#6 Remains Put your finger in the trigger
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花村センパイはこうでなくっちゃ、と無邪気に微笑む灰音。どうやら気を使わせてしまったらしいと陽介は頭を掻く、病人に気を使わせてどうするんだと
「えーっと…悪いな、本当は鳴上と里中も一緒に来る予定だったんだけど、あいつら揃いに揃って予定が入っちまってさ」
「いいっすよ、こっちは学校に行ってから挨拶しようと思ってたんで。お二人にはその予定でいきます」
「おう。そうしてやってくれ」
その言葉を最後に会話が地に落ちる。話す事がない、否聞きたい事は陽介にはあるのだ
寧ろ、この胸にある疑問を解く為に見舞いに来たと言っても過言ではなくて、重い沈黙を破ったのは同じくらいに気を引き締めた、か細い問いかけだった
「……なあ神楽坂、お前はペルソナやシャドウの事、知ってたのか?」
「……やっぱり、それ聞いちゃいますよね」
かけられた問いかけを責めるでも、はぐらかすでもなく灰音は苦笑した、いつになく儚い笑みだ。きっと陽介達に全てを見られ、自分の事を話さざるを得ないと決心を固めたからだろう
けれど、陽介には少しの危惧感があった。彼女の事情を聞くからには自分達のやっている事も話さなくてはいけない、それによって巻き込んでしまうのではないかと
「……でも正直、私が応えられる事は少ないんっすよ
私がペルソナやシャドウを知る事になった出来事、そこに属していたコミュニティの後ろに控えている人達が大物過ぎて、下手したらここにいられなくなる」
「お前、一体どんな中学時代を過ごしたんだよ…」
「ちょっと特別で異質な青春送っただけでセンパイと大差ない中学生活でしたよ」
「あ、そう…」
自分が危惧するよりも前にいらぬ出来事に巻き込まれ、解決したというニュアンスの灰音の言葉に陽介は肩を大きく落とす。この後輩がどんな修羅場を乗り越えて来たのかと考えるだけで脱力する気分だ
一方、灰音はまさかまた中学時代の事を思い出し、それを誰かに話す事になるとはと何か運命的なものを感じていた。ポーカーフェイスで表情には出さないが
「んじゃあ…まず、ペルソナとかシャドウの存在は知ってたのか?」
「はい。マヨナカテレビの事を知る前から」
「何があって、その事を神楽坂は知る事になったんだ?」
「…その質問には、応えられないです」
「OK、分かった。んじゃ…あの時のペルソナと銃について、聞いてもいいか?」
ある程度、話す事が少ないという事情を考慮してくれているらしい陽介は無理に灰音の過去に踏み込んで来ようとはしない。有難い事だった
だからこそ、自分に話せる範囲は打ち明けようと灰音は壁にかけてある鞄に視線を送る。その中身はあの日から変わっていなければ、あれが入っている筈だ
「ペルソナも、あの銃…召喚器っていうんですけど、全部預かりものです
誰からの、もすいません、個人情報入るのとその人に迷惑をかけたくないんで」
「え、じゃあペルソナはもう一人の自分を受け入れてとか、そんなんじゃなく?」
「そういうのは一切ないです、本当に借り物に過ぎない力で……私自身は昔、召喚を試みて失敗したくらいですから」
「昔…?」
「…………」
「…あー、悪い。これは言えないんだな、分かった。無理に聞いたりしねーからそんな顔すんなって」
神妙そうに彼女が表情を渋らせるもので、陽介はそれを宥める為に灰音の頭を撫でる。一見すると不貞腐れた子供、もしくは恋人を宥める相手の様だ
けれど灰音は本当に自身にペルソナ、召喚器なるものを預けた人間を大事にし、守ろうとしている。男性だろうか、彼女にそこまで思われる人間を陽介はどこか羨ましく思った
「んじゃ、今度はこっちだな。何から話せばいいんだろうな…」
彼女にだけ話させるのはフェアではないと、陽介はぽつぽつと話し出す。自分や悠達がこれまでに対面した出来事の数々と臆測を
先ずテレビの中でもう一人の自分をどうにかし、受け入れた事でペルソナを手に入れた事。あの世界で山野アナと小西に関わりある場所を見つけ、少なからず殺人事件にあの世界が関与していると当たりをつけた事――
「マヨナカテレビの事を調べ続ければ、小西先輩を殺した犯人が見つかるかもしれない、その犯人を捕まえる為にも俺はこの事件の捜査を続けるつもりだ
警察じゃこんな話、信じてくれないだろうし、この事を知ってる俺達がやらなきゃ、増々被害が出るだろうしな」
「そう、ですね…」
「……あのさ神楽坂、小西先輩って俺の事を本当はどう思ってたんだろうな。やっぱりウザイって思われてたのかな」
「センパイ…?」
訝しむ様な灰音の視線を受けながら、陽介はテレビの世界で知った小西の真実の言葉を思い返す。ドロドロとした底無し沼の様な本音、本当は陽介が嫌いだったという告白
今まで見せてくれていた笑顔も嘘だったのか、一人で片付けられない気持ちの整理を何故かこの場で灰音に頼んでしまった。何故彼女を頼ったかは、分からないままに
「私は超能力者でもないんで、小西センパイの気持ちは分かりません」
「だよ、な…ワリィ」
「……でも、本当に小西センパイが花村センパイの事をうざいだの何だの思ってたら、あんな風に笑顔で、しかもちゃんと話を聞くんですかね?
私なら無理です、嫌いな人間の話を親身に聞くなんて。ましてや距離を遠ざけるでなく近い距離にあるのも」
ハッと陽介は顔を上げる。確かに小西はいつも自分の近い距離にいてくれた、時折遠い場所にいてもこちらを気にかけてくれていた気がする
灰音はそれを指摘したのだ、本当に嫌いな人間にそんな気遣いすると思うのかと
「これはただの私の願望に過ぎないですけど、お世話になったセンパイ達が私に見せてた仲の良い様子が実は嘘だった…なんて思いたくないです
ちゃんと小西センパイは花村センパイの事を受け入れてたんだって思う方が、嫌われてたとか考えるよりはよっぽど楽ですよ」
「何か神楽坂が全部、俺の思ってた事を代弁してくれたみたいで気が晴れたわ。サンキューな」
「いーえ。灰音さんは寛容ですからねー」
「それ、自分で言う?!…まあ、ありがとな」
今までの真剣味を帯びた声色を捨て、間延びした灰音の発言に突っ込みながらも陽介の表情は晴れやかだ。何だかんだ言いながらも人付き合いはいいのだ、この後輩は
あ、そうだ。と今まで存在を忘れていたと言う様に陽介は懐から軽くラッピングされた包装を灰音へ手渡す。中身を見るにどうやらオレンジと黄色のシュシュが入っている様だが…
「これ…?」
「テレビの中でお前、つけてたの落として、ペルソナの攻撃で燃やしてただろ?
髪纏めるのないと不便かと思ってさ、俺の好みが大分入ってっけど……まあ見舞い品って事で受けとってくれ」
「…ありがとうございます、センパイ」
「おう。だから早く元気になって学校来いよな。神楽坂がいねーと何か面白くねーからさ」
「はい。登校したらまたいじくらせてもらいますね」
「だー!それはやめろ!そもそも、俺を先輩として労る気はねーのかよっ」
孫が男と二人っきりの状況を我慢出来ずに一鉄が乱入するまで、話は続いた
数日後、体調を戻した灰音は無事に学校生活に復帰。そして今現在は昼休み、弁当片手に陽介に屋上へ連行されている所である
「えーっと…悪いな、本当は鳴上と里中も一緒に来る予定だったんだけど、あいつら揃いに揃って予定が入っちまってさ」
「いいっすよ、こっちは学校に行ってから挨拶しようと思ってたんで。お二人にはその予定でいきます」
「おう。そうしてやってくれ」
その言葉を最後に会話が地に落ちる。話す事がない、否聞きたい事は陽介にはあるのだ
寧ろ、この胸にある疑問を解く為に見舞いに来たと言っても過言ではなくて、重い沈黙を破ったのは同じくらいに気を引き締めた、か細い問いかけだった
「……なあ神楽坂、お前はペルソナやシャドウの事、知ってたのか?」
「……やっぱり、それ聞いちゃいますよね」
かけられた問いかけを責めるでも、はぐらかすでもなく灰音は苦笑した、いつになく儚い笑みだ。きっと陽介達に全てを見られ、自分の事を話さざるを得ないと決心を固めたからだろう
けれど、陽介には少しの危惧感があった。彼女の事情を聞くからには自分達のやっている事も話さなくてはいけない、それによって巻き込んでしまうのではないかと
「……でも正直、私が応えられる事は少ないんっすよ
私がペルソナやシャドウを知る事になった出来事、そこに属していたコミュニティの後ろに控えている人達が大物過ぎて、下手したらここにいられなくなる」
「お前、一体どんな中学時代を過ごしたんだよ…」
「ちょっと特別で異質な青春送っただけでセンパイと大差ない中学生活でしたよ」
「あ、そう…」
自分が危惧するよりも前にいらぬ出来事に巻き込まれ、解決したというニュアンスの灰音の言葉に陽介は肩を大きく落とす。この後輩がどんな修羅場を乗り越えて来たのかと考えるだけで脱力する気分だ
一方、灰音はまさかまた中学時代の事を思い出し、それを誰かに話す事になるとはと何か運命的なものを感じていた。ポーカーフェイスで表情には出さないが
「んじゃあ…まず、ペルソナとかシャドウの存在は知ってたのか?」
「はい。マヨナカテレビの事を知る前から」
「何があって、その事を神楽坂は知る事になったんだ?」
「…その質問には、応えられないです」
「OK、分かった。んじゃ…あの時のペルソナと銃について、聞いてもいいか?」
ある程度、話す事が少ないという事情を考慮してくれているらしい陽介は無理に灰音の過去に踏み込んで来ようとはしない。有難い事だった
だからこそ、自分に話せる範囲は打ち明けようと灰音は壁にかけてある鞄に視線を送る。その中身はあの日から変わっていなければ、あれが入っている筈だ
「ペルソナも、あの銃…召喚器っていうんですけど、全部預かりものです
誰からの、もすいません、個人情報入るのとその人に迷惑をかけたくないんで」
「え、じゃあペルソナはもう一人の自分を受け入れてとか、そんなんじゃなく?」
「そういうのは一切ないです、本当に借り物に過ぎない力で……私自身は昔、召喚を試みて失敗したくらいですから」
「昔…?」
「…………」
「…あー、悪い。これは言えないんだな、分かった。無理に聞いたりしねーからそんな顔すんなって」
神妙そうに彼女が表情を渋らせるもので、陽介はそれを宥める為に灰音の頭を撫でる。一見すると不貞腐れた子供、もしくは恋人を宥める相手の様だ
けれど灰音は本当に自身にペルソナ、召喚器なるものを預けた人間を大事にし、守ろうとしている。男性だろうか、彼女にそこまで思われる人間を陽介はどこか羨ましく思った
「んじゃ、今度はこっちだな。何から話せばいいんだろうな…」
彼女にだけ話させるのはフェアではないと、陽介はぽつぽつと話し出す。自分や悠達がこれまでに対面した出来事の数々と臆測を
先ずテレビの中でもう一人の自分をどうにかし、受け入れた事でペルソナを手に入れた事。あの世界で山野アナと小西に関わりある場所を見つけ、少なからず殺人事件にあの世界が関与していると当たりをつけた事――
「マヨナカテレビの事を調べ続ければ、小西先輩を殺した犯人が見つかるかもしれない、その犯人を捕まえる為にも俺はこの事件の捜査を続けるつもりだ
警察じゃこんな話、信じてくれないだろうし、この事を知ってる俺達がやらなきゃ、増々被害が出るだろうしな」
「そう、ですね…」
「……あのさ神楽坂、小西先輩って俺の事を本当はどう思ってたんだろうな。やっぱりウザイって思われてたのかな」
「センパイ…?」
訝しむ様な灰音の視線を受けながら、陽介はテレビの世界で知った小西の真実の言葉を思い返す。ドロドロとした底無し沼の様な本音、本当は陽介が嫌いだったという告白
今まで見せてくれていた笑顔も嘘だったのか、一人で片付けられない気持ちの整理を何故かこの場で灰音に頼んでしまった。何故彼女を頼ったかは、分からないままに
「私は超能力者でもないんで、小西センパイの気持ちは分かりません」
「だよ、な…ワリィ」
「……でも、本当に小西センパイが花村センパイの事をうざいだの何だの思ってたら、あんな風に笑顔で、しかもちゃんと話を聞くんですかね?
私なら無理です、嫌いな人間の話を親身に聞くなんて。ましてや距離を遠ざけるでなく近い距離にあるのも」
ハッと陽介は顔を上げる。確かに小西はいつも自分の近い距離にいてくれた、時折遠い場所にいてもこちらを気にかけてくれていた気がする
灰音はそれを指摘したのだ、本当に嫌いな人間にそんな気遣いすると思うのかと
「これはただの私の願望に過ぎないですけど、お世話になったセンパイ達が私に見せてた仲の良い様子が実は嘘だった…なんて思いたくないです
ちゃんと小西センパイは花村センパイの事を受け入れてたんだって思う方が、嫌われてたとか考えるよりはよっぽど楽ですよ」
「何か神楽坂が全部、俺の思ってた事を代弁してくれたみたいで気が晴れたわ。サンキューな」
「いーえ。灰音さんは寛容ですからねー」
「それ、自分で言う?!…まあ、ありがとな」
今までの真剣味を帯びた声色を捨て、間延びした灰音の発言に突っ込みながらも陽介の表情は晴れやかだ。何だかんだ言いながらも人付き合いはいいのだ、この後輩は
あ、そうだ。と今まで存在を忘れていたと言う様に陽介は懐から軽くラッピングされた包装を灰音へ手渡す。中身を見るにどうやらオレンジと黄色のシュシュが入っている様だが…
「これ…?」
「テレビの中でお前、つけてたの落として、ペルソナの攻撃で燃やしてただろ?
髪纏めるのないと不便かと思ってさ、俺の好みが大分入ってっけど……まあ見舞い品って事で受けとってくれ」
「…ありがとうございます、センパイ」
「おう。だから早く元気になって学校来いよな。神楽坂がいねーと何か面白くねーからさ」
「はい。登校したらまたいじくらせてもらいますね」
「だー!それはやめろ!そもそも、俺を先輩として労る気はねーのかよっ」
孫が男と二人っきりの状況を我慢出来ずに一鉄が乱入するまで、話は続いた
数日後、体調を戻した灰音は無事に学校生活に復帰。そして今現在は昼休み、弁当片手に陽介に屋上へ連行されている所である