#3 Coward left foot he froze
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話を遮る様にフードコートでくつろいでいたらしい陽介が小西の姿を見つけ、駆け寄ってくる。彼の視界には彼女しか映ってなく、灰音は眼中にはないらしい。まあいつも通りである
陽介の呼び掛けに応える小西の表情には先程の様な重たいものは見受けられない、いつも通りの調子が戻っている。なのに、素直に喜べない胸中に置かれた灰音は二人の会話に入る事が出来なかった
「やっほー灰音ちゃん」
「あ…」
「里中センパイ、それに…鳴上センパイ?」
「あれ、二人ともお知り合い?」
「家が隣同士で…」
どうやらフードコートに来ていたのは陽介だけじゃなかったらしい。そこには彼と同じクラスメイトだと以前紹介してもらった記憶が新しい、里中千枝と悠が同席していた
見た所によると彼は陽介と千枝のクラスに配置された様だ、悠と顔見知りな灰音の様子に首を傾げた千枝に悠のそんな説明が加わった
「ねえ、君。転校生なんだって?」
「あ、はい」
「コイツ、友達少ないからさ」
「えっ?!」
「ぷっ」
容赦ない小西の言葉に青ざめる陽介の反応が面白くて、灰音は口元を隠し思わず笑った息が噴き出す
自分では隠せたと思ったのだが、衝撃を受けた時程、耳が良いのか陽介がきっと灰音を睨み返す。若干涙目なのは気のせいではないだろう
「おま、神楽坂!今笑ったな?!」
「いいじゃないっすか、友達少ないおかげで小西センパイに目をかけてもらえてるんですから」
「な、なるほど…そういう見方もあるのか…」
単純に自分の言葉に感心を深める陽介の様子、まさかこうも簡単に丸め込めるとは思ってもみず、思いついた言葉を述べた事に灰音は後ろめたささえも感じてしまった
だが灰音の思いつきながら、彼のフォローになった言葉を相殺するかの様に小西がプラス思考に傾き出した陽介へ追い打ちをかける
「あ、でも花ちゃんお節介で良い奴だけど、うざかったらうざいって言いなね」
「えええ……」
「いや、そんな…」
「冗談だって」
「先輩……冗談きついなぁ…」
面と向かって、うざいと言えずに小西からの冗談をも真に受ける悠は堅物といった所か。少々天然も入っているかもしれないが
今までの言葉が冗談で良かったと喜ぶべきか、だが好きな相手にそこまで言われると心臓に悪いと陽介が浮かべた笑みは引き攣りに引き攣っていた
「灰音ちゃん、そろそろ戻ろうか」
「そうですね、休憩時間もそろそろ終わる頃だし。ゆっくりしていってくださいね、センパイたち」
「ああ!先輩、こないだの話…!」
「あ、うん!いいよ。今度暇な時に連絡するね」
灰音を引き連れ、持ち場に戻る小西の色よい反応にすかさず歓喜に満たされた声が上がった
好きな相手にOKされ、舞い上がる陽介の声がこの天気や雰囲気の中で太陽の様に輝いていた
「もう0時前か……」
その日の真夜中に差し掛かる時刻、本日出された課題に追われていた灰音は一息をいれようと寝静まった祖父母を起こさぬ様にと飲み物を求め、1階へ降りた
夕食の後に入浴し、少し休憩…とベットで目を覚ました頃には22時。あの時の少し、と甘えた自分が我慢していればこんな事にはと呪う事、数秒
これは明日まで跨ぐかもしれないな、と漠然に考えていたその時、壁にかけられていた時計の秒針が頂点を指し、それを見計らったかの様にテレビに異変が起こる
「…?!」
通常の状態では有り得ない、視覚に悪影響を齎しそうな黄色の鈍い光を放つ液晶画面が誰かを映している様だが、個人のプライバシーを保護する目隠しの様に砂嵐がその姿を隠していた
どうしてこんな事が、こんな事がまた起こって良い筈がないのに、と心あらずの状態で液晶に手を伸ばす灰音。その指が触れる前に流れていた映像が暗闇の奥へと失せた
その場に残ったのは中途半端に手を伸ばした灰音と外で降りしきる雨音と轟音にも似た雷鳴。何も、反応が出来ない
ー怯えなくていいよ、ただ逃げられないだけ。そう、たとえ目と耳を塞いでも、ねー
「……どうだって、いい」
まるで今、起こった現象が引き金となったかの様に蘇った言葉は頭痛の様に灰音を苛める
「どうだっていいんだ」
どうして、あの場所から逃げ出したというのにここまで追いかけられなければいけないのか。寧ろこれがあの場所から逃げ出した罰とでも言うのか
ただ全てに蓋をし、胸の内に閉まっておきたいだけなのに――現実逃避という権利さえも剥奪された灰音の呟きは今にも雨音に掻き消されそうな程に力無く響いた
Coward left foot he froze
(何も失わない為の、たった一つの方法)
陽介の呼び掛けに応える小西の表情には先程の様な重たいものは見受けられない、いつも通りの調子が戻っている。なのに、素直に喜べない胸中に置かれた灰音は二人の会話に入る事が出来なかった
「やっほー灰音ちゃん」
「あ…」
「里中センパイ、それに…鳴上センパイ?」
「あれ、二人ともお知り合い?」
「家が隣同士で…」
どうやらフードコートに来ていたのは陽介だけじゃなかったらしい。そこには彼と同じクラスメイトだと以前紹介してもらった記憶が新しい、里中千枝と悠が同席していた
見た所によると彼は陽介と千枝のクラスに配置された様だ、悠と顔見知りな灰音の様子に首を傾げた千枝に悠のそんな説明が加わった
「ねえ、君。転校生なんだって?」
「あ、はい」
「コイツ、友達少ないからさ」
「えっ?!」
「ぷっ」
容赦ない小西の言葉に青ざめる陽介の反応が面白くて、灰音は口元を隠し思わず笑った息が噴き出す
自分では隠せたと思ったのだが、衝撃を受けた時程、耳が良いのか陽介がきっと灰音を睨み返す。若干涙目なのは気のせいではないだろう
「おま、神楽坂!今笑ったな?!」
「いいじゃないっすか、友達少ないおかげで小西センパイに目をかけてもらえてるんですから」
「な、なるほど…そういう見方もあるのか…」
単純に自分の言葉に感心を深める陽介の様子、まさかこうも簡単に丸め込めるとは思ってもみず、思いついた言葉を述べた事に灰音は後ろめたささえも感じてしまった
だが灰音の思いつきながら、彼のフォローになった言葉を相殺するかの様に小西がプラス思考に傾き出した陽介へ追い打ちをかける
「あ、でも花ちゃんお節介で良い奴だけど、うざかったらうざいって言いなね」
「えええ……」
「いや、そんな…」
「冗談だって」
「先輩……冗談きついなぁ…」
面と向かって、うざいと言えずに小西からの冗談をも真に受ける悠は堅物といった所か。少々天然も入っているかもしれないが
今までの言葉が冗談で良かったと喜ぶべきか、だが好きな相手にそこまで言われると心臓に悪いと陽介が浮かべた笑みは引き攣りに引き攣っていた
「灰音ちゃん、そろそろ戻ろうか」
「そうですね、休憩時間もそろそろ終わる頃だし。ゆっくりしていってくださいね、センパイたち」
「ああ!先輩、こないだの話…!」
「あ、うん!いいよ。今度暇な時に連絡するね」
灰音を引き連れ、持ち場に戻る小西の色よい反応にすかさず歓喜に満たされた声が上がった
好きな相手にOKされ、舞い上がる陽介の声がこの天気や雰囲気の中で太陽の様に輝いていた
「もう0時前か……」
その日の真夜中に差し掛かる時刻、本日出された課題に追われていた灰音は一息をいれようと寝静まった祖父母を起こさぬ様にと飲み物を求め、1階へ降りた
夕食の後に入浴し、少し休憩…とベットで目を覚ました頃には22時。あの時の少し、と甘えた自分が我慢していればこんな事にはと呪う事、数秒
これは明日まで跨ぐかもしれないな、と漠然に考えていたその時、壁にかけられていた時計の秒針が頂点を指し、それを見計らったかの様にテレビに異変が起こる
「…?!」
通常の状態では有り得ない、視覚に悪影響を齎しそうな黄色の鈍い光を放つ液晶画面が誰かを映している様だが、個人のプライバシーを保護する目隠しの様に砂嵐がその姿を隠していた
どうしてこんな事が、こんな事がまた起こって良い筈がないのに、と心あらずの状態で液晶に手を伸ばす灰音。その指が触れる前に流れていた映像が暗闇の奥へと失せた
その場に残ったのは中途半端に手を伸ばした灰音と外で降りしきる雨音と轟音にも似た雷鳴。何も、反応が出来ない
ー怯えなくていいよ、ただ逃げられないだけ。そう、たとえ目と耳を塞いでも、ねー
「……どうだって、いい」
まるで今、起こった現象が引き金となったかの様に蘇った言葉は頭痛の様に灰音を苛める
「どうだっていいんだ」
どうして、あの場所から逃げ出したというのにここまで追いかけられなければいけないのか。寧ろこれがあの場所から逃げ出した罰とでも言うのか
ただ全てに蓋をし、胸の内に閉まっておきたいだけなのに――現実逃避という権利さえも剥奪された灰音の呟きは今にも雨音に掻き消されそうな程に力無く響いた
Coward left foot he froze
(何も失わない為の、たった一つの方法)