時になって漸く店主は花音へ種明かしするのだ。あの時の君がこちらの言語を知らないのをいい事に、相当な数の惚気を聞かされたものだと。
『可愛い子だね、レオの彼女かい?』
『そう!将来的にはおれがお嫁さんになってくれる大切な子!
可愛いだろ~? あ、でも可愛いからって手を出したら許さないからな!』