#12 Youth to the other side of the deodorant
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「何も落とす事ねーだろうが!」
「いいじゃん!どうせ入るつもりだったんでしょ!」
「えっぷし!寒い…」
「?何か聞こえないか?」
「え?」
その異変に最初に気付いたのは悠だった。口論を中断し耳を澄ましてみると、この静かな空間には不釣り合いな不協和音が聞こえる、どうやらそれは人の嗚咽の様だが……
「あの声…」
「モロキン?」
「うわっ!何か流れて来た…っ」
「花村センパイ達、早くそこ逃げた方がいいかもー」
崖の上に立つ灰音達の方からは上流の川べりに顔をつける、諸岡の姿が確認出来る。どうやら、昨夜に大量に煽った酒が祟って、胃の内容物を体外に排出している様だ
諸岡の体内から排出されたそれは渓流に落とされた悠や陽介、完二へ更なる不幸となって降り注がれた。この時ばかりは渓流に蹴り飛ばされた悠も表情を変えずにはいられなかった
「俺、匂わねぇッスか?」
「何も言うな…」
「俺達は…また大事な何かを失った……」
様々な思い出を残し、最後の最後でその思い出と体を汚された男性陣を哀れむ様に夕日が包み込んでいた
今日の事で彼らの青春の1ページまでもが汚され、トラウマとなっていない事を祈るばかりだ。こればかりは難を逃れた灰音達も申し訳なさが滲む
「後で消臭剤、貸しますよ。お三人共」
「おう…でも匂いは消えても、俺達の心の傷は消えたりしないんだぜ…神楽坂」
「あれ?」
「げっ!」
夕暮れが迫る林道、そこで帰宅途中の灰音達を防ぐ様に現れた巨体が影を伸ばす。自分達以外に残っていた生徒、陽介達のクラスメイト 大谷である
頬を赤らめさせ、潤んだその瞳で彼女が見つめるのは…完二。熱い視線と夕暮れ迫る林道、いかにもなシチュエーションに渦中の完二以外は浮き足立つ。告白か?告白なのか?
「これって、まさか…!」
「告白じゃね?!」
「だな」
「エンダァァの準備しなきゃ…」
「神楽坂、それはまだ早い!しかもそれ、失恋ソングらしいじゃねぇか!」
尋常ではない様子で戦く完二、その姿はかつて一人で暴走族を潰した人間ととてもではないが、同一人物とは思えなかった
その場に渦中の二人を残し、灰音達は高速で山中に消え、木の影から固唾を呑んで二人の様子を見守る。あんな事があった後に完二に春が来たのか…?
「な、何スか…?」
「あのぅ…私…あなた、みたいな人が…」
告白を受ける人間でなくとも、この瞬間は心臓が騒いで仕方ないというもの
さあ、この後に来るであろう好意を示す言葉に完二はどう返すのか、見ものであった。が?
「趣味じゃないの。ごめんなさい」
……告白と思わせておきながら、これである
「昨日の夜の事はもう忘れて」
髪をキラキラと靡かせながら、踵を返す大谷。何とも上から目線、しかも何故かいつの間にか完二が振られる側になっていたというどんでん返し付きだ
ささやかな期待をさせておきながら、何故か自分を振ってくれた背中を前に完二がとうとう崩れ落ちた。ある意味で自分のシャドウと対峙した時よりも強い衝撃を味わった彼は叫ぶ
「何じゃあ、そりゃあ~~?!」
「そっとしておこう…」
「何か涙出て来たっす…」
「笑い過ぎてだろ、口元引き攣ってんぞ。神楽坂」
Youth to the other side of the deodorant
(たまには日常に足を戻して)
(こんな日々を満喫するも悪くない話)