#6 Remains Put your finger in the trigger
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「灰音ちゃん!よかったぁ、今日来てたんだ!心配してたんだよ?」
「心配かけちゃってすいませんでした」
「ううん!結局一度もお見舞いにいけないでごめんね?」
「俺もお見舞い行きたかったんだけど…」
「大丈夫っす、鳴上センパイは色恋事だったんでしょ?」
「何故、それを…!」
悠の恋愛事は一個下の1年の教室にまで噂として流れた程だ、バスケ部のマネージャーである海老原あいという女子と付き合い出したとか何とか
海老原あいと言えば、この土地柄に珍しく今時の女子高生風を全うする人でその美貌は八十神高校の男子生徒内の人気で雪子と負けていないと言われている事を灰音ですらも知っていた
そんな彼女と付き合い出した悠は幸せだと思われたが、そうでもないらしい
「嫉妬したか?」
「え、何で?」
灰音にとってみれば、悠はただの先輩でありお隣さんという認識しかない。何故自分が嫉妬しなければならないのか、と素で突っ込んだ彼女の前に悠が撃沈したのは早かった
揃ったメンバーの中にはマヨナカテレビで混乱と衝撃を視聴者にかましてくれた雪子がいる。話によると彼女も灰音と同じく暫く自宅療養し、今日が久し振りの学校登校となったらしい
「天城や神楽坂も戻ったし、そろそろ事件の捜査もしないとな」
「あたしも協力するよ!あんな場所に人、放り込むなんて…もう、絶対ぶちのめす!」
「私もやらせて。もし自分が殺したい程、恨まれてるなら知らなきゃいけないと思う」
「ああ。正直、警察に解決は無理だろう
俺達には力がある、特別なんだ。なあ、鳴上?」
「…灰音はどうする?」
悠達の視線が一斉に灰音の方を向く。その視線にこっち見んな、等とふざける訳にも行かない事を灰音自身、分かっていた
どうも何の茶化しも入れずに本音を言うのは苦手だ、自分が好んでつけた道化師の仮面が剥がれそうで。だからそうならない様に最低限の本音をいれつつ応える
「…正直、関わりたくないってのが本音っすけど…流石にあんなの見て、センパイ達に全部任せっきりってのはちょっとあれかなと
幸いにも私もセンパイ方の力になれるっぽいので、旅は道連れって事で犯人探しや事件操捜査、手伝わせてもらいますよ」
「ああ、俺達で犯人を見つけないとな」
「そうだね」
「うん。ああ、それよりもう出来てんじゃないのか?それ」
「おっと、そうだった~」
雪子と千枝、二人の膝の上には赤いきつねと緑のたぬきのフレーズで有名なカップ麺が開封の時を待っていた、どうやらそれが今日の昼ご飯らしい
出来上がっているのを確認し、美味しそうに箸をつける二人を見習い、灰音も持参した弁当箱の蓋を開く。和食が主な富美代らしいラインナップが勢揃いしている
だが麺を啜っている途中、何かを思い出したのか箸を止めた千枝から名前を呼び掛けられたので灰音も箸を止める。ああ、そういえば雪子を紹介する、と言っていたなと以前の会話を思い出す
「灰音ちゃん、紹介するね!あたしの親友の雪子!雪子、こっちは神楽坂灰音ちゃんだよ」
「はじめまして、天城雪子です。灰音ちゃんって花村くんの話で良く出てくる灰音ちゃんのこと?」
「どんな話をされてるか分からないけど、多分それであってます」
「へ、変な話はしてねぇぞ?!嘘じゃねぇからな!」
「ほーう?」
ならその話、私にしても問題ないですね?とにっこり微笑み、先輩を追求する灰音がまだ意識を失っていた時間軸まで針を戻そう
ペルソナ召喚に精神をすり減らし、極限の恐怖に身を投げた彼女の精神は深い場所まで落ちていた、底が見えない場所――そこが心の海というならそうなのだろう
『やあ、気分はどうだい?』
「……」
『やっぱり先に目覚めたのは彼の"力"だったんだね、君の"力"の目覚めは当分先かな』
「……あなたが言っている人は…」
やけに落ち着き払った子供の声だ、この声を灰音は聞いた事があった
問いかけを最後まで待たずに少年は頷く、皆まで言わずとも分かっているという動作だ。無言の首肯にやっぱりそうか、と灰音は頷く
今まで一体少年が言う"彼"が全く分からなかった、そしてこの少年の正体も。けれど今の答えで全てが繋がった、やはりあの事と自分は切っても切れない縁が結ばれたらしいと
『君が引き金を引いた時、君は自分自身が生きたいと願っていた事を初めて知った。それを知っても尚、まだ君の心は不安定な中にある
どっちにもつかないからこそ、安定してるのかもしれないけど』
指を銃の形へ変え、少年はその指先を灰音へ向ける。あの日、灰音が召喚器の銃口を引いた日が自然とリフレインする
どっちにもつかない、というのは生きるか死ぬかの選択を取らずにその狭間にいる事を意味しているのか。不安定ながら安定、それが今の灰音の状態を示す言葉だった
『君が選択した居場所を確固たるものとさせた時、初めて君に試練が訪れる
その時、君は君の心と対峙する事になる…君にその試練を越える事ができるのかな』
「……」
『また、来るよ』
Remains Put your finger in the trigger
(私は一体、いつになったら)
(あなたと同じ道に戻れるのかな)
(――先輩)