#4 It should not exceed, the boundary
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昨夜、偶然ながらマヨナカテレビを目の当たりにする事となった灰音。テレビが消えた後に齎された鬱屈とした感情は彼女を朝方まで縛り付けた
おかげさまで絶賛寝不足な灰音はもそもそ、と今朝も富美代が作ってくれた朝食にありついていた。これが休日だったならば、二度寝でもしている所だが、学校がある平日はそうも行かない
「灰音ちゃん、お隣の悠ちゃんが来てるよ」
「鳴上センパイが?」
「お前にはまだ恋人は早いわい!若すぎる!」
「そんなんじゃねーっす」
バイトを始め、花村という先輩が出来たと聞いてからというもの、一鉄は男の名を聞くとすぐにこうして色事に結びつけるのでたまったものではない。アンタは女子中学生かという心境で突っ込む灰音
一体、悠がどうしてうちに?一緒に学校に行こうという誘いの他に思いつかない灰音は朝食を食べ終わり、空となった食器を片付け、彼が待っているという玄関先へ急ぐ
「おはよう、灰音」
「…えーっと、鳴上センパイで良いんですよね?」
「たった一日で人は変わらないと思うぞ」
いや、ばっちり変わってるって、と一鉄に続き、悠にも思わず突っ込みかけた言葉を灰音は寸出の所で飲み込む。そしていらぬ事を言わぬ様にと固く口を噤んだ
たった一日で一体何があったのかと尽きない興味のままに問いただす度胸はなく、灰音は昨日と同じ様に彼の隣について学校へ向かう。今日も朝から降る雨のせいで見通しは悪い
見通しが悪いといえば、昨夜のマヨナカテレビの映像も酷かった。最早悪意しか感じられない砂嵐は視聴者への配慮も何もない、視覚的暴力に相違ない
「…あ、センパイはマヨナカテレビって知ってます?」
「!…ああ、里中から聞いた。最近流行ってるんだって?」
「はい。私にまだ恋人の一人も出来ない事を心配してくれた、有難ーい友達に聞いたんすけどね」
「灰音には恋人、いないのか?」
「お?鳴上センパイも何か私に物申すつもりっすか?別に恋人いなくてもリアル充実してますし、恋人がいるからって勝ち組なんかじゃないしリア充爆発しろ」
「落ち着け」
先程までのほほん、とした雰囲気だった彼女がその話題を降られた途端にふふ、と笑い出した。だがその表情を良く注視すると目は笑っていなかった、寧ろ目が据わっている
この話題は地雷だったかと今後、灰音と話す上で避けよう、と勉強になった所で悠はじっと自分の隣を歩く少女を見つめる
決して引け目のある顔ではない、垂れ目がちな大きな瞳と合わさったあどけない横顔は見る人の心を惹き付ける。充分に魅力がある灰音、そんな彼女の欠点は一つだけ――性格が少々特殊である事か
「さっき食べたご飯粒でもついてます?」
「いや…勿体ないなと思って」
「?はぁ…」
彼の言葉にそう首を傾げ、あやふやに返す灰音
一体何が勿体ないというのか、口元にでもついた米粒をちゃんと食べなかった事が勿体ないと思っていると考えるのが限界であった
「鳴上、神楽坂!」
学校近くになった所で二人の背後から現れたのは陽介。今日はこの天候の為にか、彼にしては珍しい徒歩による登校である
その場に立ち止まっていた灰音達の元へ親しげに駆け寄ってきた陽介からのおはよう、という朝の挨拶を合図に三人は再び歩き出す
「珍しいっすね、花村センパイが自転車じゃないなんて」
「いや、今日の天気で乗れって方が無理だろ…
そういう神楽坂も今日はいつにも増して、眠そうにしてんな」
「夜更かしでもしてたんだろう」
「何故分かったし」
「後で自分の顔、見てみろ」
そう言って悠は自分の瞼の下をトントンと指差す。その仕草に釣られて、灰音の顔を覗き見た陽介はあー、と苦笑を隠し切れない様子
昨夜眠れなかった為に出来た自分の目の下の黒い隈はどうやら傍目でも分かる程に酷いらしい、化粧でもすれば別だろうが生憎とその発想が灰音にはなかった為に人の目に晒すしかないのだ
「…ん?」
「何だ…?」
「うちの学校の人じゃないみたいっすね」
近付くにつれ、はっきりとそのフォルムを現す校舎。生徒を迎える為に開門された校門の前で雪子と千枝の後ろ姿が見える
それだけなら常日頃、行動を共にするいつもの二人なのだが、彼女達の前に立ちはだかる様に少年の姿が見受けられた。どうやら雪子に詰め寄っている様だ
遠目、そして雪子と千枝の隙間から見えた男は灰音の言う通りに他校の生徒だった様だ。この大雨の中で傘も指さずに踵を返す男は天城越えで有名な雪子の前に玉砕したという所だろうか
「よう!」
「おはよう」
「ああ、おはよう!あれ、灰音ちゃんも一緒なんだ」
「鳴上センパイに誘われちゃったんで。おはようございます」
朝からの災難を気にも止めていない様子で挨拶を交わす千枝。彼女は学年が違う事でほぼ朝にはち会う事がない灰音の姿は予測していなかった様で少々、驚いた様子を見せた
事も無さげに挨拶を交わす灰音達とは裏腹に男に直接、言い寄られた被害者である雪子は簡単に今の出来事をなかった事とするのは出来ない様だ
「おはよー」
「ねえねえ、灰音ちゃん!さっき先輩達と登校してたよね!」
「どっちかの二人が神楽坂さんの恋人?!」
「残念。そんなんじゃないよー」
新鮮なネタに飛びつく女子を交わし、灰音はほっと席で一息つく。こんなに噂好きな人間が集まるとテレビの噂がここまで広がるのも当然の事なのかもしれない
サイレンの音が飛び込んできたのはその直後だ。学校の入り口から近い位置にある教室の窓からは校門に止まったらしいパトカーの赤いランプが入り込み、夕方の赤よりも深い光が室内を彩る
何だ何だと野次馬根性よろしく、窓際に集まる生徒達。あまり群衆に巻き込まれたくない為にぼうっと彼らの背中に目をやる灰音には行動力の欠片の一つも見当たらない
おかげさまで絶賛寝不足な灰音はもそもそ、と今朝も富美代が作ってくれた朝食にありついていた。これが休日だったならば、二度寝でもしている所だが、学校がある平日はそうも行かない
「灰音ちゃん、お隣の悠ちゃんが来てるよ」
「鳴上センパイが?」
「お前にはまだ恋人は早いわい!若すぎる!」
「そんなんじゃねーっす」
バイトを始め、花村という先輩が出来たと聞いてからというもの、一鉄は男の名を聞くとすぐにこうして色事に結びつけるのでたまったものではない。アンタは女子中学生かという心境で突っ込む灰音
一体、悠がどうしてうちに?一緒に学校に行こうという誘いの他に思いつかない灰音は朝食を食べ終わり、空となった食器を片付け、彼が待っているという玄関先へ急ぐ
「おはよう、灰音」
「…えーっと、鳴上センパイで良いんですよね?」
「たった一日で人は変わらないと思うぞ」
いや、ばっちり変わってるって、と一鉄に続き、悠にも思わず突っ込みかけた言葉を灰音は寸出の所で飲み込む。そしていらぬ事を言わぬ様にと固く口を噤んだ
たった一日で一体何があったのかと尽きない興味のままに問いただす度胸はなく、灰音は昨日と同じ様に彼の隣について学校へ向かう。今日も朝から降る雨のせいで見通しは悪い
見通しが悪いといえば、昨夜のマヨナカテレビの映像も酷かった。最早悪意しか感じられない砂嵐は視聴者への配慮も何もない、視覚的暴力に相違ない
「…あ、センパイはマヨナカテレビって知ってます?」
「!…ああ、里中から聞いた。最近流行ってるんだって?」
「はい。私にまだ恋人の一人も出来ない事を心配してくれた、有難ーい友達に聞いたんすけどね」
「灰音には恋人、いないのか?」
「お?鳴上センパイも何か私に物申すつもりっすか?別に恋人いなくてもリアル充実してますし、恋人がいるからって勝ち組なんかじゃないしリア充爆発しろ」
「落ち着け」
先程までのほほん、とした雰囲気だった彼女がその話題を降られた途端にふふ、と笑い出した。だがその表情を良く注視すると目は笑っていなかった、寧ろ目が据わっている
この話題は地雷だったかと今後、灰音と話す上で避けよう、と勉強になった所で悠はじっと自分の隣を歩く少女を見つめる
決して引け目のある顔ではない、垂れ目がちな大きな瞳と合わさったあどけない横顔は見る人の心を惹き付ける。充分に魅力がある灰音、そんな彼女の欠点は一つだけ――性格が少々特殊である事か
「さっき食べたご飯粒でもついてます?」
「いや…勿体ないなと思って」
「?はぁ…」
彼の言葉にそう首を傾げ、あやふやに返す灰音
一体何が勿体ないというのか、口元にでもついた米粒をちゃんと食べなかった事が勿体ないと思っていると考えるのが限界であった
「鳴上、神楽坂!」
学校近くになった所で二人の背後から現れたのは陽介。今日はこの天候の為にか、彼にしては珍しい徒歩による登校である
その場に立ち止まっていた灰音達の元へ親しげに駆け寄ってきた陽介からのおはよう、という朝の挨拶を合図に三人は再び歩き出す
「珍しいっすね、花村センパイが自転車じゃないなんて」
「いや、今日の天気で乗れって方が無理だろ…
そういう神楽坂も今日はいつにも増して、眠そうにしてんな」
「夜更かしでもしてたんだろう」
「何故分かったし」
「後で自分の顔、見てみろ」
そう言って悠は自分の瞼の下をトントンと指差す。その仕草に釣られて、灰音の顔を覗き見た陽介はあー、と苦笑を隠し切れない様子
昨夜眠れなかった為に出来た自分の目の下の黒い隈はどうやら傍目でも分かる程に酷いらしい、化粧でもすれば別だろうが生憎とその発想が灰音にはなかった為に人の目に晒すしかないのだ
「…ん?」
「何だ…?」
「うちの学校の人じゃないみたいっすね」
近付くにつれ、はっきりとそのフォルムを現す校舎。生徒を迎える為に開門された校門の前で雪子と千枝の後ろ姿が見える
それだけなら常日頃、行動を共にするいつもの二人なのだが、彼女達の前に立ちはだかる様に少年の姿が見受けられた。どうやら雪子に詰め寄っている様だ
遠目、そして雪子と千枝の隙間から見えた男は灰音の言う通りに他校の生徒だった様だ。この大雨の中で傘も指さずに踵を返す男は天城越えで有名な雪子の前に玉砕したという所だろうか
「よう!」
「おはよう」
「ああ、おはよう!あれ、灰音ちゃんも一緒なんだ」
「鳴上センパイに誘われちゃったんで。おはようございます」
朝からの災難を気にも止めていない様子で挨拶を交わす千枝。彼女は学年が違う事でほぼ朝にはち会う事がない灰音の姿は予測していなかった様で少々、驚いた様子を見せた
事も無さげに挨拶を交わす灰音達とは裏腹に男に直接、言い寄られた被害者である雪子は簡単に今の出来事をなかった事とするのは出来ない様だ
「おはよー」
「ねえねえ、灰音ちゃん!さっき先輩達と登校してたよね!」
「どっちかの二人が神楽坂さんの恋人?!」
「残念。そんなんじゃないよー」
新鮮なネタに飛びつく女子を交わし、灰音はほっと席で一息つく。こんなに噂好きな人間が集まるとテレビの噂がここまで広がるのも当然の事なのかもしれない
サイレンの音が飛び込んできたのはその直後だ。学校の入り口から近い位置にある教室の窓からは校門に止まったらしいパトカーの赤いランプが入り込み、夕方の赤よりも深い光が室内を彩る
何だ何だと野次馬根性よろしく、窓際に集まる生徒達。あまり群衆に巻き込まれたくない為にぼうっと彼らの背中に目をやる灰音には行動力の欠片の一つも見当たらない