#17 Selection and that continues to advance
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「ふぁ~…それにしても暑っクマー…取ろ」
「えぇぇ?!」
着ぐるみの頭を取ろうとするクマだが、その中身が空っぽな事を知っている陽介が慌ててその行動を制止させる。確かに今の季節は7月、夏の暑い時期に着ぐるみとはいう組み合わせは耐えられないものがあるのだろう
暑さによって脱ぐのも仕方ないと言える。だがしかし、それは中に人がいる場合の着ぐるみに限る。この場には多くの子連れ客がいて、そこで着ぐるみの中身がないと知られたら、たちまちパニック状態に陥る筈だ。それは避けたい
「止めろよ、子供が見てんだろ!ったく、中身空っぽで動いてるとかトラウマ残るって…!」
「クマ、もう空っぽじゃないクマよ!灰音チャン、見てほしいクマ!」
「神楽坂まで巻き込むな…ってうわぁ!」
「花村センパーイ!」
もう空っぽではないと宣言し、自分を制止させようとする陽介をクマは突き飛ばす。結構な力が加わったのか、椅子から転び落ちた彼に灰音はすかさず怪我がないかの確認に追われる
制止するものがなくなったクマによって、着ぐるみの頭が着脱される。中身が空っぽの着ぐるみをトラウマとして植え付けられた子供達の泣き声が蝉の様にわめき………立たなかった
あれ、と予想していた様なパニックが起こらなかった事に不信に思い、顔を上げた灰音の目が可笑しくなっていなければ、着ぐるみの中からは金髪の美少年が顔を出しているではないか。太陽に弾ける汗がきらきらと輝く
「はふぅ…いい風」
「?!中身が!」
「お、おま、おま…えぇぇ?!」
「う、うそ…」
ないと思われていた中身がある事に灰音達の間に衝撃が走る、確かにこれならいたいけな子供達にトラウマを植え付けずには済むが、年長の人に全裸の美少年というのは違う意味で刺激が強いと思われる
いつの間にか、クマが中身を獲得した事に驚く一同を尻目にクマ…である少年は呑気にジュースを啜っている。本当に目の前の人物がクマなのか、頭の何処かで信じられずにいた
「ふー…生き返るって感じ~。灰音チャンと千枝チャンと雪チャンを逆ナンせねばって頑張って生やしたんだぁ」
「生やしたの?!逆ナンのために」
「逆ナン、いつまで引っ張る気なの」
ちなみに逆ナンというのは女性の方から男性の方に自分を売り込む事を言うので、クマがやる場合はただのナンパとなる。というか生やしたとは何だろうか、寧ろ生やせるものなのか中身というのは、そこの所が気になる
一刻も早く逆ナンネタを黒歴史と共に忘れたい雪子の美貌が不快感によって、崩れるのを横目に見ていた灰音とクマの視線がぶつかり思考が止まる。この様子だとまだまだ人間体のクマに慣れるには時間がかかりそうだ
「どうどう?灰音チャン、ボク頑張ったんだよ」
「あ、うん。かっこいい…と思うよ」
「やったー!」
「!」
「本当はさっき見て貰いたかったんだけど…灰音チャンが驚いてくれたから、我慢したかいがあったね」
何やら体に衝撃が来たのと、あぁぁぁぁ!という陽介の絶叫に灰音は瞳を瞬かせ、自分に何が起こったのかを考える。視界の隅に産毛の様に柔らかい金色が見えるのでどうやら、クマと密着していると一に辿り着く
二に何より暑い、これは先程クマが着ぐるみを脱ぐ要因となった夏の暑さだけではない。そこから導き出される答えはクマに現在抱きつかれているという事
その結論に辿り着くまでに長い時間を有する位に灰音の頭は熱でショートしている様だ、彼女とて女だ。異性に、しかも全裸で抱きつかれれば、思わず体が反応してしまう
「オイ、クマきち!調子乗ってんじゃねぇぞ!神楽坂も無防備さらすな!顔、赤くすんな!」
「え、何で私も悪いことになってるんです?後、顔が赤いのは夏の太陽が私を焦がすからですけど」
「おまえ、結構訳わかんねぇこと言ってんぞ」
「洗浄するから俺の腕においで、灰音」
「嫌です」
「く…っ!」
ばっさりとその申し出を灰音に斬り捨てられた事で悠はフードコートに設置された机を叩く、それはもう心底残念そうに
「ねえ、着るものとかないかな?ボク、生まれたままの姿だから」
「「!」」
「灰音ちゃん、洋服売り場ってどっち?!」
「三名様、ご案内ー」
「およよー」
中身を披露した時から分かっていた事だが、生まれたばかりのクマの中身は全裸だったのだ。中身が空っぽで子供達にトラウマを植え付けるのと同じレベルの問題、下手をすれば露出魔として警察に通報されても可笑しくない
そうなる前に男子の裸を見て、顔を赤くする雪子と千枝が機転を利かせ、慌ててジュネスの洋服コーナーへ灰音に案内を頼んで駆け込む。その場に白目を剥いた着ぐるみの頭を残して
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(また振り出しに戻ろうとも)
(決して立ち止まりはしない)
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