#2 Meeting together with the actor
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八十稲羽市にやってきた翌日、電車での長旅の間で蓄積された疲れを癒す為に体が求めた睡眠時間が明けた頃にはすでに日は高い位置まで登り切っていた
昨日、山積みとまでは言わないものの自分の頭一つ分突き抜けたダンボールの塔に早々に心折られた灰音は自分に取り付けた約束通りに祖父母が用意してくれた箪笥へ私服を詰め込んで行く
無心で作業し、室内に一人なのもあって言葉のない静かな空間に階下からの談笑する声が届くのも早いもので。かと言ってそれは祖父母のものではない様で思わず首が横に傾いた
その違和感の理由はやっとの事でダンボールを全て消化した灰音が一階へ下りる際に目についた玄関にあった、丁寧に並べられた小さな靴、見るに女の子用のものの様だ
「お婆ちゃん、誰か来て…」
玄関で客が来ている事は分かっていたものの、その客というものがこんなに小さな少女だとは思っていなかったと表情で語る様に灰音は不自然に言葉を窄めてしまった
駅から家へ向かう車内の中で富美代がもう片付けなければ、と言っていたコタツを間に彼女と談笑していたのは髪を可愛らしく二つに結んだ小さな女の子が、灰音の出現に怯えた様におどおど、と体を縮めた
「…えーっと、どちらさま?」
「うちの隣の堂島さんちの子でね、菜々子ちゃんって言うんだよ
菜々子ちゃん、この子は私とおじいさんの孫の灰音って言って、一緒に住む事になったお姉ちゃんだよ」
「神楽坂灰音です。お隣さん同士、仲良くしてくれるかな」
まだ小学校低年であろう、菜々子と呼ばれた少女に人見知りの気がある事が体を小さく縮こまる行動で察した灰音は少女を怖がらせない様にと務めて穏やかであろうと表情筋を和らげる
座ったままの菜々子と立ったままの灰音、このまま話すと高圧的になるのはこの状況ではベストではないと、菜々子の目線に合わせる為に膝を折り、灰音はそう挨拶した
「はじ…めまして」
「おー菜々子ちゃんは偉いね、まだ小さいのにちゃんと挨拶出来て」
「灰音ちゃんはどうだったかねぇ、ああそうだ、いつも挨拶は後回しで遊んでばっかりだったよ」
「ちょ、お婆ちゃん…」
「ふふ…っ」
そんな小さい頃の話を自分が覚えていない、だからそれはノーカンだと非難の声をあげる灰音をものともしない富美代の会話が面白かったのか、菜々子はきつく噤んでいた口を和らげ、笑顔をこぼした
どうやら、全部とは言わないものの幾分かは自分が現れた事で高まった緊張が解けた菜々子の様子に灰音は言葉なく微笑み、彼女がここにいる理由は何かと疑問に思った、家が近いのだろうか…?
「そういえば、菜々子ちゃんはどうしてうちに…」
「昨日は灰音ちゃん、疲れてすぐ寝ちゃったでしょう
だから、昨日出来なかった灰音ちゃんの高校合格のお祝いとこっちに来た歓迎会っていうのをやろうと思ってねぇ」
「お呼ばれ、されたの」
「夜には菜々子ちゃんのお父さんも来る筈だから、その時にまた自己紹介しないとねぇ」
歓迎会、という言葉に灰音は虚を衝かれ、暫し瞳を瞬かせた後に照れ臭そうに瞳を細め、視線をあてどなく動かす。都会の冷たさに慣れた思考にこの温かさは中々慣れてくれない
一体いつ振りだろう、引越しの際に行われる歓迎会という催しは。灰音の記憶が正しければ幼稚園の頃にまで遡らなければ行けない程に遠い出来事の様に思えた
「それでね。灰音ちゃん、片付けが終わった所で申し訳ないんだけど…」
「ん?」
「お夕飯の買い物、菜々ちゃんと行って来てくれないかね?」
「え……」
瞬間、再び菜々子の表情が強張る。その表情の変化には決して嫌悪感という類いの感情は彷彿しなかった、寧ろ当たり前だと許容出来る範囲だ
ただでさえ人見知りで、漸く緊張が解けた所で慣れない人間と買い物など菜々子にとっては恐怖の対象でしかないのだから
「菜々子ちゃん、この子は昨日来たばっかりでねぇ。お買い物に連れて行ってやってくれないかい?」
「……」
菜々子と灰音の距離を縮ませようとしての言動を取る富美代。その他には灰音に土地勘を慣らせようと、そして菜々子の人見知りが少しでも緩和する様にという考えあってのものだろう
自分が来る前から親しい関係にあるのだろう、富美代からの言葉に菜々子は灰音を見上げる。まるでそれは嫌じゃない?大丈夫?と訴えかけてくるもの言わぬ小動物の様に思えた
「……う、うん。菜々子、お姉ちゃんを案内する」
「ありがとう、菜々子ちゃん」
不安を投げかけてくる視線に微笑んで受けとった灰音を信頼してくれたのか、菜々子はそう言って、富美代からのお使いを彼女と行く事をおずおずと承諾してくれたのだった
三月といっても山間部に近い街はまだまだ肌寒く、しっかりと防寒対策を施し、灰音と菜々子は今夜の食材を求め、最近出来たという大型ショッピングモール ジュネスへ足を運んでいた
道中、少しでも菜々子が変に肩に力をいれぬ様にと様々な話を交わしたおかげで幾分か二人の仲は縮まった実感を得、本来の明るさを取り戻した菜々子はその明るさを更にジュネスについた事で助長させる
昨日、山積みとまでは言わないものの自分の頭一つ分突き抜けたダンボールの塔に早々に心折られた灰音は自分に取り付けた約束通りに祖父母が用意してくれた箪笥へ私服を詰め込んで行く
無心で作業し、室内に一人なのもあって言葉のない静かな空間に階下からの談笑する声が届くのも早いもので。かと言ってそれは祖父母のものではない様で思わず首が横に傾いた
その違和感の理由はやっとの事でダンボールを全て消化した灰音が一階へ下りる際に目についた玄関にあった、丁寧に並べられた小さな靴、見るに女の子用のものの様だ
「お婆ちゃん、誰か来て…」
玄関で客が来ている事は分かっていたものの、その客というものがこんなに小さな少女だとは思っていなかったと表情で語る様に灰音は不自然に言葉を窄めてしまった
駅から家へ向かう車内の中で富美代がもう片付けなければ、と言っていたコタツを間に彼女と談笑していたのは髪を可愛らしく二つに結んだ小さな女の子が、灰音の出現に怯えた様におどおど、と体を縮めた
「…えーっと、どちらさま?」
「うちの隣の堂島さんちの子でね、菜々子ちゃんって言うんだよ
菜々子ちゃん、この子は私とおじいさんの孫の灰音って言って、一緒に住む事になったお姉ちゃんだよ」
「神楽坂灰音です。お隣さん同士、仲良くしてくれるかな」
まだ小学校低年であろう、菜々子と呼ばれた少女に人見知りの気がある事が体を小さく縮こまる行動で察した灰音は少女を怖がらせない様にと務めて穏やかであろうと表情筋を和らげる
座ったままの菜々子と立ったままの灰音、このまま話すと高圧的になるのはこの状況ではベストではないと、菜々子の目線に合わせる為に膝を折り、灰音はそう挨拶した
「はじ…めまして」
「おー菜々子ちゃんは偉いね、まだ小さいのにちゃんと挨拶出来て」
「灰音ちゃんはどうだったかねぇ、ああそうだ、いつも挨拶は後回しで遊んでばっかりだったよ」
「ちょ、お婆ちゃん…」
「ふふ…っ」
そんな小さい頃の話を自分が覚えていない、だからそれはノーカンだと非難の声をあげる灰音をものともしない富美代の会話が面白かったのか、菜々子はきつく噤んでいた口を和らげ、笑顔をこぼした
どうやら、全部とは言わないものの幾分かは自分が現れた事で高まった緊張が解けた菜々子の様子に灰音は言葉なく微笑み、彼女がここにいる理由は何かと疑問に思った、家が近いのだろうか…?
「そういえば、菜々子ちゃんはどうしてうちに…」
「昨日は灰音ちゃん、疲れてすぐ寝ちゃったでしょう
だから、昨日出来なかった灰音ちゃんの高校合格のお祝いとこっちに来た歓迎会っていうのをやろうと思ってねぇ」
「お呼ばれ、されたの」
「夜には菜々子ちゃんのお父さんも来る筈だから、その時にまた自己紹介しないとねぇ」
歓迎会、という言葉に灰音は虚を衝かれ、暫し瞳を瞬かせた後に照れ臭そうに瞳を細め、視線をあてどなく動かす。都会の冷たさに慣れた思考にこの温かさは中々慣れてくれない
一体いつ振りだろう、引越しの際に行われる歓迎会という催しは。灰音の記憶が正しければ幼稚園の頃にまで遡らなければ行けない程に遠い出来事の様に思えた
「それでね。灰音ちゃん、片付けが終わった所で申し訳ないんだけど…」
「ん?」
「お夕飯の買い物、菜々ちゃんと行って来てくれないかね?」
「え……」
瞬間、再び菜々子の表情が強張る。その表情の変化には決して嫌悪感という類いの感情は彷彿しなかった、寧ろ当たり前だと許容出来る範囲だ
ただでさえ人見知りで、漸く緊張が解けた所で慣れない人間と買い物など菜々子にとっては恐怖の対象でしかないのだから
「菜々子ちゃん、この子は昨日来たばっかりでねぇ。お買い物に連れて行ってやってくれないかい?」
「……」
菜々子と灰音の距離を縮ませようとしての言動を取る富美代。その他には灰音に土地勘を慣らせようと、そして菜々子の人見知りが少しでも緩和する様にという考えあってのものだろう
自分が来る前から親しい関係にあるのだろう、富美代からの言葉に菜々子は灰音を見上げる。まるでそれは嫌じゃない?大丈夫?と訴えかけてくるもの言わぬ小動物の様に思えた
「……う、うん。菜々子、お姉ちゃんを案内する」
「ありがとう、菜々子ちゃん」
不安を投げかけてくる視線に微笑んで受けとった灰音を信頼してくれたのか、菜々子はそう言って、富美代からのお使いを彼女と行く事をおずおずと承諾してくれたのだった
三月といっても山間部に近い街はまだまだ肌寒く、しっかりと防寒対策を施し、灰音と菜々子は今夜の食材を求め、最近出来たという大型ショッピングモール ジュネスへ足を運んでいた
道中、少しでも菜々子が変に肩に力をいれぬ様にと様々な話を交わしたおかげで幾分か二人の仲は縮まった実感を得、本来の明るさを取り戻した菜々子はその明るさを更にジュネスについた事で助長させる