#8 She says, is the chaos this
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前夜のマヨナカテレビに新たな犯行予告が届けられた。次の犯人のターゲットは、あの大きな背中を見る限りは男性。この時点で陽介の《山野アナに関係した女性が次々、狙われている》という臆測が外れた事になる
次なる事件を防ぐ為に今日もフードコートに集まる様にメールで呼び出されていたが、灰音は学校での用事があった為に大幅に遅れての参加を余儀なくされていた
「すいません」
「?」
さあ、後はここを曲がって少し小走りに足を動かせば、ジュネスまで後5分も満たない…といった所に呼び掛けられた声。自分にかけられたらしい声を無視も出来ず、灰音はそちらへ振り返る
自分を呼び止めた人物は帽子を目深く被っていて、視線がどこにあるか分かり辛い。灰音と同じ程の身長が女性的にも見えるし、服装や声色が男性的にも見える――中性的、というのだろうか
「申し訳ありません。道をお聞きしたいのですが…」
「最近、こっちに来たばっかりでまだ地形に疎いけど、聞きましょう」
「ありがとうございます。巽屋をご存知ですか?」
「巽屋…?」
んー、と灰音は首を傾げる。数少ない町の地理やそこに当てはまる名前を思い出そうとするその仕草はバルブを捻り、蛇口から水を出そうとしている動きに良く似ていた
地形に疎いとは言ったものの、自分を頼ってくれたのだから少しは役立ちたいと思うのは普通で。ふと巽屋という単語に祖母との会話がヒットする、その時に確か場所も聞いた筈だ。大丈夫、案内出来ると判断し、
「近くまで案内するよ」
「そこまでしていただかなくても、口答で教えて貰えば大丈夫ですから」
「近くまで行かないと私が教えられないんで。あなたの為じゃなくて、私の為って事っすよ」
「……」
巽屋というのは稲羽市中央通り商店街の北側に位置する染物屋だ。かつては全国的に有名な染物職人が主人をしていたとあって、今も人気がある老店舗だという
そんな店に、失礼だが若い人が一体何の用か…そこまで踏み込む謂れはないかと灰音は彼の目的を知らぬままに巽屋の近くまで送り届ける。ここから先は言葉で教えられる範囲だ
「助かりました。後は大丈夫ですので」
「よかった、巽屋さんにはお土産でも買いに?」
「いえ、少し聞きたい事があって」
「ふーん…?」
「では、僕はこれで」
聞きたい事、とは一体何だろうと首を傾げている間にも少年は自分の言葉に従って巽屋へのルートを辿って行く。あの調子なら、ちゃんと店に入るまでを見届ける必要はないだろう
……はて、自分は何をしようとしていたのだろうと灰音は目的を一瞬忘れる。道案内の為に記憶力を別に使った事で一時期、その状態に陥ってしまった様だ
「……あ、いけない。早く行かないとセンパイに叱られる」
一時的なド忘れから本来の目的を思い出した灰音はこれといって、慌てた様子もなくのんびりと踵を返す。これは遅刻確定だな、と開き直ったからこそ出来る芸当だった
「花村センパイ、里中センパーイ…あれ?」
覗き込む2年1組の教室に灰音の声に応える者はいない、まだ帰りのホームルームが終わって10分も経っていないというのにさっさと帰ってしまったのだろうかと訝しみ
ここにいないとなるといつものジュネスか?とのんびり、上級生だらけの空間で怯まない灰音がある少年と邂逅してから1日が経っていた。あの調子だった為に昨日は陽介達に合流する事は出来なかったのは言うまでもなく
だからこそ今日はちゃんと彼らに会って、昨日の事を謝罪したかったのだが、今日は今日とて彼らがいないという事態に。何だか自分達は悉くタイミングが合わないな、と思わざるにはいられない
「あれ…君って確か…」
「?」
電話も繋がらないとなるとぶらぶら探すしかないか、と灰音が今日の放課後の予定を決めた時にその声はかかった。何だかここ数日、声をかけられてばかりだなとその声に思う
上級生の中で下級生として目立った彼女に声をかけてきたのは例に漏れず、2年の男子生徒。色合いや体格にある人物がリンクし、叶わない夢に胸が締め付けられる。例え違うと知っていても
「あ、えー…えーっと。………」
「はは…オレ達、初めて会ったから思い出せなくて当然だよ。オレの方は花村から話を聞いてたから何か初対面って気はしないけど」
「花村センパイから…?」
そういえば、雪子の時もそうだったが、あの先輩は一体何人の人に自分の事をどんな風に話しているというのか。結局聞けずにいたが、やはり今度調書する必要がある様だ、それはもう詳しく
……しかし、目の前の上級生はあの人と良く似ていながら全然違う。この人は良く笑って感情が動いてるが、あの人はそんな事がなかったからコントラストが強く浮き出る
次なる事件を防ぐ為に今日もフードコートに集まる様にメールで呼び出されていたが、灰音は学校での用事があった為に大幅に遅れての参加を余儀なくされていた
「すいません」
「?」
さあ、後はここを曲がって少し小走りに足を動かせば、ジュネスまで後5分も満たない…といった所に呼び掛けられた声。自分にかけられたらしい声を無視も出来ず、灰音はそちらへ振り返る
自分を呼び止めた人物は帽子を目深く被っていて、視線がどこにあるか分かり辛い。灰音と同じ程の身長が女性的にも見えるし、服装や声色が男性的にも見える――中性的、というのだろうか
「申し訳ありません。道をお聞きしたいのですが…」
「最近、こっちに来たばっかりでまだ地形に疎いけど、聞きましょう」
「ありがとうございます。巽屋をご存知ですか?」
「巽屋…?」
んー、と灰音は首を傾げる。数少ない町の地理やそこに当てはまる名前を思い出そうとするその仕草はバルブを捻り、蛇口から水を出そうとしている動きに良く似ていた
地形に疎いとは言ったものの、自分を頼ってくれたのだから少しは役立ちたいと思うのは普通で。ふと巽屋という単語に祖母との会話がヒットする、その時に確か場所も聞いた筈だ。大丈夫、案内出来ると判断し、
「近くまで案内するよ」
「そこまでしていただかなくても、口答で教えて貰えば大丈夫ですから」
「近くまで行かないと私が教えられないんで。あなたの為じゃなくて、私の為って事っすよ」
「……」
巽屋というのは稲羽市中央通り商店街の北側に位置する染物屋だ。かつては全国的に有名な染物職人が主人をしていたとあって、今も人気がある老店舗だという
そんな店に、失礼だが若い人が一体何の用か…そこまで踏み込む謂れはないかと灰音は彼の目的を知らぬままに巽屋の近くまで送り届ける。ここから先は言葉で教えられる範囲だ
「助かりました。後は大丈夫ですので」
「よかった、巽屋さんにはお土産でも買いに?」
「いえ、少し聞きたい事があって」
「ふーん…?」
「では、僕はこれで」
聞きたい事、とは一体何だろうと首を傾げている間にも少年は自分の言葉に従って巽屋へのルートを辿って行く。あの調子なら、ちゃんと店に入るまでを見届ける必要はないだろう
……はて、自分は何をしようとしていたのだろうと灰音は目的を一瞬忘れる。道案内の為に記憶力を別に使った事で一時期、その状態に陥ってしまった様だ
「……あ、いけない。早く行かないとセンパイに叱られる」
一時的なド忘れから本来の目的を思い出した灰音はこれといって、慌てた様子もなくのんびりと踵を返す。これは遅刻確定だな、と開き直ったからこそ出来る芸当だった
「花村センパイ、里中センパーイ…あれ?」
覗き込む2年1組の教室に灰音の声に応える者はいない、まだ帰りのホームルームが終わって10分も経っていないというのにさっさと帰ってしまったのだろうかと訝しみ
ここにいないとなるといつものジュネスか?とのんびり、上級生だらけの空間で怯まない灰音がある少年と邂逅してから1日が経っていた。あの調子だった為に昨日は陽介達に合流する事は出来なかったのは言うまでもなく
だからこそ今日はちゃんと彼らに会って、昨日の事を謝罪したかったのだが、今日は今日とて彼らがいないという事態に。何だか自分達は悉くタイミングが合わないな、と思わざるにはいられない
「あれ…君って確か…」
「?」
電話も繋がらないとなるとぶらぶら探すしかないか、と灰音が今日の放課後の予定を決めた時にその声はかかった。何だかここ数日、声をかけられてばかりだなとその声に思う
上級生の中で下級生として目立った彼女に声をかけてきたのは例に漏れず、2年の男子生徒。色合いや体格にある人物がリンクし、叶わない夢に胸が締め付けられる。例え違うと知っていても
「あ、えー…えーっと。………」
「はは…オレ達、初めて会ったから思い出せなくて当然だよ。オレの方は花村から話を聞いてたから何か初対面って気はしないけど」
「花村センパイから…?」
そういえば、雪子の時もそうだったが、あの先輩は一体何人の人に自分の事をどんな風に話しているというのか。結局聞けずにいたが、やはり今度調書する必要がある様だ、それはもう詳しく
……しかし、目の前の上級生はあの人と良く似ていながら全然違う。この人は良く笑って感情が動いてるが、あの人はそんな事がなかったからコントラストが強く浮き出る