#8 She says, is the chaos this
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「1年の神楽坂さん、でしょ?」
「あ、はい。センパイは?」
「オレは一条康、今日はどうしたんだ?いつも花村達と一緒なのに珍しいと思って声をかけたんだけど」
「いえ…いつも一緒って訳じゃ…と、センパイに電話かけても繋がらないから教室まで来てみたんですけど」
「いない…みたいだな」
灰音の言葉を受け、1組の教室を一条が覗き込んでも結果は変わらない。生憎と彼は陽介達と同じクラスではないらしく、行き先は分からないという
力になれなくてごめん、と申し訳なさそうに表情を崩す彼が悪い訳ではないのに、人の良い人間に同種の人が集まるというのは本当かもしれない
「よう、一条。…?そっちの一年は?」
「お、長瀬!ほら、花村がいつも言ってる後輩だよ」
「ああ、例のな。へぇ…」
「…?」
長瀬と呼ばれた男子も一条とため口を利いている所、同級生らしい。そして彼もやはり、陽介から自分の話を聞いていたらしく、値踏みする様な視線に何ともむず痒い気持ちで居心地が悪い想いを抱いてしまう
パッと見からでも体育会系です、と表面上から見える長瀬と仲が良いという事は一条も実は体育会系なのだろうかと臆測を立てる。結果から言うと彼はバスケ部の主将だったらしく、思わず疑った程だ
「長瀬、花村達どこ行ったか知らないか?」
「花村?確か巽屋がどうとか…」
「巽屋…」
何という偶然か、陽介達も巽屋に向かったという。昨日のあの少年といい、陽介達といい…巽屋に自分達を惹き付ける何かがあるというのか
その理由を知る為にも自分も陽介達の後を追わなければならないだろう、幸いにも店の場所は昨日の道案内のおかげでまだ記憶にも新しい。真っ直ぐに行ける筈だ、だがその前に、
「ありがとうございます、一条センパイ、長瀬センパイ。センパイ達がいて、助かりました」
「あ…う、うん」
「それじゃあ、私は花村センパイ達の捕獲に向かいますのでこれで」
彼らを追う前に陽介達の行方を教えてくれた一条と長瀬にお礼を言うのを欠かさず。この二人に会わなかったら、自分はぶらぶらと当て所なく町を散策して一日を終えてただろうから感謝は尽きない
ぺこり、と頭を下げて、軽く微笑んだ灰音の背中を見送る一条と長瀬。自分には千枝という同級生が好きなのに、その笑顔に惹かれるものを見出した一条の心が躍動していた
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昨日、少年に道案内をする傍らで感じた事。老店舗であり染物屋である巽屋に学生達が何故集まるのか、そういう小物が好きなら訝しむ点はないが、灰音が知る限りは陽介達はあまりそういうものが趣味ではなかった筈
だとしたら、やはり昨日のマヨナカテレビの犯行予告と何か関わり合いが見てよさそうだ…と陽介達の考えにリンクした時、その喧騒が聞こえて来た
「~!待ててめーら!締めんぞ!きゅって締めんぞ!」
「ん…?」
一体何だろうか、この喧騒は。暴走族のバイクの騒音にも似た振動はどうやら目の前からやってくる集団の走り込みによるものの様だ、まあその集団というのは灰音の探し人達なのだが
やっと見つけたという脱力感が灰音の視野を狭め、危機感なく呑気に手を上げる行為に結びつける事となる。陽介達の後ろの追跡者はこの時、彼女の視野から消えていた
「あ、花村センパイー、何してるんすか?走り込んで体力作りですか?」
「わーバカー!」
「へ?」
バカとは何だ、こっちは電話もかからないで教室にも行ったというのに…そんな一言も言う暇なく灰音は何故か、陽介達という集団に引き込まれた。陽介の手に引っ張られて
痛いくらいに手を繋がれ、必死にここまで走って来たであろう彼の体温はとても熱くて。しかしどうして自分も巻き込まれているんだろう、と思慮を巡らして漸く灰音は追跡者である完二の存在に気付く
――怒ってる、とてつもなく
「センパイ達、何したんすか…」
「色々とあったらしい」
「クソー!このままじゃ、全員捕まっちまう!ここはー…あれだ!囮になれ、里中!」
「えっ?!何であたし?!」
「良くあんだろ?!「ここは俺に任せて、先に行け!」ってセリフ!あれ言うチャンスだぞ!」
いや、その"色々"の内容を知りたかったのだがとこの状況で置いてけぼりの灰音の前で代わる代わるに状況が変化を続け、目が回りそうだ。この忙しさ、ジュネスのピーク時にも匹敵する程である
かと言って、おちおちと目を回してもいられない。気を抜いて、走る速度を落とせば後ろの完二に捕まるし、陽介の言葉に突っ込む事も出来ない。その台詞を女である千枝に言わせるのは間違いだ
「いや、それは男キャラが言うのが醍醐味で…」
「確かに…」
「千枝!前向きに健闘しないでっ」
「逃げんなよコラ!え?!何だっ?」
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