SS-enst(1)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
──自他ともに認められた天才作曲家、抜群のセンス
遊ぶように弾む歌声にステップ。ポップス、バラード、何でもござれ。ステージ上で忙しなく動く姿は無邪気で、浮かべた満面の笑顔の相乗効果もあってとても愛らしく、下手をすれば可憐とさえ思ってしまう
ライブへやってきたお姫様達、所謂自分達のファンに楽しんでもらう事を最優先とした騎士。歌とダンスのおもてなしはいつも全身全霊を以て、全力を賭す事へ躊躇いがない
そう。月永レオは、正真正銘のアイドルなのである
「……私、レオくんの彼女として色々と未熟?」
「なになに?いきなりどうした?!」
「ごめん、内に秘めたる『Knights』ファンとしての本音が漏れちゃって…」
「え、いつものあれが花音の全部じゃなかったのか?」
「どういうこと???」
浮かべた疑問に対し、運転席のレオは笑うばかりで要領を得ない
彼からの答えは期待できそうにないと早々に諦めれば、対向車線のライトに照らされた某コンビニのカップが花音の目を引いた。まだほんのりと温かいそれに口をつけ、先程の話の続きへ漕ぎだす
「帰国してまだ時差ボケとかある筈なのに、家までこうして車で送ってくれるし……
それだけじゃなくて、温かい飲み物も用意してくれてるんだよ?レオくん、どこまで出来ちゃうの?」
「わはは!とにかく花音が喜んでくれてるっていうのは分かって、おれは嬉しいぞ」
「だから不安になった…のかな。私、レオくんの彼女としてちゃんと出来てるのかなって」
専属プロデューサーとして出来る事が増え、頼られる事も多くなった分、レオの恋人として自分は果たしてちゃんと出来ているのかと考える機会が増えていった
アイドルとしてファンへ夢を届ける姿にこうして帰宅が遅くなった花音を気遣う行動、正に騎士である彼が好きである一方、気後れするのもまた事実
レオが好きだからこそ、彼の足を引っ張りたくないと願い、仮にも幻滅なんてされた日には立ち直れない。うぅん、と唸りながら、背もたれにもたれかかる花音の視界の端でちかり、と閃く光
──星かと思われたそれは、花音の言葉によって滑らかに輝くエメラルド色の瞳
真昼に世界を照らす日向のような温かさと、隠す気もない深い愛情が花音をじっと見つめていた
「ちゃんと出来てる、とか思わなくていいよ」
「いや、こればっかりは自分が納得できないし…!」
「おれは『幼馴染』で何より『恋人』として花音の事を愛してるけど、おまえは違う?」
「…………」
「う~…それにさっきから『アイドル』のおれの話ばかりして退屈!『アイドル』のおれは今日はもう閉店済み!
だから、そろそろ花音の彼氏であるおれの方を見てくれよ。ずっと待ってるのにさあ」
「…ごめんね、レオくん。私、とても大切なことを見落としてたね」
この辺りの赤信号は点灯時間が長いらしく、ハンドルに上半身で寄りかかるレオの姿を見ながら花音は彼と付き合い始めた当初の記憶を掘り起こす
晴れて恋人同士となった最初の頃、レオが調子を狂わせた時期があった。曰く『花音へカッコいい所を見せたいから』と作曲まで我慢しようとした姿に、花音は普段のレオが好きだと応えたのだ
この車内とは反対なイベントを自分達は経過した後だったのかと思わずこぼれる笑みが、考え事にかまけていたのを良く思わなかったレオがついに痺れを切らし、体を乗り出した事で崩壊する
「レ……?!」
「隙あり、わはは!
……そういう抜けてる所も、背伸びしようとしてる所も含めて愛してるから、心配しないで」
─────愛してるは束縛の魔法のようなものだと、それ以外に何も集中出来なくなった自分を客観的に見て、花音はそう断言する
運転中だから、幾ら車の中だからと言ってもキスなんて、幾らでも注意すべきことはあるのに浮かべた拍子に頭からはポロポロと単語が抜け落ち、結局花音はレオに注意なんて出来る状態に持ち込めないのであった。