#7 Pieces that was missing in the hands of lost
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自分が眠っている間に距離を縮めていた灰音と悠を慌てて引き離し、陽介は安堵の息をつく。寝起きで二人が密接する姿を見るのはどうも心臓に悪い
異性に近付かれてもまるで意識しないのだ、陽介がそんな事を考えているのも知らずに灰音はそう残念がる。彼女の方が余程学生として優先順位を分かっている様だ
「俺なりにさ、色々考えてみたんだよ。事件のこと」
落ち着いた所で一同の勉強する手を止め、白紙同然のノートに陽介は山野アナ、天城雪子、小西先輩という文字を記す。それが今日初めてのノートを使った痕跡となった
やはり悠と同じで彼も字が綺麗だな、と灰音はその文字を食い入る様に見る。その視線をこそばゆく受け止めながらも陽介は進行を進める
「第一の被害者、山野アナ…次に小西先輩。そんで三番目に天城
三人が狙われたのは偶然じゃない、きっと何か理由があると思うんだ」
「理由~?こんなバラバラな面子に?」
「共通点っていったら、女性ってだけっすね」
「バラバラなんかじゃねぇ。この三人には繋がりがあったんだよ
先ず、小西先輩には山野アナの遺体の第一発見者だ」
山野アナと小西先輩の文字間に線が引かれる。遺体で発見された彼女と遺体発見者としてその二人の繋がりが浮上する
「で、山野アナは天城の旅館に泊まってたんだよな?」
「うん…そうだよ」
その答えを聞き、今度は山野アナと雪子の文字間が繋がる。客と旅館の娘という関係で
バラバラだと思われた被害者達はこうして繋がっていた、この事件の最初の犠牲者である山野アナを介して
「だから、こうは考えられねぇか?
《山野アナに関係した女性が次々、狙われている》」
「あ、ほんとだ!」
「でも、どうして?」
「そこまでは分からねぇ。でもこうやって少ないヒントでも拾って考えていかなきゃ、どうしようもねぇだろ」
「私、玄関のチャイムが鳴って、誰かに呼ばれた所までは覚えてるんだけど…顔までは…ごめんね」
「いいって!謝んなくて」
何故、犯人は山野アナを殺害するだけで飽き足らずに彼女に間接的に関わる人間をターゲットに選ぶのか…そしてその犯人は一体、何者なのか――
被害者である雪子が覚えていないのなら、残るはやはり雨の日だけに映るテレビで流れるアレを追うしか手はない
「後はやっぱり…マヨナカテレビか」
「だな。今思うとあれは犯行の予告だったのかもしれねぇな」
「予告…か…だったら、これからも雨の夜は必ずチェックしなくちゃね。マヨナカテレビ」
「そうだな…そうすれば、犯行を防げるかもしれない」
「マヨナカテレビがこっちと犯人の唯一の接点……これを辿って、テレビの中を地道に捜査していくしかないですね」
「オッケー!話は纏まったみてーだし、今日はもう解散だな!」
「へ?あ、ちょっと花村センパイ、勉強は…」
瞬く間に荷物を片付け、通学用鞄を肩に颯爽と陽介は席を立ってしまう。灰音が慌てて引き止めようとする程に彼はこの勉強会で何もしていない
今日、彼がやった事と言えば睡眠と事件についての考察を書くのにシャーペンを動かしたくらい。勉強会とは一体何だったのだろうか
「結局、1分たりとも勉強してないし…」
「……試験、もうすぐなのにあれでいいんすかね」
「いや、だめだろ」
来たる3日後、5月9日から12日まで続いた試験が漸く終わりを迎える。灰音にとって初めての試験は緊張のし通しだった、前の学校と何ら変わりない答案用紙があそこまで違うものに見えたのは初めてだ
結果は上々、答えに間違いがなければの話だが。答案用紙が別のものに見えながらもこの開放感は全国共通だ、一気に気が抜けてつい表情が緩んでしまう
「お…よう、神楽坂」
「花村センパイ、あれ…何でこっちに?」
「俺、教室にいてもいなくても同じ点数取れる自信あるからさ」
「ああ…もうそんな風に開き直れたら、人間楽っすよね…」
保健室から出て来た陽介はやはりというか、自業自得というか、試験の結果は芳しくないものに出来上がったらしい。そんな彼に一瞬尊敬の念すら抱いてしまう程にその様子は清々しかった
この調子で大丈夫なのかと、知らない所で後輩に心配させている事も知らずに陽介は話を続ける。彼も彼なりに灰音を心配している事が分かる口ぶりで
「そっちはどうだったよ。こっち来て初めての試験、手応えの方はいかがでしたか!」
「流石に最初の試験で欠点出してたら、無理言って、こっちに来たのに連れ戻されちゃう可能性があるんで…まあ、やるだけの事はって感じっすかね
教師やってる方にしてみたら、無名の学校に娘が通っているのはあんまり良い気がしないみたいなんで」
「神楽坂の両親って教師やってんのか?!とてもそうには見えねぇ…」
「はは、良く言われるっすよ。それ」
――真っ暗な深夜という布の間を細い糸が通る様に、雨が降る
雨が降る夜はマヨナカテレビが映る、それは今夜も例外なく神楽坂家の居間でその時を待つ灰音へと届く
大きいとはいえない、標準サイズの枠では手狭に感じられる様な広い背中は男性のものだ
背中を向けている為に見えない顔が振り向いた瞬間、それを隠す様に映像は暗闇の中へ消えていった
「今のって…もしかして」
Pieces that was missing in the hands of lost
(まだ届かない深淵の中)
(迷子の様な真実が、ひっそり泣いている)
異性に近付かれてもまるで意識しないのだ、陽介がそんな事を考えているのも知らずに灰音はそう残念がる。彼女の方が余程学生として優先順位を分かっている様だ
「俺なりにさ、色々考えてみたんだよ。事件のこと」
落ち着いた所で一同の勉強する手を止め、白紙同然のノートに陽介は山野アナ、天城雪子、小西先輩という文字を記す。それが今日初めてのノートを使った痕跡となった
やはり悠と同じで彼も字が綺麗だな、と灰音はその文字を食い入る様に見る。その視線をこそばゆく受け止めながらも陽介は進行を進める
「第一の被害者、山野アナ…次に小西先輩。そんで三番目に天城
三人が狙われたのは偶然じゃない、きっと何か理由があると思うんだ」
「理由~?こんなバラバラな面子に?」
「共通点っていったら、女性ってだけっすね」
「バラバラなんかじゃねぇ。この三人には繋がりがあったんだよ
先ず、小西先輩には山野アナの遺体の第一発見者だ」
山野アナと小西先輩の文字間に線が引かれる。遺体で発見された彼女と遺体発見者としてその二人の繋がりが浮上する
「で、山野アナは天城の旅館に泊まってたんだよな?」
「うん…そうだよ」
その答えを聞き、今度は山野アナと雪子の文字間が繋がる。客と旅館の娘という関係で
バラバラだと思われた被害者達はこうして繋がっていた、この事件の最初の犠牲者である山野アナを介して
「だから、こうは考えられねぇか?
《山野アナに関係した女性が次々、狙われている》」
「あ、ほんとだ!」
「でも、どうして?」
「そこまでは分からねぇ。でもこうやって少ないヒントでも拾って考えていかなきゃ、どうしようもねぇだろ」
「私、玄関のチャイムが鳴って、誰かに呼ばれた所までは覚えてるんだけど…顔までは…ごめんね」
「いいって!謝んなくて」
何故、犯人は山野アナを殺害するだけで飽き足らずに彼女に間接的に関わる人間をターゲットに選ぶのか…そしてその犯人は一体、何者なのか――
被害者である雪子が覚えていないのなら、残るはやはり雨の日だけに映るテレビで流れるアレを追うしか手はない
「後はやっぱり…マヨナカテレビか」
「だな。今思うとあれは犯行の予告だったのかもしれねぇな」
「予告…か…だったら、これからも雨の夜は必ずチェックしなくちゃね。マヨナカテレビ」
「そうだな…そうすれば、犯行を防げるかもしれない」
「マヨナカテレビがこっちと犯人の唯一の接点……これを辿って、テレビの中を地道に捜査していくしかないですね」
「オッケー!話は纏まったみてーだし、今日はもう解散だな!」
「へ?あ、ちょっと花村センパイ、勉強は…」
瞬く間に荷物を片付け、通学用鞄を肩に颯爽と陽介は席を立ってしまう。灰音が慌てて引き止めようとする程に彼はこの勉強会で何もしていない
今日、彼がやった事と言えば睡眠と事件についての考察を書くのにシャーペンを動かしたくらい。勉強会とは一体何だったのだろうか
「結局、1分たりとも勉強してないし…」
「……試験、もうすぐなのにあれでいいんすかね」
「いや、だめだろ」
来たる3日後、5月9日から12日まで続いた試験が漸く終わりを迎える。灰音にとって初めての試験は緊張のし通しだった、前の学校と何ら変わりない答案用紙があそこまで違うものに見えたのは初めてだ
結果は上々、答えに間違いがなければの話だが。答案用紙が別のものに見えながらもこの開放感は全国共通だ、一気に気が抜けてつい表情が緩んでしまう
「お…よう、神楽坂」
「花村センパイ、あれ…何でこっちに?」
「俺、教室にいてもいなくても同じ点数取れる自信あるからさ」
「ああ…もうそんな風に開き直れたら、人間楽っすよね…」
保健室から出て来た陽介はやはりというか、自業自得というか、試験の結果は芳しくないものに出来上がったらしい。そんな彼に一瞬尊敬の念すら抱いてしまう程にその様子は清々しかった
この調子で大丈夫なのかと、知らない所で後輩に心配させている事も知らずに陽介は話を続ける。彼も彼なりに灰音を心配している事が分かる口ぶりで
「そっちはどうだったよ。こっち来て初めての試験、手応えの方はいかがでしたか!」
「流石に最初の試験で欠点出してたら、無理言って、こっちに来たのに連れ戻されちゃう可能性があるんで…まあ、やるだけの事はって感じっすかね
教師やってる方にしてみたら、無名の学校に娘が通っているのはあんまり良い気がしないみたいなんで」
「神楽坂の両親って教師やってんのか?!とてもそうには見えねぇ…」
「はは、良く言われるっすよ。それ」
――真っ暗な深夜という布の間を細い糸が通る様に、雨が降る
雨が降る夜はマヨナカテレビが映る、それは今夜も例外なく神楽坂家の居間でその時を待つ灰音へと届く
大きいとはいえない、標準サイズの枠では手狭に感じられる様な広い背中は男性のものだ
背中を向けている為に見えない顔が振り向いた瞬間、それを隠す様に映像は暗闇の中へ消えていった
「今のって…もしかして」
Pieces that was missing in the hands of lost
(まだ届かない深淵の中)
(迷子の様な真実が、ひっそり泣いている)