SS-enst(1)
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「ここか!……いない
う~……花音、どこに行ったんだよ~……」
室内に並列された机の下、間取り用にと設置されたパーテーションの裏まで覗き、目当ての人物がいないと見るや肩を落とす
そんな月永レオの姿が現時刻、『NEW DIMENSION』に残った関係者間の注目を攫っていた
ESが抱えるアイドルユニット、そのトップ3の枠組みの中に君臨するユニット『Knights』が一人 月永レオ
そんなレオが作曲以外の事で人目を憚らずに右往左往している。彼が何故人探しをする事となったか、原因は今よりも少し前の時刻まで遡る
『ダメね、携帯も繋がらないわァ
花音ちゃんの事だから気付いたら、すぐに折り返してくれるとは思うけど…』
『……そこで暇を持て余してるれおくん、あの子の事を探してきて』
『え、いいけど、どこにアイツがいるか分かんないから時間かかるぞ?』
『アンタを見つける為に日ごろから走り回ってるのんちゃんよりは大変じゃないでしょぉ?』
きっかけは海外組である瀬名とレオが帰る前に円卓会議をしておきたい、という王さまの提案からである
何も知らずにスタジオへ花音がやって来るのも考えられるとレオに彼女の捜索を託し、他のメンバーはスタジオで待機
今は退いたとはいえ、先代の王さまをこき使うのは彼らくらいだろうとある意味で『Knights』らしさを感じられるやり取りだった
オフィス、食堂、ビルの出入口──思いつく所は散々探してみたものの、そのどこにも花音の姿はなく。彼女がいそうな場所の候補がどんどん減っていく思考に柄にもなく、レオは焦燥感を抱く
「……いつもこんな風にオレの事を探してくれてたんだな」
見つからない事への焦り、時間だけが過ぎていく不安──レオが今、感じている全てをいつもは花音が抱えているのだと知って、胸がきゅうと小さな音を立てるように締め付けられる
そんな二人の共通点はそれでも相手を探す事を諦めないという根性。レオの脳裏には自分を見つけ出した時に見せる花音の、たまらなく嬉しそうに綻ぶ笑顔が浮かぶ
困らせているのは自分なのにその笑顔に否が応にも喜びを感じてしまうことも
「霊感が沸いてきた!けど、今は花音探しが優先だよな。我慢我慢…!
えーっと、後思いつくのは……あそこくらい?どうかそこに花音がいてくれますように!」
最後に残った候補地はESビルの最上階、屋上に作られた空中庭園
どうにも落ち着かない鼓動に促されるまま、踏み入ったその場所で書類の束と睨めっこする姿を見つけた
「花音、みっけ!」
「?!レオくん?」
「『Knights』全員が揃ってるから円卓会議しようってスオ~が!
んでナルが花音の電話鳴らしたけど出ないから、セナから探して来いってスタジオを追い出された!」
「え?……うわ、本当だ…!全然気付かなかった…!
レオくんもごめんね、わざわざ探しにきてもらっちゃって…」
「いつも探してもらってる立場とは逆で楽しかったし、おかげで霊感も沸いて来たし気にするな!」
「皆が待ってるだろうし、スタジオに急がないとだね」
電話に気付かない程に夢中で仕事をしていたが、気分転換も兼ねて空中庭園へ場所を移動してきたという所だろうか
言葉通りにレオ以外のメンバーが揃うスタジオへ急ごうと、一転してレオへ手を差し伸べる花音。『Knights』のプロデューサーへ彼女が戻る前にどうしても伝えたい事があるとレオは一瞬、その手から目を反らした
「いつもオレのことを見つけてくれてありがとう、花音」
「えっと……突然どうしたの?」
「探してる間、ずっとびっくりの連続だった。探す側ってこんなに大変なのか!って
いつもオレの事、探し出すまで諦めない花音にお礼が言いたくて、セナに言われたからとかじゃなくてどうしようもなく、お前に会いたくてたまらなくなった」
「レオ、くん」
「…それに花音探し中に出来た曲も聞いてほしかったし!」
「そ、そっか!それは聞くのが楽しみだなぁ!」
捜索中に霊感が沸いてきたのは本当の事である。まだ五線譜の中へ音符は書き込めていないものの、PCに打ち込んで音自体を聞いてもらう事は可能だ。レオが彼女へと告げた言葉に嘘偽りはない
──だがほっとしたように話題を反らせたと安堵する仕草だけは納得がいかない、冗談だと誤解させた自分の照れ臭さを棚に上げ、レオは一歩踏み出す
「…言っておくけど出来た曲を聞いてもらいたいっていうのは、おまけだからな」
先を急ぐ手を引き留め、ついでとばかりに奪った唇でレオは花音へトドメを刺した。